イギリス紀行18
旅におけるバス移動の問題は、降りる場所がハッキリ分からないことだ。地下鉄のように各駅が分からないし、MAPもない。細かく停車してゆくので、検討つけるしかない。半分あてずっぽうと言えば笑われそうだが、空間認識能力と言えば誉められそうか。たとえ海外だろうと、アルファベット文字さえ読めればそこまで外れることはない(もしこれが英語圏でなければ難しいだろうが)。それに英語は今や世界共通言語だから、ある程度は通じる人はいる。いざとなれば人に聞けばいい。これは学生時代の留学経験から得た教訓である。心配しすぎることはない、だって向こうも人間なのだから(悪い人?それは日本にだっている)。
チェルシーの区域はレンガ造りの建物が特に多く、趣きがある。バスを降りて歩いているだけで、楽しい。そう、これはイギリス、ロンドン全体にいえることだが、歩いていて楽しくなってくるのだ。おとぎの国と言ったらいい過ぎかもしれないが、ヨーロッパ的な町並みにはテンションが上がる。少なくとも異国情緒は感じられる。日本では本物のレンガの家などほぼ見られない。横浜の赤レンガ倉庫が有名になるくらいだから。木の国である日本人の自分にとっては、そういう石の(レンガの)街を歩くのはそれだけで愉快。
最初に見つけたのはオスカー・ワイルドの住んでいた家だった(たしか生家)。最初分からなくて、近くの小売店で聞いたけど誰も知らない。よくあることだ(地元の人にとっては歴史上の人物より今の生活のほうが重要なのだから)。何も目印はないのかなと思っていたら、ちゃんとプレートのようなものがはめ込まれていた。こういうところも欧米文化のステキなところ。ちゃんと過去の偉人や著名人に対し敬意を表し、褒め称えているのだ(単に史跡というだけでなく)。ただ中に入ることはできない(今も誰か住んでいるらしい)ので、外から眺めて写真を撮った。ここにオスカーワイルドが住んでいたんだ、暮らしてたんだ、この地域が彼を育てたんだ、と感じるだけで嬉しくなってくる(単に文学マニア)。