Poetry Marking

人工ピンクス

2017.09.04 06:29

123,123,123

うつろなワルツ、あるく、ひとり、雨を。

さっきすれちがった女の子のビニール傘の

持ち手の色は雨の街に浮き立つ人工ピンク

沈むことのない色をのせてまわる世界で

雨にも負けズ人類は渇く

ピンクというのはなーんか迷っている色

赤と白の中間にいる色

生まれてきたのと死んでしまったのとの境目

生殖できます、のしるし総天然ピンク

スマートな交配のための個体差

それぞれに違うはずのピンク

でもパッケージは似てるほうが人気、迷うから。

王子様たちは魔法が使えないので

100円ライターを手に

ラブホの片隅で乾燥した愛を燃す

どの個室も同様にボタンだらけ

朝になったらまた

コンビニ・売店で

人工ピンクス

123,123,123

うつろなワルツ、あるく、ひとり、雨を。

さっきすれちがった女の子のビニール傘の

持ち手の色は雨の街に浮き立つ人工ピンク

沈むことのない色をのせてまわる世界で

雨にも負けズ人類は渇く


(2006年ごろの作品)