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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

カール大帝の夢8-水魚の交りアルクィン登場

2017.08.30 04:05

ローマの休日。780年のクリスマスからカールは半年間イタリアに滞在する。スペインで臣を死なせたカールだが、王妃ヒルデガルドが双子の王子を産むという慶事もあった。彼は王子にルートヴィヒ(クローヴィス)とロタールというメロヴィングゆかりの名前をつけ、メロヴィングの臣も含めて結束を促した。

ここで運命的出会いがあった。この後カールを支えるアルクィンである。彼はキリスト教の理想と共に、現実のローマ法にも長じまさにカールにうってつけの人材であった。アルクィンもカールに惚れ、二人はパートナーとなってゆく。アルクィンなしにカールの帝国はなかっただろうが、賢者を謙虚に求められるのも、彼を単なる征服者から画する資質である。

またカールは教皇ハドリアヌスとの親交を深め、キリスト教統治を深める機会とした。そして4歳の息子の洗礼をし、この子をピピンと名づけ、正式に嫡子とすることにする。ところがすでに彼には10歳になる同名の側室の子が居た。カールはキリスト教の教えに従い、正室主義を宣言した。

この後ヨーロッパではまがりなりにも正室主義が成立する。そして長子は廃嫡され、カールマンと改名された。もちろん待遇に変化はなかったが、やはりこの子は後にカールに反乱を起こすことになるのである。

下はジュール・ローレ作「アルクィンから原稿を受け取るシャルルマーニュ」