触診
触診ってただ触れるだけやん!!
って思っている人も多いと思います。
でも実際は全く違います。
人の肌に触れるということは、ある種の情報交換です。
こちらがアンテナを立てて色んなセンサーの感度をあげなければ情報を引き出すことができません。
大事なことはこちら側の感度をあげるってことです。
暖かさや冷たさだけでなく、皮膚の感じや肌理の細かさ等々です。
感度を上げるために一番大事なことは思考という電気信号を送って皮膚の反射を診る訳です。
そうすると相手は様々な答えを出してくれます。
強く触る必要はありません。
治療の上手い人は、パンパンになった筋肉でも強くは触りません。
触れる程度にしか触りません。
それでも患部には結構痛みを感じたりする程です。
パンパンになった状態をどう捉えるのかで治療の効果が全く違ってきます。
こういうことがありました。
私の若い時の経験です。
ある講習会で講師の先生が私の手の三里をもってここの圧痛はどうですか?
と聞きました。
そんなに痛みはなかったので「そんなに痛くありません」
と答えました。
ちょっと首をかしげるような仕草をしていたのですが、他のベテランの先生が私の手の三里をおさえると痛い。
「ああ~そこ痛いです」
と言いました。
場所は全くかわりません。
強く押さえている訳でもありません。
物理的に考えるとおかしいと思いません?
でもそういうことが触診にはあります。
何が違ったんでしょうか?
それはちょっとした意識の違いです。
どんな思考をもって触ったかによって感じ方が全く違うのです。
鍼灸はとてもデリケートな治療です。
雑に扱えば雑な答えしか返ってきません。
本に書いてあるツボを押さえても効果はないか少ない。
有名な治療家って沢山のツボを使いません。
だいたい決まってます。
鍼灸をやる人は、必ずこの現象に興味を持って下さい。
名人と言われる人は沢山のツボを使わない。
私が経験したように同じツボでも検者によって感じ方は全く違うのです。
ツボの効果がないのではなく、効果を出せるツボの使い方をしていない。
だから結果を出せない。
ということです。
ここがツボだからと言って刺激しても返ってくる答えは「まだ痛いです」
という症状がとれない訴えしか返ってきません。
何が違うのか?
これを考えないと上手くはなりません。