都が『受動喫煙防止条例』を年内に提出、反論は十月六日まで
【政治報道】 平成二十九年九月八日に小池百合子(壬辰)都知事は、定例会見にて『都受動喫煙防止条例(仮)』の基本的な考え方を打ち出した。新元号元年に開催されるラグビW杯に間に合わせる為に、都Fと公明が今月の都議会「定例会」で受動喫煙に関する条例提出を予定する中、二本立てで都民にアピールする。
都知事の条例案は都民からの意見を募集し、勘案した上で年内最後の「定例会」である十二月に提出する見込み。意見は同日から十月六日のおよそ一ヶ月間。福祉保健局を提出先とし、都HPのフォームメール、郵送、FAXにて受付ける。基本的な考え方の閲覧はHPと都庁本庁舎(都民情報ルーム)。関連事業者及び喫煙者にとっては、最後の意見を伝える機会となる。
都知事の条例案では、以下を基本的な考え方のポイントとした。
- 煙草の定義;紙巻き煙草、葉巻き、加熱式煙草等
- 禁煙場所の範囲;多数の人が利用する施設等を「原則屋内禁煙」
- 施設等の利用者・管理者に求める事;利用者に対して施設区分に応じた禁煙場所での喫煙を禁止、管理者に対して施設等の入口付近に禁煙場所の位置の掲示等を義務付け
- 実効性の担保;違反者及び施設管理者に対し、罰則(五万円以下の過料)の適用
- 施行時期;ラグビW杯に間に合う様
次に「原則屋内禁煙」の対象となる施設を三つに分けた。
- 敷地内全面禁煙;医療施設、小・中・高等学校、児童福祉施設
- 屋内全面禁煙(喫煙所の設置不可);官公庁、老人福祉施設、大学・体育館
- 原則屋内禁煙(喫煙室設置可);ホテル等、事業所(職場)、娯楽施設、百貨店、駅、空港ビル、飲食店、バス等、鉄道、船舶
上記、バス等は喫煙室設置は不可。飲食店の内、面積三十平方㍍以下で、従業員無し又は全従業員が同意した店で、尚且つ未成年の立入禁止店は、利用者が選択可能な掲示を義務付けた上で禁煙場所とはならない。国の方でも受動喫煙に関する立法化が議論されているが、自民党が提案した面積要件、百平方㍍よりも厳しい。これに対し百合子は国の立法化を待っていると、アジア初開催となるラグビW杯に間に合わない点を指摘。
ターゲットは夜の繁華街
今のタイミングならば、周知期間を確保でき、事業者等も対応できると踏んだ。都Fと公明による条例については、子ども視点である点を評価し「ありだな。」と述べ、都知事側の条例案を「(対象が)不特定多数。」と違いを示した。然し、これは大義名分で実質的な影響を与えるのは夜の繁華街である。百合子は本質に触れなかった。
三十平方㍍は、例として一辺が五㍍と六㍍に囲まれる面積。およそ九坪だ。畳に換算すると、十八畳となる。詰まり、六畳一間なら三部屋分の広さとなる。それ以下の店舗の広さならば、例外措置を適用できる。それ以上の広さの風営法上の店舗は全て禁煙となる。喫煙所・喫煙室の設置も許されない。都知事側の条例が制定されれば、居酒屋、パチンコ、クラブ(ディスコ)、キャバクラとホストクラブには経営的に深刻なダメージを伴うだろう。都内の夜の繁華街は新元号以降、衰退していくものと推察される。
百合子は「先ず、三十平方㍍で如何か。」と都民に問う姿勢をみせた。
尚、百合子は五輪開催年の新元号二年までに都内総生産を二十六年比で三割増しとなる百二十兆円まで引き上げる目標を掲げている。夜の繁華街の元気を奪って、都民は三割増しの生産を達成できるのだろうか。
撮影記事:金剛正臣