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Toward the Way of Tea

水滴とみつ葉

2017.09.09 14:43

掛物 清風萬里秋 (せいふうばんりのあき)

花器  鶴首花入

花 酔芙蓉と矢筈芒

香合 三日月


昼はカラッとした暑さで、夜になると涼しい風が吹く。9月最初の稽古日は良い天気だった。浮かれ惚けた夏も過ぎて、爽やかな風が新しい始まりを告げる。清風萬里秋。本格的な秋はまだやってきていないけれど、遥か遠くにあった秋がどんどん近づいている。稽古場の酔芙蓉がみるみる赤く変わって、3時間も経つとくたっと萎れていた。酔芙蓉の移り変わりを見たのははじめてだったので感激した。昨日あちこち散策していたら芙蓉の花をたくさん見掛けたので、もしかしたら酔芙蓉だったのかもしれない。今度は朝夕の色の違いに注意してみたい。芙蓉の花びらはふわふわといつも儚げで、その様子が茶の湯の花として本当にぴったりだと思う。


薄茶運び点前では水滴という薄器を使った。取っ手と注ぎ口があって、ミルクピッチャーのような形をしている。水滴は四滴と呼ばれる茶入のひとつで、他には弦付、油滴、手瓶がある。棗は半月に持つが、水滴は口を向こうにして胴(取っ手側)を持つ。清めるときは蓋を二引する。拝見の際も二引のみで蓋を開けない。水滴から抹茶を掬うときは、口を茶碗の方に向け、蓋は茶碗と自分の膝の間に置く。拝見に出すときは、左掌に乗せて右手で90度に2度回す。

棚の薄茶点前では、なんでも良いから竹以外の蓋置を選んでおいでと先生に言われ、まだ使ったことのない黄色の蓋置を選んだら、それはみつ葉という名前の蓋置だった。七種蓋置のひとつ。他には一貫人、三人形、蟹、五徳、火舎、栄螺がある。水屋棚に並んでいるのを見て前から気になっていた。建水の中に入れるときの向きと建水から取り出したときの向きが異なり、棚の上に飾るときはひっくり返して小さい方を上にする。その際、とんがっている方が自分に向くように。曲建水は左に90度回しながら進めると、つなぎ目が9時の位置になる。下座に引くときは9時から6時へ。

はじめて使う道具がふたつあって、覚えることが増えて、稽古が楽しい。しかし、茶杓を清めるときと茶筅通しにまだ変な癖があるので早くこれを克服したい。これがきちんとできなければ、どの点前にも影響する。右足首の痛みもストレッチのおかげでだいぶ良くなり、長時間の正座もさほど苦にならなくなってきたのは嬉しい。正座ができなければ先輩たちのお点前を集中して見ることができない。今日は久々にうすべにをいただいた。甘酸っぱい。子供の頃に祖母にもらって食べたことを思い出して、郷愁を感じながら家路に着いた。


今日は重陽にちなんで菊の徳利の写真を。


色絵 秋草文 徳利  江戸時代 17世紀後半

京焼  古清水(「岩倉」印)

大阪市立東洋陶磁美術館