【一行問題】概念フレームワークの質的特性について述べよ
問題:概念フレームワークの質的特性について述べよ。
<基礎的な概念の確認>
概念フレームワークとは、財務報告の基礎となる諸概念を体系化したものである。概念フレームワークにおける財務報告の目的は、財務諸表利用者の意思決定にとって有用な情報を提供することである(「意思決定有用性」)。この目的を達成するために必要な質的特性を各会計基準の設定主体(例えばIASB,FASB及びASBJ)は定めている。ここでは日本基準と国際基準のフレームワークを例に記述する。
<日本基準の概念FWにおける質的特性>
まず、日本の討議資料・概念フレームワーク(討議資料)における質的特性についての述べる。討議資料において、意思決定有用性には「信頼性」及び「意思決定との関連性」の二つの基礎的特性がある。信頼性とは会計情報が信頼にたる情報であることであり、意思決定との関連性とは会計情報が将来の投資の成果についての予測に関連する内容を含んでおり、企業価値の推定を通じて投資家による意思決定に積極的に貢献することである。この二つの基礎的特性の間にはしばしばトレードオフ関係が存在する(図1)。
信頼性は、「検証可能性」、「中立性」及び「表現の忠実性」の3つの下位概念に支えられている。検証可能性は、見積もりが測定者の主観に左右されないことを要求している。中立性は、一部の関係者だけに偏重することのない財務報告を要求している。表現の忠実性は、事実に対して会計上の分類項目を明確に対応させることを要求している。
意思決定との関連性は、「情報価値の充足」及び「情報ニーズの存在」の2つの下位概念によって支えられている。情報価値の充足とは、投資家の予測や行動が情報の入手によって改善されることである。さらに情報価値があると期待させるためには、その情報についてのニーズが存在する必要がある。
さらに、討議資料は「内的整合性」及び「比較可能性」の2つの一般的制約がある。内的整合性は、会計基準が矛盾なく内的に整合しているということであり、比較可能性は、同一時点の企業同士及び企業を時系列に比較可能であるということである。
<国際基準の概念FWにおける質的特性>
次に国際基準の概念フレームワークにおける質的特性についての説明する。国際基準の概念フレームワークにおいて、意思決定有用性は「表現の忠実性」及び「目的適合性」によって支えられている。これは、それぞれ日本の討議資料の信頼性と意思決定関連性に対応している(図2)。
表現の忠実性は「中立性」、「完全性」及び「無誤謬性」の3つの概念に支えられている。目的適合性は「重要性」、「確認価値」及び「予測価値」の3つの下位概念に支えられている。また、補強的な質的特性として、「比較可能性」、「検証可能性」、「適時性」及び「理解可能性」を規定している。
さらに、一般的な制約として「コスト」をあげている。
解説:質的特性は基準設定機関が勝手に決めているものなので覚えにくい。なので、語呂合わせで覚えよう。日本基準は、「関西の情報ニィさんは、ケチな表現で信頼性失う。制約として非核がないと。」、国際基準は、「酷い痴漢の表現、モジの確認で予測。ひげのテリトリーが補強。+コスト」で覚えよう。