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カモメが飛ぶ日

座薬

2020.03.09 06:07

お尻が痛くなった。一日中、机に向かって書いていたら、痔になってしまった。調べてみた。美人女医がネットで、放っておいても治る痔、薬をつければ治る痔、医者に診せてもらいたい痔、というのを懇切丁寧に説明している。私のは、薬をつければ治る痔だった。ノズルつきの容器に軟膏の入ったタイプをしばらく使ってみた。効果はなかった。

今度はAmazonで、ボ〇〇ノールというステロイド入りの座薬を買ってみた。座薬は、頭部がやや大きいロケット型だ。腰を落としがに股になったところで、肛門にそれを挿し込む。ただ挿し込むのではない。こいつは少しだけ中の方へ押し込んでやる必要がある。

だが素手で行うと、指先に味噌がついてしまう。医療用のゴム手袋を使ってみることにした。薬と同様、Amazonで購入した。これがまた具合がいい。内側には粉がついているから、スルッと手が入る。伸縮性があるから、大きな手の私でも、Mサイズでこと足りる。

右手にこれを着けて、その中指でスッと押し込んでみた。頭でっかちの固形物が自力で肛門内部へ分け入って行く気配を感じる。ここまでくればしめたものだ。今度は、中腰からゆっくりと立ち上がる。すると、固形物は奇体にも、さらに奥へと侵入して行く。手袋は、外すと裏返しになるから、そのままポイとゴミ箱に捨てる。

私は今朝、民放のおめざめニュースを見ていた。放送局の看板女子アナが、液晶画面の向こうから、中腰の私の顔をのぞき込むようにして言った。

「おはようございます。ごきげんいかがでしょうか」

何ともいえない気持になった。

「お陰さまで、このごろは具合もいいようです」

彼女は返事もしてくれなかった。  


小倉一純