伝説のジャンプは替え玉だった
2021.12.30 06:26
映画『大脱走』の名場面と言えば、スティーヴ·マックイーン演じる連合軍の兵士ヒルツがナチスの捕虜収容所から辛くも脱走し、敵兵からバイクと制服を奪い、中立国スイスの国境へと向かうシーンが忘れられない。中でもそびえ立つ二重のフェンスを飛びこえようとする決死のジャンプはたまらない。
バイクの操縦にも長けたスティーヴ·マックイーンはこのシーンも自分で演じたかったのだが、危険すぎるこのジャンプを保険会社が許してくれず、代役を立てる事となった。その大役を任されたのがマックイーンが信頼を置く同い年の親友バド·イーキンスだった。
物語りの設定上、ナチスから奪ったバイクは当然ドイツ製BMWのバイクであるはず。ところが実際のBMWの車重ではあまりにも重過ぎてフェンスを飛び越えることが困難だった。そのため、撮影では軽くてパワーがあり、スタントマンのイーキンスが普段から扱って、慣れ親しんでいたトライアンフの「TR6トロフィー」が使われる事となった。実は見た目をドイツ軍風のバイクにカスタムしたのもイーキンス自身だったそうだ。
最後は鉄条網にバイクごと引っかかってしまいヒルツが捕まってしまう。その時、大事な役目を終えたばかりのバイクのタンクを「お前よくやった」とばかりにポンと優しく叩くのだ。そうしたマックイーンの仕草からは、