印象に残らない支配者・小林!RTD早慶戦! RTDリーグ2017準決勝第2節9、10回戦レポート
8/23(水)17:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ準決勝第2節9、10回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
開始時のポイントはこちら↓
15年ほど前、勤務していた麻雀店で「誰がこの店で一番強いと思うか」という、ありふれた話題になった。
私は「Aさん」と答え、ある者は「Bさん」と答えた。
そんな中、意外な名前が1人から挙がる。
「Sさん」。
これには驚いた。Sさんは、確かにそつなく打っているが、勝っている印象が強くなかったからだ。
しかし、そこからSさんの成績に気を配るようになると、確かに勝っているのだということがわかった。
Sさん、と答えたお客様が言う。
「麻雀ってのは、勝っているのがわからないぐらい印象に残らないやつが一番強いんだよ。結局ね」
なるほど、面白い見方だなと思ったのだった。
9回戦、私が最も印象に残っているのは、やはり東1局のこのアガリである。
もう後がないたろう、渾身のハネマンツモ。
逆境たろうのアガリに、控室も湧く。
東2局では、オヤかぶりした小林が300・500。
ハネマンをオヤかぶりしたというのに、仕掛けるべき手を平然と仕掛けてミニマム打点で他家をかわす。
東3局4本場、オヤを続ける佐々木のリーチに対し、ついにたろうが掴んで5800。
これでたろうがトップを明け渡した。
次局の5本場では、小林が仕掛けて500・1000。
きっちり5本場を回収していく。
南入すると、その小林が一発ツモで4000オール。
南3局、ここで気づく。
ん?佐々木は連荘でトップ目に立った印象だが、小林が2着目?
小林の印象がまるでないのである。
そんな小林がカン2sリーチをかけていった。
すると、たろうも5m8mのリーチドラ3で追いかける。
結果、小林がたろうから2sを打ち取り、8000。
終わってみれば、小林のトップとなっていた。
このとき、冒頭のやりとりを思い出したのだった。
なるほど、印象に残らない支配者か。
この半荘の支配者は、確実に小林だった。
ハネマンのオヤかぶりからスタートしても、アガリ優先のスタイルを崩さず、決して無理をせずにチャンスを待つ。
実に小林らしい、素晴らしく目立たない快勝譜で、上位に踏みとどまった。
続く10回戦は、村上・勝又一騎打ちの様相を呈していく。
東1局にオヤの村上が5巡目テンパイを平賀からアガり、12000で先制すると、1本場では勝又が村上との2軒リーチを一発ツモのハネマンで制し、村上をまくる。
しかし、村上も黙っていない。
東2局で先制リーチをかけると、勝又から追いかけリーチ。
しかし、ここは村上が制し、勝又から8000直撃でトップを再逆転する。
これに対し、オヤ番のアガリで再度逆転を果たした勝又は、南1局村上のオヤ番で中ポンと8pチーの2フーロで勝負に出る。
打点も低く、待ちもドラまたぎで良くないが、これをアガることができれば、相手のオヤを落としてリードを広げることができるため、トップ率はかなり上がりそうなところ。
勝又をよく知る白鳥は言った。
「この仕掛けを入れた勝又さんはリーチに対してもオリないから、足止めリーチは無効化される」
すると、ここに村上のシャンポンリーチが襲い掛かった。
勝又としては、当然の押し。
そして、数巡ツモ切った後、5pツモの500・1000で村上のオヤを落とす大きなアガリとなった。
オーラスを迎えてもトップ目の勝又だったが、ここで村上に手が入った。
ダブ南アンコで、ホンイツに寄せるだけで逆転条件を満たす。まっすぐピンズと字牌を打ち出すと、平賀が北を切った直後に北がトイツになった。
こうなると、北さえ鳴ければ小四喜さえ見えてくる。
しかし、勝又の手牌からこの北が切られることはなかった。それだけではなく、オヤ白鳥の鳴ける牌も打たず、ノーテン流局に持ち込み、完全勝利を果たした。
対局後、平賀が近づいてきて一言。
「RTD早慶戦、負けました」
なるほど。よく気づいたものである。
1着 勝又(早稲田)
2着 村上(早稲田)
3着 平賀(慶應)
4着 白鳥(慶應)
かくして、第1回RTD早慶戦は、早稲田陣営のワンツーフィニッシュとなったのだった。
準決勝もこれで折り返し。
かなり縦長の展開となったが、たろう含めた下位陣の逆転はあるのか!?
ここからは、トータルポイントを意識した戦略のぶつかり合いも見どころの1つとなるだろう。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回9/3(日)14:00から準決勝第3節をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定