You're all surrounded [第3章−後編]
第3章 人が出逢うと言うことは・後編
[3]
**2017年6月某日 ~降谷零の記憶**
6係の工藤らと追わせていた事件の犯人の1
人が、実家に逃げ帰ったらしいと言う話があ
ったので、工藤らには逮捕した犯人の聴取や
裏取りを指示して、鳥蓮と遠山に出張を命じ
たオレ
もちろん、鳥蓮に釘を差す意味で、仕事で行
くんだからな(ついでにデートとかはやめろ
よ)と言ったんだけど、何故か遠山の方が反
応して
それ、セクハラですか?的な発言を返して来
たのには驚いたけれど、とりあえず、鳥蓮を
ここから追いやる事には成功した
冴島が、司法解剖に立ち会いに行っている間
オレは沖田を連れて、彼らが同居しているマ
ンションへと向かった
「オマエは何も見なかった事にしろ」
「当たり前や!英治に殺されてまうわ!」
オレは、玄関で待ってます、と言う沖田を無
視して、鳥蓮の歯ブラシを回収した
鳥蓮の部屋にも入ったが、怖いくらいに生活
感の無い無機質な部屋に、ノートPCでさえ
机にしまい、引き出しには厳重なロックが施
されている事に唖然とした
長居無用と判断んして、部屋を出る
「英治、何かの容疑がかかってるんですか?
アイツ、愛想は無いけど、犯罪を犯すような
タイプでは無いで?」
そう言う沖田に、言った
容疑じゃないんだ、と
本人を護るために必要なんだけど、どうして
も意地を張って応じないから強硬手段に出た
だから、黙っていてくれ
いずれ、みんなにも説明する、と言って
「わかりました
でも、約束ですよ、係長、必ず説明、してく
ださいね」
とりあえず、オレ、出張から戻った英治に殺
されるので、奴の歯ブラシ、買って来ますと
言う沖田に、サンきゅ、と告げた
「あーあ、でも英治はええなぁー💢
和葉ちゃんと、お泊り捜査やなんて、そんな
バラ色の捜査、あんねんなー💢」
車内でそうぼやく沖田に、思わず笑ってしま
うオレ
「係長、来年新人を入れるなら、遠山みたい
に可愛ええ子がええです(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」
「それは無理だろ、沖田」
「ですよねー、あんな別嬪さん、そうそう居
るワケ無いですよねー💕」
あーあ、オレの春はいつ来るんだよ、と盛大
なため息を吐いた沖田に、今度どこかで合コ
ンセッティングしてやる、と言うと、飛び起
きて言った
「絶対やで?男に二言は無いな?
あったら、家にある真剣、持ち出すで?」
「沖田、上司を脅すとは良い度胸してんな」
「あはは、いやー、刑事の仕事は楽しいん
ですけど、とにかく、出会いが無くて」
飢えてるんです、乾いてるんです、潤いが足
りないんです、と泣き真似をする沖田を庁舎
に送り届け、オレは科捜研へ向かった
手土産のケーキと一緒に、回収した歯ブラシ
を手渡した
「で?コレを内緒で急ぎ解析しろって?」
「あぁ、頼むよ、志保ちゃん」
「しょうがないなぁ、ケーキに免じてやるけ
ど、ちょっとだけ時間頂戴?」
「結果は、まずオレに」
「了解」
宮野一課長の実妹の志保ちゃんは、科捜研の
所長に就任しているが、優秀な検査技官でも
あり、オレはその手腕に絶大な信頼を寄せて
いた
庁舎に戻ると、オレは雑務に追われた
出張中の梓に代わって、6係も一緒に面倒を
見なくてはならず、捜査状況の報告やら何や
ら、2部署分を処理するために、奔走する事
になったからだ
おまけに、ボス不在だと言うのに、優秀な面
々は、次々と犯人を連行して来るものだから
オレは後処理に奮闘するハメになった
「どう?零さん、そっちの様子は」
「大変だよ、何でボス不在だってわかってる
日に限って、みんな全力投球で犯人連れて帰
って来るんだか」
ぼやくオレに、電話の向こうの梓は笑った
これから、2人目のアポイントの人と逢うと
言っていて、少し時間が出来たから、と言う
事だった
「収穫、あったんだな」
「わかる?ええ、思いがけず豊作よ」
そう言って笑った梓は、風見が京都に向かっ
ていると言う事と、1件目で得た情報を、手
短に教えてくれた
オレと風見でさえ知らなかった遠山家と服部
家の秘密が、続々と現れていた
そして、オレは遠山があの遠山銀司郎の娘だ
と言う事を知った
大阪府警本部長、遠山銀司郎
職務遂行中に殉職した事を、知らない警察官
は居ない
大阪府警、遠山と訊いて、まさか、と思って
いたのだが、そのまさかは的中したワケだ
殉職した父の後を追う事を、娘は選択したと
言うワケだ
現役の科捜研所長の母ではなく
そして、その母も、その道を選んだ娘の背を
押したと言うワケだろう
「遠山母娘の抱えるモノは、私たちの想像以
上に深いモノがあるわよ」
梓はそう言って、そろそろ時間だから、と電
話を切った
夜には電話する、とメッセージが届いた
無理すんなよ、と返して、オレは膨大な山を
前に奮闘した
次々と報告に現れる面々を前にして、コイツ
らも段々と一人前になったな、と思う
最初は、報告書ひとつとっても不備だらけで
何度ぱしぱし紙で叩いたかわからなかったく
らいなのに
それに、報告の時も、要領を得ない口ぶりだ
ったのが、的確に言えるようにもなった
それだけではない
一番大きな違いは、手の空いた奴から順番に
一番バタバタしている奴の手伝いに言われな
くても回るようになった事だ
現在も、黒羽が色々なところへ回って手伝い
をして回ってるし、他のベテランも、仕方な
いなぁと言いながらも、的確に指示したり、
代わったりしながらやっている
連携やチームとしての自覚が、それぞれの捜
査員ひとりひとりが、持ち始めたと言う事だ
刑事の仕事は単独では成しえない
逮捕してからも、煩雑な手続きが山のように
あるし、事件は待ってくれないからだ
協力し合わない限り、誰も家には帰れないと
言うワケだ
目が回るような忙しさを何とか乗り越えて、
漸く、落ち着きを取り戻したのは深夜の事
オレは、久しぶりに煙草を吸って、自席へと
戻った
煙草は嫌いじゃないんだけど、仕事を早く片
付けようとする時には邪魔に感じるオレだ
風見も、潜入捜査の時には吸うけれど、私生
活では一切吸わない
「妻が気管支が弱いもので」
そう、風見は妻帯者だ
ちなみに、つい最近、可愛い女の子が生まれ
たばかり
結婚10年目の子供誕生に、両家共に大喜び
だと言っていた
オレも、梓も見せてもらいに行った
まぁ、嫁さんは、別れたはずのオレらが揃っ
て顔を見せた事にびっくりしていたけれど
「良かった」
と言って、可愛い陽香(はるか)ちゃんを抱
かせてくれた
風見に似ず、美人な嫁さんに似た可愛い小さ
な女の子だった
その帰り道、梓が言ったのだ
遠山も、行方不明の平次くんも、生まれた時
には祝福されたはずだ、その幸せを、願う人
が居たはずなのに、と
オレも、思った
オレと、梓の亡くなったひとり息子、空の事
不運が重なったとしか言えないけれど、どう
しても考えてしまう
あの時、空を迎えに行ってから行動すれば良
かった、と
風見は、そんな事は無い、一番憎むべきは、
あの住宅街を法定速度を超えたスピードで運
転していた犯人だと何度も言ったけど
オレと梓を探して、園を抜け出した空の事を
思うと、胸が痛い
あれから10年が過ぎたなんて、まだ、信じ
られずに居る
それは、梓も同じみたいだ
「零さん?」
深夜、梓から電話が入った
「空に、逢いたくなっちゃった」
開口一番、梓はそう呟いた
「オレに、そう言っていい権利があるか、わ
からないけど、オレも今日そう思ったよ」
「権利?あるでしょう、貴方は父親だったん
だから、間違いなく」
何を言ってるの?と言う梓の声は涙声だった
「君に、辛い捜査をさせてしまってすまなか
った」
「捜査にツライも何も無いよ、零さん」
そう言った梓から、捜査報告を受けた
梓は、大滝本部長と面会した後、大阪府警科
学捜査研究所所長の遠山和美氏と面会してい
たのだ
それも、非公式で
梓と、遠山氏だけで行われた面会は、現在、
遠山所長が暮らしているマンションで行われ
たらしい
数年前から、住まいをあの服部邸の隣家から
そのマンションへと移していると言っていた
と言う
「実は、娘はこのマンションの事、知らんの
です」
そう言っていたと言う
「遠山にそっくりよ」
背は遠山の方が大きいが、顔立ちなどは、母
娘と一発で判るほど、似ていると言った
「遠山所長は、ここ数年、あの家とマンショ
ン、ホテル、と移動しながら生活しているみ
たい」
「何か、あったと言う事か?」
「ええ、本人は心当たりが無いとは言ってい
るけれど、大滝本部長の口振りだと、あの事
件以降、遠山が大阪を離れてから何度か、襲
撃されているみたいだわ」
「何故、彼女なのだろうか?」
「それがね…」
昼間、風間と一緒に訊いた大滝本部長の話、
そして、夕方、遠山所長と話した内容から梓
が推察したのは
そもそも、服部邸の事件を見直す必要がある
のかもしれない、と言う事だった
服部邸の事件は、あの当時、連続して発生し
ていた連続強盗殺人事件の3番目の事件とし
て捜査されていた
梓は、それが間違いなのではないか、と言う
疑問を呈しているのだ
「じゃあ、何が原因だと?」
「まだ、はっきりした事を掴んでいるワケで
は無いんだけど…」
ひとつは、服部平次の出生の秘密
もうひとつは、遠山元本部長の殉職
「遠山さんの?」
「ええ」
現地で話を聞いたり、裏取りした結果、どう
も遠山家と服部家、双方が関係した何かトラ
ブルがあるような気がする、と言う梓
「両家が実は仲が悪かった、とかそう言う事
ではないの
むしろ逆で、運命共同体みたいな、強い結び
つきと言うか」
一人娘を手放しても、隣家の秘密を守ると言
う行動も、そう考えると納得出来ると言う梓
だった
梓は、出張最終日まで、出来る事はすると言
ってくれたけど、一旦そこまでで良いとした
鑑定結果を踏まえて、次の動きをしなければ
ならないと思っていたからだ
翌朝、科捜研に寄ってくださいと連絡が入る
朝の会議が終わり次第行くからと返事をした
ここから先の捜査は、より慎重にしないと何
が起こるかわからなかった
梓を巻き込むワケにはいかないし、遠山の事
も、不用意に巻き込んではいけないと思って
いる
一端、集められた情報を基にして、戦略を練
る必要があると判断したのだ
何せ、弔い合戦だと意気込んだ府警が、未だ
に解決出来ずに居る事件
恐らく、何らかの大事になる事は必至だ
梓に託された伝言も受けた
姫を、大事に育てよ、育てられぬと言うので
あれば、一刻も早く返還せよ、と言う事だ
「遠山銀司郎、か」
遠山氏の事件が発生したのは、現在から24
年前の冬の事
1993年3月
仕事で東京に来ていた遠山氏の移動車両が、
高速道路を走行中、爆破事故に巻き込まれて
同乗者全員、即死したのだ
当初は事故に巻き込まれて、と言う話だった
のが、その後の捜査で、仕組まれた車両衝突
事故だった事、最初から遠山氏が乗っている
車両狙いであった事がわかった
そこまでは、良かったのだ
捜査が進展すれば、おのずと犯人検挙につな
がると、誰しもがそう考えていた
ところが、犯人は捕まらないどころか、容疑
者となるモノが次々と亡くなると言う有様で
そのまま、現在も犯人が特定されないままと
なっているのだ
遠山氏は、史上初の若さで、大阪府のトップ
に立っていた
その背景には、長年に渡る府警の不祥事を重
く見た上層部が、膿を出し切ろうと、人事を
大幅刷新し、若い本部長を立てたのだ
当時、まだ若干29歳で、到底仕切るのは無
理と言う大方の予想を捩じ伏せて、遠山氏は
改革を押し進めて、成功を収めていた
任期2年目がスタートした直後の事故死
まだ幼い子供も居ると言う事で、その死につ
いてはかなり大々的に報じられたのだ
まだ若い妻と幼い子供が愛らしかったから、
その哀しみはより鮮烈な印象を伴っていた
警察葬には、多数の一般客も列をなした
実は、オレもその列に並んだのだ
当時、オレはまだ15歳だった
遠山氏が亡くなる半年くらい前に、オレは、
彼自身に補導されたのだ
家でトラブルがあって、そのイライラをぶつ
けるために、街で少し騒動を起こしてしまっ
たのだ
それを仲裁して、オレを補導したのが、当時
もう本部長に就任していた遠山氏だった
私服で、非番だと言って、お腹が空いたから
一緒に飯でも食おう、と言われるがまま食べ
話をした
説教をするワケでも無く、オレの髪や瞳がい
い色だね、と笑って、他愛もない話をしただ
けだったけど
でも、その時、言われたのだ
本当に、誰かに理解して欲しければ、自分が
変わらなくてはダメだと
暴力では何も解決しないし、自分が傷つくだ
けだから、と
「君は良い瞳をしているね
自分が頑張ろうと思った道を、まっすぐに走
って行ったらいいよ」
そう言う道、君なら案外早く見つけるかもね
と言って、街中に消えて行ったのだ
報道で、顔写真を見た時、オレは本当に驚い
たのだ
オレが、警察への道を選択したのは、この出
逢いがあったからだった
「可愛い娘のためにも、平和な街をちゃんと
護る責任がオレにはあるんだ」
そう言って笑った顔を、オレは今でも正確に
再現が出来る
まさか、24年後、その娘が部下としてやっ
て来るとは想像もしていなかったけれど
遠山銀司郎 享年30歳
若過ぎる、と思う
オレも、もうその年齢を遥かに超えたし、当
時2歳だった娘も、26歳になろうとしている
父親の年齢を超えるのも、時間の問題だろう
遠山氏の死後、府警の改革は止まるかと思わ
れたが、世間一般の予想を裏切り、ゆっくり
と、ではあったが、改革は進んで、組織の立
て直しが進められた
現在の本部長の大滝氏は、遠山氏が刑事時代
からの付き合いで、一番弟子とまで言われた
人材だ
梓にも、快く色々な話をして、何人か関係者
も紹介してくれたと言う
ただ、大滝氏は、最後まで遠山の警視庁への
異動に異論を唱えていた
府警の幹部候補生でもある、として
もしかしたら、遠山を政治的に利用する目的
があったのかも知れない
より一層の、改革を進めるために
だから、あんな事を言ったのではないかと言
う考えも、オレは捨てられずにいた
梓の言うように、強盗殺人事件の3番目と言
うよりは、服部平次の出生の秘密に焦点を当
てて、見直した方が良いような気がした
でも、オレは、迷っていた
オレと風見が当時、服部静華科捜研所長にあ
る事件の証言を迫っていた事
それも、事件とは無関係とは思えなかったか
らだ
その事を、梓は概略は知っているものの実際
捜査していた中身については、知らないのだ
オレは、隠し持っているファイルを開き、た
め息を吐いた
[4]
**2017年6月某日 ~榎本梓の記憶**
「娘にとっては、静華が母親みたいなとこ
ろがあったものですから」
私が、銀司郎さんの死から立ち直れへん間、
ずっと、自身の息子を育てながら、和葉を育
ててくれましたからなぁ、静華は
妬けるくらいに、仲良しでした、と笑う
「平次くんの父親のことですか?
私も散々、訊いたんですよ?銀司郎さんにも
静華にも」
でも、教えては貰えへんかった
せやから、最初はちょっとだけ疑うたんや
もしかして、銀司郎さんの子やないかって
「え?」
「それはちゃうって事は、ちゃんと物的証拠
を示して、報せてくれました」
それにな、産まれた平ちゃん見てたら、そん
なんどうでもええわ、と思って、と
一枚の写真を見せてくれた
病室で、産まれたばかりの赤子を抱いた静華
氏と、幼い遠山とその母の4人が笑っておさ
まっている
確かに、と私もその写真を見てそう感じた
「本当に、可愛い」
「せやろ?実物は、もっと可愛ええんよ」
ふふっ、と笑う顔は、素敵だった
「平ちゃんの名前を付けたんは、銀司郎さん
なんです」
「何か、意味があるんですよね?」
そっと頷くと、紙にさらりとふたつの名前を
並べて書いた
平次
和葉
「和葉の名前は、私が付けました
5月の、深緑が美しい季節に産まれたので、
人々を癒し、和ませる若葉のような人になれ
るように、と」
平ちゃんの名前は、正確には、私と静華、そ
して銀司郎さんの3人で候補を立てて、最後
は静華が決めたんや
銀司郎さんが付けた理由は、
「平和な次世代の暮らしを護れる男になれま
すように」
やったんやけどな、並べた紙を見て、その周
りをとてとて歩く和葉を見ていた静華が言う
たんよ
「平和な世界を護る、次世代の葉(子供)」
和葉の名前と組み合わせて、願いを託す、言
うてな
平和を護れる子供に
人を癒し和ませられる存在であれ
「それで、平次」
「ふたつの名前が揃って、初めてホンマの意
味が浮かび上がるんや」
どちらか片方やと、意味も半減してまう、と
言った
遠山所長と一緒に夕飯を食べて、翌朝、講習
会の会場で再会した
昨夜の対面は無かった事にする約束だったの
で、初対面として名刺交換からした私達
「榎本さん、こちら、そちらの科捜研からお
借りしてます中森さん」
青子ちゃん、ご挨拶して、と遠山所長に促さ
れると、ぴょこん、と元気よく挨拶する
「いつも、快斗がお世話になってます!」
「はい、お世話してます」
「えっ!快斗、そんなに迷惑かけてるんです
か?(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾すいませんっ」
本気でワタワタしている様子がとても愛らし
い子だ
写真は黒羽からたくさん見せられたし、黒羽
のデスクには、2人でどこかの時計塔の前で
笑顔で映る写真が堂々と飾ってあるので知っ
てはいたけれど
動く青子ちゃんは、破壊力満点だわ、と思っ
て笑ってしまった
(めちゃくちゃ可愛いじゃない、黒羽刑事?)
仕事に入ると、キリッとして人が変わるんや
と笑う遠山所長に、とても懐いている様子
まるで母娘のようだった
講習会は、大阪と京都で開催したのだが、結
局、遠山所長と中森研究員はそのどちらもに
参加してくれて、京都からの帰りは見送りも
してくれた
「すっかりお世話になってしまい、すいませ
んでした」
「いえ、こちらも楽しませてもらいましたし
しっかり学ばせて頂けたので」
なぁ、青子ちゃん?と笑う遠山所長の隣には
笑顔の中森研究員
「快斗がどうしても、言う事を利かない時は
連絡して下さい」
お仕置きの方法、教えます!と笑う中森研究
員に、ちなみに、どのくらいの破壊力?と訊
いた
「そうですね、再起不能の一歩手前とは言え
ないかも知れませんが、少なくとも、その日
は使い物にならないと思います!」
満面の笑みで、怖い事を言った
あの黒羽を、使い物にならない状況に、ねえ
「それは是非💕」
速攻で連絡する約束をして、3人で写真を撮
った
黒羽には、この出張を報せていない
この写真だって、結構なダメージを与えるだ
ろう
「当面、これをネタに張り切って働いてもら
わなくちゃね💕」
事件の方の謎は深まるばかりだけれど、ヒン
トはだいぶ回収出来たと思う
後は、零さんに情報を提供して整理して、こ
の先の捜査をどうするか、考えよう
追加調査は今はまだ良い、と、先日連絡した
時に言われたのだ
お土産をたくさん抱えて、私は東京を目指し
て帰った
第4章へ、
to be continued