ねつこぐさ
万葉の花とみどり_ねつこぐさ 根都古具佐 オキナグサ
芝付きの美宇良﨑なるねつこ草 相見ずあらば我恋ひめやも
作者未詳 巻十四 3508
『読み』しばつきのみうらさきなるねつこくさ あいみずあらばわれこいめやも
『歌意』芝付きの三浦﨑に生えている、ねつこ草のような可憐なあの娘に、もし逢うことがなかったら、どうしてこのように恋い焦がれることができただろうか。
まるでペットのよう
歌の「ねつこぐさ」は「寝つ娘」、つまり共に寝たあの娘がとても愛おしいという意味を連想させるものです。作者不詳のこの歌からだけでは、植物を特定することは難しいのですが、愛らしい雰囲気を持った小振りな草がより適合するように思われます。定説となっているのがキンポウゲ科のオキナグサで、内側は暗い紫色をしていますが、がくの外側は毛に覆われどことなく動物(ペット?)のような雰囲気を持っています。和名のオキナグサ(翁草)とは、漢名の白頭翁の名に由来しますが、白毛のことか、それとも花が終わったあとの姿を言ったものでしょうか。「白頭翁」の原意は、もともと「猫草」で、音がそのまま「ねつこ草」となったという説もあるようです。かつては日当たりの良い草原に生えていた野草でしたが、現在はその数を大幅に減らし、ほとんどその姿を見ることはできない希少種となっています。 ただし、園芸種として多くの色や形状のものが出回るようになってはいます。
「画像」老人の白髪頭のよう
管理者『妬持』の声
ふさふさ毛でうつむき加減に頭を垂れるところなんか、やたらかわいらしい。思わず、よしよしと言ってこちょちょしてやりたくなりますほんと。どうしても、ネコ草がなまって「ねつこぐさ」と呼ばれるようになった説に加担したくなりますね。