F1種のこと
私が初めて「F1種」という言葉を知ったのは、約6年前、野菜ソムリエ協会で開催された 一般社団法人Seeds of Life 代表のジョン・ムーア氏の講座でのこと。
それは、都会に住む人たちでも、広い畑や庭が無くても、ペットボトルなどを使い自分なりのオーガニック菜園を始めてみよう、ということがテーマの「ホームエコファーマー」という講座でした。
まだ野菜ソムリエの資格を取得する前のことで、種について殆ど知識もなかった私は、「F1」と聞いて頭に浮かぶのはカーレースのFormula one のことで(笑)、種のF1とは一体何のことなのか、混乱したのを覚えています。
私が種について興味を持ったのは、その時からですが、この講座の中で、種には、固定種・在来種など昔から受け継がれてきた種と、品種改良されたF1種があり、現在市場に出回っている種のほとんどがF1種で、固定種・在来種の種が激減していることなどを初めて知りました。
その後、野菜ソムリエ中級の資格取得のために受講した講義の中で、F1種について、以下のように学びました。
F1(First Filial Generation)品種:
性質の異なる純粋な親同士を掛け合わせて作り出した雑種第一代のこと。
一代交配種、一代雑種、ハイブリット種とも言う。
特徴として、雑種強勢という性質により、親品種の持つ能力よりも高い性質が得られる。例えば、発芽時期が同じ、収穫量が多い、色や形が良い、流通に耐えられる、特定の病気に強いなど期待する性質を持つ品種を作ることがでる。しかし、自家採種して栽培しても同じ品種を再現することは難しいため、毎回種子を購入する必要がある。(野菜ソムリエコーステキストより一部抜粋)
つまり、F1種の誕生は、農家さんや、流通や小売、外食産業に関わる方々の期待に応える品種を作り、野菜の生産性を上げ、安定供給を可能にして、国民の食を支えてきたということでもありますね。しかし、市場に出回る野菜の約9割がF1種となった現在においても、F1種がどのように作られているのか知る機会も少なく、情報があったとしても難しくて、今ひとつ理解できずにいました。
そんなF1種について、とても分かりやすく説明している記事をご紹介したいと思います。
農ledge『F1種は本当に危険なのか?背景を読み解く』
記事の中にある雄性不稔については、人体への影響があるのか無いのか、その安全性が証明されない限り、F1種が危険なのではと心配する意見があるのは致し方ないことだと私は思います。
と同時に、人体への影響について、その答えを出すには果てしない時間がかかり、安全かどうかを証明することは極めて不可能に近いと想像できます。なので、結局のところ、自分たちが口にする食べ物については、それぞれが判断していくしかないのですが、、、大切なことは、情報を知り理解した上でそれぞれが判断していくことなのだと思います。
私はF1種を否定していませんし、F1種の野菜も美味しくいただいていますが、固定種や在来種などの種を守り次世代へ伝えたいという気持ちから、自家採種できる種をシェアする活動もしています。自宅ベランダでも、自家採種した種を毎年蒔き、花を愛で、実を味わい、種を採り、、ということを繰り返していると、自然と命の循環を感じ、植物が子孫を残そうとする凄まじさのようなものも感じます。
これは、全くの私個人の考えですが、、F1種であろうとなかろうと、野菜たちは危惧されるマイナス要因以上に、私たちの健康維持にとってプラスとなる栄養素や機能性成分や目に見えないチカラを持っているように思うのです。何のデータも根拠もないことですが、、人間が誕生するはるか昔から存在している種には、種の意思があり、人間に食べられる運命にある野菜も、その元となる種はたくましさを持っているように思います。
そして、私たち人間が種という小さな命に対して敬う気持ちを失わない限り、種は私たちの期待に応えてくれるのでは、、と。
種の未来についてネガティブに捉えるのではなく、種に潜む目に見えないプラスのチカラを信じたい。
それが、今のところ、私が出した結論かな。