『ワンダーウーマン』ネタバレありの感想
どうも! 映画『ワンダーウーマン』が遂に日本でも公開されましたね!
前にネタバレなしのレビューを書いたので、今回はネタバレを気にせずレビューを書かせていただければと思います!
(ほぼ書きなぐりに近いです!)
とにかく!!
この映画、とにかくワンダーウーマン愛が凄い!
例えば、アマゾン族のオリジン。ジョージ・ペレズが担当していた80年代コミックからの採用が多くて、個人的に一番好きなオリジンでもあるのでとても嬉しい。
もちろんそっくりまんまってわけではないのですが、70年代のドラマより後の作品を採り入れることで、ドラマを観ていた人が新鮮な気持ちで観られるのもいいですよね。
(ドラマはドラマでオリジナル部分めっちゃ多いんですが、そこは置いときます!)
そうだ、アイスクリームのシーンあるじゃないですか。
あれもコミックにあった場面の再現なんですが、実はドラマ版でもですね、ダイアナの妹ドルシラが初めて人間界に来た時夢中になったのがアイスクリームだったりするんですよ!
で、後のエピソードでもアイスクリームパーラーでパクパクフロートだかサンデーだか平らげてたり。
それに青ドレスの元の持ち主。
あの人も実はドラマに登場した人物でして、ナチスの偽ワンダーウーマン、ファウスタ・グレイブルズというコミックからドラマに登場した数少ないヴィランの1人だったんです!
劇中で名前が判明することはなかったけど、クレジットに載ってたキャラ名を三度見くらいしました!!いやほんとびっくりした……。これは深い愛ですよ……。
青ドレスはもちろんですが、セルフリッジズでのお着替えとか、バトルだけじゃなく華やかさを要所要所で取り入れていたの良かったですね。
雪の降る中でダンスするシーンは派手じゃないけどとてもロマンチックだった。
ロマンスといえば、「強い女の話に恋愛はいらない」って意見もあるみたいだけど、“ヒーロー”にとって誰かと絆を結ぶのってすごく大きな意味を持っていると思うんです。
それは女も男も関係なくて、もちろん恋愛である必要もない。でも、恋愛でもいい。
女が主役ならとりあえず恋愛させとけ的な、なんとなく女性=恋愛という型を当てはめるのいい加減にしてほしいという気持ちはよく分かります。
でも、今作を女性像の“後退”と表現したキャメロンに対してジェンキンス監督が返した「パワフルな女性に正しいタイプも間違ったタイプもありません」というのがすべてだと思います。
“強い女”の在り方が、条件を縛ることでしか描けないならそれこそ女性像、というか人物像描写の後退だと自分は感じる。
スティーブを見て欲しい。
彼はパワーもないしプロレスラーのようなマッチョでもないけれど、ダイアナへの愛と最後の行動で、彼自身の強さをしっかりスクリーンで見せました。
自己犠牲そのものではなく、あの決断をできる心こそが彼の強さで、彼は間違いなくこの映画におけるヒーローでした。ダイアナにとっても、世界にとっても。
もっとも、単純にタフな女性のハードボイルド活劇が見たいって話ならたしかに今作はそういう話ではないし、いつかそういうワンダーウーマンをやってみるのもアリなのかもしれない。。
ただ、1作目としては今作が本当にふさわしかったと思います。
なぜなら、ワンダーウーマンは愛と平和の使者だから。
これを丁寧に描いたのが今作で、なんだかんだ言ってそこに一番ワンダーウーマンへの愛を感じました。
あ、あと名前を呼ばれないアマゾンにもしっかりコミックにいたキャラクターの名前がついていたり……愛だった……
あと、これもちょっと書いときたいです。アレスの登場。
最後にアレスがでてきてしまったことで、スティーブのグッと来た台詞(戦争が起きるのは人間がそういう生き物だからというもの)を結局否定されてしまったという意見もちらほら見かけたのですが、自分はそうは捉えませんでした。
今回のアレスは戦争を自分の糧にしているわけではなく、あくまで人間の醜さを嫌って人類を地球から排除しようとしている存在です。
だから人の心を操って戦争を引き起こしているわけではなく、あくまでちょっとしたパワーを与えているにすぎません。
個人的には、戦争の神というより人類に火を与えることで争いをもたらしたプロメテウスにちょっと似ているなと思いました。(動機が全然違いますが)
そしてダイアナはプロメテウスに罰を与えるゼウスの鷲、みたいな。伝わるかな?
話を戻して、アレスに関して何よりも注目すべきは、彼がダイアナを味方に引き入れようとするシーンではないでしょうか。
この場面で、人類に絶望したダイアナはアレスの提案に戸惑いを見せます。アレスの望み通り人類が消えることで美しさを取り戻した世界の幻影は、その後Dr.ポイズンを生かすか殺すか選択する場面、そして先ほどのスティーブの存在と併せて、「ダイアナがヒーローになるか、人類を捨てるか」という非常に大きな選択を提示するための超重要なシーンです。
そして何より、これは神が提示するから説得力あるんだよね、と自分は思います。
相手がアレスとはいえ、ダイアナはここで神の世界への勧誘を受けていて、オファーを受ければ「自分に値する」世界を新しく創れるかもしれないわけです。
この誘惑は非常に大きい。そしてだからこそ、その誘惑を退けて人類を救う道を選んだときの彼女の意思と心は尊いのです。
多くを兼ね備えるダイアナを魅了するには、ここでダイアナ以上の存在を出さなければいけないわけで、そうなるとやはりゼウスかアレスが適任でしょう。
ようは、アレスは真の黒幕というよりも、ある意味ダイアナのガイドとして登場しているのだと思います。
アレスを倒していい感じのハッピーエンドになるのでそこがまたアレスを真の黒幕っぽく見せていますが、実はアレスが云々ではなくスティーブがロンドンへの爆撃を阻止したおかげで休戦が叶ったんですよね。
そういうとこはちょっと分かりづらいかも。
あとアレスにマントが欲しかったな。とてもとても欲しかったです。
他にも画面が暗いとか、テンポと編集もうちょっと工夫して欲しいなとか、ラストバトルのCGなんとかしてとか不満点はないわけではない。なのですが、いちばん大事なのはですね、Dr.ポイズンとエッタにもっと出番を!!ってことですね。
エッタ、もともとはダイアナのサイドキック的なポジションを務めてたキャラなんですよ!
最後に
なーがなが書いてしまいましたが、今作は、とにかくメッセージの伝え方がどこまでも真っ直ぐで、それが素晴らしい!
この真っ直ぐさをダイアナが体現してくれているので、観客もメッセージを素直に受け取りやすくなってるんですよね。前も書いたけど。
この映画に込められた魂と情熱が、不満点とかどうでもよくなるぐらい最後には突き刺さってくるので、見終わった後ほんと満たされます。
エンドクレジットで流れる主題歌がさらに胸を打ちますよ。。
改めて、この映画はすごく真っ当に、丁寧に造られた、観る価値のある映画だと思います。
そして昔から心のヒーローだったワンダーウーマン初の実写映画がこんなにも素敵な作品になっていて、本当に本当に嬉かったです。