Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

かれのもとへ、歩いてけ。【イノウエ旅行記三日目②】

2017.09.08 14:58

住所だけを頼りに、友人の住むアパートを探す。札幌駅から歩くこと50分。遂に彼の住むアパートを発見した。会えれば4年ぶりだ。会えれば。


その男は中学受験期の頃の戦友だ。北海道の大学に通う彼は一昨年、自らの住むアパートから年賀状をくれた。「LINE教えて」とあった。

しかしその年、俺は喪中で、あれよあれよという間に返事を書きそびれてしまった。これに関しては俺が悪い。

さらに次の年、彼はまた年賀状をくれた。

案の定、こうあった。「LINE教えて」


普通は自分のIDを書いた上でそう言うだろう、と苦笑しながら、それでも申し訳なさも添えて今度はしっかり返事を書く。もちろんLINEのIDも添えた。


しかし、LINEは一向に来なかった。

シャイな男なのだ。昔から。


札幌駅から歩き出してから25分。またしても北海道のスケールに驚かされる。都会に見える札幌でさえ、ストライドが違うような気がする。一歩の感覚が遠い。



冒頭にもどる。

アパートだと思っていた建物は、寮だった。玄関のインターフォンを押すと40代の女性が現れた。顔には誰だこの人、と書いてある。


「201号室の、◯◯くんを訪ねて参りました。今こちらにいますかね…?」

「あぁ…◯◯くんなら3月に退居されています」

「え…」(ぽへ〜〜〜)


どうやら簡単には出会わせてくれないらしい。

来年の彼の年賀状に書かれた住所に、俺は歩いていけるだろうか。歩いていく意志だけでも、絶やさないでいたいと思う。