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とある冒険者の手記

A.聖芒祭

2021.12.25 06:45

ミスト·ビレッジにある、アリスの自宅兼FCハウス。

庭に出てきたアリスは、一面の白銀の世界に呆然としていた。


「積もったなぁ。これは買い物行く前に雪掻きしなきゃだ…」


溜め息を吐いて、一旦室内に戻るアリス。

服を着込み、服の中には寒さ防止のファイアクリスタルを仕込み、雪掻き用のスコップを手に取り、再び外に出る。

取り敢えず、庭から敷地外までの道を確保する為に除雪を始めた。

道が確保出来ると、次はチョコボの小屋の周りの雪掻きを始める。

すると、テレポの音が聞こえ振り向くと、そこには義姉のガウラの姿があった。


「義姉さん!おはようございます!」

「おはよう!雪掻き中かい?」

「はい!義姉さんは何か用ですか?」

「いや、暇だったから顔を出しに来たんだ」


ガウラらしい言葉に"なるほど"と小さく笑うアリス。


「義姉さん、運が良かったですね」

「どういうことだい?」

「実は買い物に行こうと思ってたんですけど、外に出たらこれで…」

「雪掻きがなきゃ、入れ違いだったってことか」

「そういう事です」


それを聞いたガウラは、少し考え込み、口を開いた。


「雪掻きは私がやっとくから、お前は買い物に行っといで」

「え?でも、今から行っても、戻ってくるの昼過ぎですよ?」

「構わないさ。何かしてないと落ち着かないしな!雪掻きが終わったら、中で待たせてもらうよ」

「分かりました。あ、お昼はキッチン使って何か作って食べててください」

「あいよ」


アリスは雪掻き道具をガウラに渡し、「行ってきます!」と言って転送網利用券(双蛇党)を使ってグリダニアへと飛んだ。

そして、マーケットの方へと足を進める。

そして、店で足を止め、店員に話しかけた。


「すみません。取り寄せをお願いしてた、フ·アリス·ティアです」

「あぁ!ハーブティーをご注文だった方ですね!」


そう言うと、店員は奥の方から品を取り出し、中身を確認し、紙袋に入れて手渡す。

ギルを支払うと、"ありがとうございました"とお辞儀をされ、アリスは次の目的地へと移動を始める。


オールドシャーレアン行きが決まった事もあり、その準備をする為の備品の買い出しである。

手帳のページが残り少ない為、ページ数が多い物を探し購入。

野営の為の部品や、武器の手入れ道具、義姉と行動することも考えエーテル薬も購入。

そして、ウルダハへとテレポし彫金師の店へと足を運んだ。


「あら!フ·アリスさん!」

「こんにちは!セレンディピティさん!」


彫金師をしていたこともあり、すっかり顔馴染みになったギルドマスターと、軽く挨拶を交わす。


「今日はどんな御用で?」

「アクセサリーを見に来ました!」


今、義姉が家に来ているので、義姉にスターライトプレゼントを渡したいと言う旨を伝えると、セレンディピティは"それなら!"と出てきたのはイヤリングだった。


「新作のトリテレイアイヤリングです!錬金術ギルドから仕入れたんですよ!」

「へぇ!上品ですね!」


これなら義姉にも似合いそうだと、赤い色の物を手に取る。

そして、義姉に渡すなら一緒にとヴァルの物として青い色も購入した。


「包みを別にしてください」

「分かりました!分かりやすいように色を別に包装しておきますね!」

「ありがとうございます!」


アリスは包みを受け取り、自宅へとテレポした。

自宅に着くと、ガウラは木人と睨めっこをしていたが、直ぐにこちらに気が付き、顔を向けた。


「義姉さん、ただいま戻りました!」

「やぁおかえり、アリス」

「何してるんです?」

「木人が壊れそうだったからね、軽く修復中だよ。といっても材質的に限界なんだろう…新調したほうがいいかもしれないな?」

「そうですか…考えとかなきゃ。……?」


鼻をくすぐる美味しそうな匂いに気がつく。


「なんか、いい匂いしますね」

「あぁ、ナキだよ。雪かき中にやって来てね、星芒祭のお祝いしたいんだとさ。ランチを作ってくれると言ってくれたものだから、キッチンを貸したんだけどよかったかい?」

「ナキちゃんが!?彼女なら貸しても大丈夫でしょう!」

「ならよかった。そろそろ入ろうか、いい匂いがしてるってことは出来上がりも近いんだろうさ」


木人を片して、いい匂いがする室内に入り、リビングへと降りると、テーブルに様々な料理が並んでいた。

その料理の数々に、思わず「わぁ……」と間の抜けた声が出た。


「あ、アリスくん、こんにちは!キッチン借りてまーす!」

「こんにちはナキちゃん!料理作ってくれてありがとうございます!」

「ふふふ〜」

「私に任せなくてよかったな?」


ニヤリとするガウラに、アリスは「えっ!?」とガウラを見る。


「それはどういう意味です?」

「私はそんなにレパートリーが多い訳じゃないからね。こんなに種類は作れない」

「なるほど」

「ほらほら!2人とも座って!」


ナキに促され、席に着く。

そして、料理を食べ始める。


「んーっ!!美味しい!」

「ありがとう!」


ナキの料理の味は、どことなくヘリオが作るものに似ていた。

ひょっとすると、白き一族の味付けなのだろうか?

少し、ヘリオがいない寂しさがアリスの中に顔を出す。

それを誤魔化すかのように、話を振った。


「ヘリオが作る料理の味に似てますけど、故郷独特の味付けですか?」

「うん!そうだよ!…あれ?同じ故郷って話したっけ?ガウラに聞いたの?」

「いえ、分かってしまったと言うか…なんというか…」


口篭るアリスに、ガウラは言った。


「アリス。ナキは黒き一族のことを知ってるから、気にしなくていい」

「え?そうなんですか!?」

「うん!私の担当のルヴァくんから聞いてるよ!アリスくんが黒き一族だって事も!」

「あ、そうなんですね!」


それを知ったアリスは、ホッとしたように話し始めた。


「俺、白き一族のエーテルの匂いが分かるんです。だから、ナキちゃんが同じ故郷なんだって気がついたんですよ」

「「匂い?」」


ナキとガウラは顔を見合わせる。


「黒き一族でも、この能力を持って生まれるのは極稀なんだそうです」

「へぇー!そうなんだ!ちなみに、どんな匂いなの?」

「ナキちゃんは、甘い香りの中に柑橘系の香りが混ざった感じです。義姉さんとヘリオは、ほんのりと甘い花の香りがしてますね」

「ほう?」

「匂いの強さでエーテル量も分かるんですよ」

「だから、儀式が終わった直後に、直ぐに変化に気がついたのか」

「そういう事です」


なるほどなぁと、ガウラは納得した。


「アリスくん、黒き一族なら、蝶の痣がどこかにあるの?」

「ありますよ。暗い所にいる時にだけ、右の脇腹に出てきます」

「そうなんだ!私たちの一族の純血も、儀式が終わると5枚花弁の白い花の痣が出るんだよ!混血は儀式をしないから、4枚花弁白い花の刺青を入れるんだ!」

「へぇー!そうなんですか!」

「おや、知らなかったのかい?」

「ヘリオから何も聞いてないです」

「まぁ、話す必要が無いと思ったら言わないか…」

「ところで、ガウラはどこに痣があるの?」


ナキが尋ねる。


「右肩にあるよ。見るかい?」

「「えっ?!」」


ポカーンとするナキとアリスを尻目に、服に手をかけ始めるガウラ。

それにハッとしたナキとアリスは慌て始めた。


「ちょっ!ちょっとガウラ!」

「ん?なんだい?」

「なんだい?じゃないです!脱ごうとしないでください!!」

「肩を見せるぐらい、問題ないだろ?」

「わーわーっ!!!」


両手で視界を隠すアリス。

ナキがガウラの手を掴む。


「ダメだよガウラ!女の子が簡単に男の人の前で肌を見せちゃ!!」

「え?肩だよ?」

「ダメなものはダメ!そう言うのは、恋人じゃない人に見せちゃダメ!!」

「………わかったよ」


腑に落ちないという顔で、服から手を離すガウラ。


「アリスくん、もう大丈夫だよ」

「ほ、本当ですか?」


そーっと手を退けるアリス。

アリスの様子が面白かったのか、イタズラ心が顔を出したガウラは、再び服に手をかける。


「わーっ!!」

「ちょっと!ガウラ!」

「ははっ!アリスの反応は面白いな!」

「か、勘弁してください…」


そんなこんなで、賑やかに食事は進み、食事が終わる頃にナキから暁のリンクパールを貰い、ガウラはメネフィナイヤリングを貰っていた。

そして、ライディングの時間が迫っていると、ナキは帰って行った。


「さ、私はクガネに行こうかね」

「今からですか!?」

「なぁに、すぐに手に入るさ!」


ナキに頼まれたクガネ産の茶葉を取りに行こうとするガウラ。


「あ!待ってください!」

「なんだい?」


ガウラを引き止め、買ってきていたプレゼントを渡す。


「俺からのスターライトプレゼントです」

「へ?」

「ナキちゃんが来てると思わなかったので、渡すに渡せなくて」

「私は何も用意してないよ?」

「いいんです。日頃の感謝の気持ちでもありますから」


そう言ってアリスは、ヴァルにも渡して欲しいと、青い包みを渡した。


「義姉さんとお揃いなんで、喜んでくれるとは思うんですけど」

「わかった、渡しておくよ」


そう言って、ガウラはクガネへと去っていったのだった。