変わりゆく時代の狭間に中指を立てる新世代デザイナー
ここ何年かのファッションシーンは私にとって、刺激が無く牙を抜かれた獣のように
弱々しい感じが退屈でしかたなかった。
最近のビッグニュースでは、ラフ・シモンズがDiorのクリエイティブ・ディレクターを引退、
アルベール・エルバスがランを引退(これは本当最近話しだけど)と衝撃的なニュースが
飛び交う中で、Gucciのデザイナーにアレッサンドロ・ミケーレが就任というニュースには
心底驚きました。
トム・フォードがGucciでデザイナーを務め、Gucciにとっての新時代の幕開けが起こり、
トム・フォードが抜け、フリーダ・ジャンニーニに変わってから正直、そこまで
注目してませんでした。
ただ、今回のアレッサンドロに変わり、ファーストコレクションが衝撃過ぎて
注目しざるを得ないなと思い、アレッサンドロ・ミケーレとは何者か?
を調べる事に
彼は、生粋のローマ人で、母親は、ローマに複数のスタジオを持つイギリス企業
ランク。フィルム幹部の第一アシスタント。
父親は、母親とは対照的で、自然主義で長髪、顎髭とヒッピーのような人だそう。
特殊な家庭環境で独特の感性を磨き続け、ローマにある
アカデミア・コストゥーメ・エ・モーダにてコスチュームデザイナーの勉強を始める。
しかし、在学中にファッションの方が、現実的なキャリアだと考え始め
ボローニャにてニットデザインをするためにローマを去る。
その3年後、フェンディと仕事をするために故郷ローマに帰郷
フェンディでは、シニア・アクセサリーデザイナーとして、経験を積む
この時からトム・フォードに見出されており、その後、Gucciでレザーグッズの
デザインディレクターに就任。
トム・フォード時代のGucciを経験し、その後、フリーダ・ジャンニーニが手がける
新生Gucciにて経験を積む事になる。
ミケーレの言葉で、印象深いものが幾つか有り、その一つが
”コンテンポラリーは反時代的である”と言葉。
これは、フランスの哲学者ロラン・バルトの言葉で、今回のファーストコレクションに
ぴったりの言葉では?と思いました。
ストリートの要素とラグジュアリーの美しさの融合、決してどちらにも偏り過ぎていない
美しい佇まい。
今シーズンのキーワードとなっている”ジェンダーレス”今回のGucciが
一番この世界観を体感させてくれました。
彼の自宅にあるアンティークコレクションもデザインに大きく反映しているそう。
古き良きイタリアのエッセンスにストリートと言うスパイスを上手く混ぜる。
新時代のデザイナーの今後の活躍に注目ですね。
私個人的な事になりますが、エディ・スリマン率いるサンローラン、
アレッサンドロ・ミケーレ率いる新生 Gucci
この二ブランドからファッションがまたに面白くなってきてる事を教わり、
後ろ髪引かれる思いの有ったファッション業界に、またどっぷりと浸ろうかと思えました。