かながわ芸能歳時記 「山北のお峯入り」
山間の集落に繰り広げられる壮大な祭り
山北のお峯入り
(足柄上郡山北町皆瀬川/神明社/10月)
一同が笛・太鼓のお囃子にあわせ練り歩く「道行き」
山北のお峯入りは、概ね5年に一度、10月に山北町役場駐車場と神明社で行われ、起源は南北朝時代まで遡るといわれます。国指定重要無形民俗文化財です。
お峯入りは、一般には修験道の入峰修行を意味する言葉。修験道の行事が元にあり、時代を経るにつれて芸能化し現在の形になったと考えられています。演者だけで80人、11演目を8種の歌舞で行います。
演者一同が行列を組み練り歩く「道行き」の後、おかめの「みそぎ」。太鼓と笛の囃子に合わせて歌う「満月の歌」。原始宗教の呪法を示すとの説もある「棒踊り」。大名行列風の「鹿枝踊り」。山伏が護摩を焚く「修行踊り」。古代の歌垣を思わせる「歌の山」。古代儀礼の国見と蹴鞠の所作をする「四節踊り」。おかめの「五色踊り」。再び「棒踊り」。そして「道行き」で終了です。山間の集落に繰り広げられる壮大な祭りで、その文化的価値は計り知れません。
◎より多くの方々に見ていただけるよう山北町役場で公開公演を行います。なお、神明社へは徒歩のみのご案内となります。
*国見:天皇や地方の長が高い所に登って、国の地勢や民の生活の様子を見ること。国土の繁栄をあらかじめ祝う儀礼。
住所:足柄上郡山北町皆瀬川1533 神明社
足柄上郡山北町山北1301-4 山北町役場
交通:神明社=JR御殿場線「山北駅」下車 徒歩2時間30分
山北町役場駐車場=JR御殿場線「山北駅」下車 徒歩2分
日時:2017年10月8日(日)
山北町役場駐車場 9:30~11:00 神明社13:30~14:30
◎同時期(10、11月)開催のその他の祭り
初山の獅子舞 (川崎市宮前/菅生神社/10月1日)
海南神社面神楽 (三浦市三崎/海南神社/11月5・6日)
監修:神奈川県民俗芸能保存協会会長 石井一躬
協力:山北町教育委員会・お峯入り保存会
写真提供:山北町教育委員会
「みそぎ」おかめが色幣を振り動かしながら四方を清めて廻ります
「満月の歌」歌い上げ4人、太鼓4人で古調を帯びた歌を歌い上げます
「棒踊り1」棒の動作が天を指し、地を突く
「鹿枝踊り」台弓・奴・万燈・先箱・弓・ほろかご等38人が、足を後方にはね上げ大名行列のように練り歩く
「棒踊り2」6人が円形になって踊ります。地を突く動きが中心となっています
「修行踊り」舞踊というより護摩の呪法に近いとされています
「歌の山」古代歌垣の囃子であったといわれます
「四節踊り」四方には四季を代表する桜、柳、紅葉、松を配置します
「棒踊り3」3人づつ2つの円をつくって踊ります。棒は両手で持ち、早いテンポで回転させます
「五色踊り」おかめが鈴と色幣を持ち、五色で表現された中央と東西南北の五方向を祓いながら踊ります
「棒踊り4」6人が円形になって踊ります
「道行き」祭りは道行きで始まり、道行きで終わります