日本の難民受け入れ問題(Vol.1)
「難民問題」、「外国人問題」というと、日本に住む私たちからするとあまり関係のない問題のように感じる方も多いのではないでしょうか。実際、日本に難民がいること、彼らがどこでどんな生活をしているのか、メディアを通じてもあまり正しいことが報じられていないのが現状だと思います。
私たちも、約10年に渡り、日本に暮らす難民や非正規滞在の外国人への支援活動を継続していますが、自分たちの周りを見渡したときにまだまだ問題の重要性が浸透していないと強く感じます。
私たちは、まずは一人でも多くの方に、国内の難民、外国人受け入れの問題点、背景を知っていただきたいと思います。今後、数回に分けて情報を発信していきたいと思います。まず1回目は「難民」について解説していきます。
難民とは何か
そもそも「難民」とはどんな人たちのことを言うのでしょうか。
難民は次のように定義されています。
対外戦争、民族紛争、人種差別、宗教的迫害、思想的弾圧、政治的迫害、経済的困窮、自然災害、飢餓、伝染病などの理由によって居住区域(自国)を離れた、あるいは強制的に追われた人々を指す。その多くは自身の生命を守るため、陸路、海路、河路、空路のいずれかで国外に脱し、他国の庇護と援助を求める。現在の国際法では、狭義の「政治難民(Political Refugee)」を一般に難民と呼び、弾圧や迫害を受けて難民化した者に対する救済・支援が国際社会に義務付けられている。
「条約難民」の存在
① 国際難民条約について
難民の保護を保証し、難民問題の解決を目的として1951年に外交会議で「難民の地位に関する条約」が採択され、1967年に「難民の地位に関する議定書」が採択されました。この二つを合わせたものが「難民条約」と呼ばれています。
難民条約において特に保障されているべきものとして、
・難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない。(ノン・ルフールマンの原則)
・庇護申請国へ不法入国したこと、または不法に滞在していることを理由として、難民を罰してはいけない。
ということが定められています。
日本は、1981年にこの難民条約を批准し、1982年より難民受け入れの義務がある難民受け入れ国となりました。
② 条約難民とは
難民条約に該当する人は「条約難民」と呼ばれます。外務省HPでは以下のように記載されています。
(1) 条約難民とは 難民条約(1951年の難民の地位に関する条約)に定義された難民の要件に該当すると判断された人を「条約難民」と呼んでいます。難民条約第1条A(2)で定義された難民の要件は、以下のとおりです。
(a) 人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由 に、迫害を受ける恐れがあり者であること
(b) 国籍国の外にいる者であること
(c) その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること
③ そのほかの難民と難民出身国と受け入れ情勢
(出典:外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/nanmin/main3.html)
日本に来る難民
世界にはこのような「条約難民」と、紛争などによって住み慣れた家を追われたが、国境を越えずに避難生活を送っている「国内避難民」、また近隣諸国に避難している「国外避難民」がいます。
日本に逃れてくる難民は、この「条約難民」であり、私たちも彼らを支援対象にしています。
ちなみに、日本には、国際難民条約に批准する以前から受け入れてきた「インドシナ難民」がいますが、ここでは割愛します。