ULタイベックシュラフ
●特徴
タイベックシルバーという高機能な不織布を用いたUL(Ultra Light)なシュラフです。
特筆すべきは、ダウンシュラフを超える軽量性235g、収納時のコンパクト性23cm×Φ11や防水性、透湿性、遮熱性、防風性などが挙げられます。
タイベックシルバーの詳細は以下のリンクをご参照ください。
●多目的な活用
単体で使用するだけではなく、お手持ちのシュラフにシュラフカーバーやインナーシーツとして組み合わせて使うと機能や性能を向上させることができ季節を問わず多目的に活用することができるギアです。また防災グッズとしても活用できます。
●装備選択の豆知識
アウトドアで天気予報を見て風雨雪や気温の変化に見合った装備を選択していると思います。この時に、行き先の標高や緯度を考慮した装備を選択していますでしょうか。
◇標高と気温
標高が100m高い場所へ移動すると気温が約0.65℃低下(気温減率)します。
富士吉田市(標高約770m)の気温が35℃でそこから富士山の頂上3776mへ移動した場合は、以下の単純計算で頂上の予想気温は約15.5℃になります。
(3776m - 770m) ÷ 100m × 0.65℃ = -19.5℃
35℃ - 19.5℃ = 15.5℃
◇緯度と気温
緯度が1度北上(約111km)すると約1℃下がると言われています。
東京の緯度約35.69から札幌の緯度約43.05へ距離約830km移動した場合は、以下の単純計算で約7.4℃気温が低下することになります。
43.05 - 35.69 = 緯度差約-7.36℃、距離約830km ÷ 約111km = 約-7.48℃
◇その他
標高や緯度以外にも風雨雪、昼夜、山の天気の変わりやすさなどを考慮したアウトドア装備を選択する必要があると考えます。
●装備選択の失敗
装備選択の豆知識など書きましたが、軽装で富士山に登頂し寒さに震えながら御来光を迎えたり春の残雪期にアイゼンを持参せず登山を断念したりその他色々装備の選択に失敗したことも身を持って装備選択の重要性を学んだ印象深い思い出です。
◇ウルトラライト(UL)
このような中で2009年頃からアウトドア装備の軽量化・コンパクト化についてウルトラライトという考え方や製品が普及し始めました。これまで登山の装備を選択する上で重要視されてきたのは、厳しいアウトドアの環境下でも装備が機能する信頼性や耐久性で軽量化・コンパクト化は二の次でした。厳しい自然の中で装備が生死を分けることも少なくないため装備の信頼性・耐久性が重要視されるのは、経験からも理解できます。しかし装備の信頼性・耐久性を損なわず軽量化・コンパクト化することができれば身軽になるのですから快適性が向上しますし今まで行けなかった場所へも行ける可能性が出てきます。
◇ウルトラライト装備の試用
所持していた登山装備(テント、寝袋、マット、バックパック、シューズ、レインウェア、ウェア、クッカー、水筒、ストーブなど)をグラム単位で計り当時最軽量のものに換装したところ驚くほど軽量化・コンパクト化に成功し快適性が向上しました。当時は、快適性の追求手段であるウルトラライトが楽しくなり自己目的化していたためバックパッキング時に重量の割合が多い水や食料を削減したり現地調達したりする本末転倒のようなことも試しました。そしてこのような失敗や試行錯誤から新しい発想が生まれることもあります。
●製品開発の経緯
◇装備選択の失敗
この製品を開発しようと考えたのは、夏の南アルプス(塩見岳、赤石岳、荒川岳、聖岳、上河内岳)テント泊縦走時の装備の少量化・軽量化に失敗したことからでした。夏とはいえ3000m級の山脈では、零下になることもありダウンシュラフの代わりに透湿性のないThermo-Lite2.0 Bivy Sackとハイテク毛布SPACEを装備として選択し結露と密閉度の低さから寒くて眠れないことがあったからです。改めてダウンシュラフの快適性を認識したのですがダウンシュラフも使用温度域が決められており季節毎に買い揃えたり結露対策でシュラフカバーを準備したりと一長一短な部分もあります。
なんとか少量化・軽量化と共に手持ちのダウンシュラフの短所を補間し活用範囲を拡張できないか検討したところタイベック®シルバーという高機能な生地を見つけULタイベックシュラフを製品化することができました。
◇開発とデザイン
商品の開発要件として結露、気密性の対策に加えお手持ちのダウンシュラフ等と組み合わせて使うことを想定した保温性・収納性の高い立体裁断マミー形に適応したサイズとデザインに仕上げています。