「かまぼこ板の絵」が四国の山あいの町を輝かせる
アイキャッチ写真提供:ギャラリーしろかわ
愛媛の西予市城川町にある「ギャラリーしろかわ」には毎年7月から12月まで、国内外から1万点近い「かまぼこ板の絵」が集まり、それを目当てに多くの観光客が訪れます。このユニークな展覧会の発想は、どうやって生まれたのでしょうか…
小さなキャンパスに大きな夢を描く
写真提供:ギャラリーしろかわ
ギャラリーしろかわでは、今年も第23回全国「かまぼこ板の絵」展覧会が12月3日まで開催されています。この展覧会がスタートしたのは1995年、ギャラリーのオープン2年目のことです。
同ギャラリーはスタート時、1993年に愛媛県下南予地方初の自治体美術館として開館しました。
開館翌年、企画展で洋画家の折笠勝之氏を招き、ギャラリートークを開催しました。そのときに
「絵はいつでも、誰でも、なんにでも描けるんですよ」
かまぼこ板に絵を描いて、館スタッフにプレゼントしました。
そこから「かまぼこ板の絵」を公募して全国展開するというアイディアが生まれました。
「かまぼこ板を再利用する」というユニークな発想も手伝ってか、スタート直後からマスコミにも注目され、城川町とギャラリーしろかわの名は、一躍、全国に知られるようになりました。
小さなかまぼこ板の絵の中に大きな感動が…
写真提供:ギャラリーしろかわ
今年の応募総数は、8,978点!その一つ一つの作品が広い体育館に集められ、毎年数人の審査員たちが丁寧に審査します。
今年も191人が入賞。絵の題材は、家族、友達、風景、ペットなどなんでもOK。ただひとつ守らなければならないルールは、かまぼこ板の上に直接に描くということ…。
今年の大賞は、原正幸さん(神奈川県)の作品「月の香りに…」。幻想的で緻密な作品は、かまぼこ板に描いたとは思えないほどです。=写真
写真提供:ギャラリーしろかわ
小さなかまぼこ板の上に、一人ひとりのさまざまな人生が表され、感動を呼んでいます。
旅人へのお接待文化を受けついできた城川町
写真提供:ギャラリーしろかわ
奧伊予とも呼ばれる城川町一帯は、お接待文化のあるところで、訪れた旅人を茶堂などを使って、温かくもてなしてきました。
応募作品に対しても、「おもてなしの心」で迎え入れ、大切に展示しています。それが見る人の心にも、自然に伝わってくるのかもしれません。
作品を見に訪れる人の数は、期間中約1万人にも及ぶそうで、展覧会を見に来た人も、この地の、あたたかいお接待文化に触れることになります。
小さなかまぼこ板の絵が、人々の心に感動を呼び起こし、地域の発展にも大きく寄与しているようです。
◆ギャラリーしろかわ
休館日 毎週 火曜日(火曜日祝日の場合は翌平日を休館)
開館時間 9時~17時
(Yu)