剣術の秘伝書『天狗芸術論・猫の妙術』
江戸時代中期に書かれた剣術の秘伝書『天狗芸術論・猫の妙術』を読了!
合気道本部道場の大先輩から「天狗芸術論は多田師範(合気道九段)のオススメの一つですよ」と聞いて、「猫の妙術」は以前に読んだことがありましたが、天狗芸術論も合わさったこちらを読んでみました。
宮本武蔵の『五輪書』も柳生宗矩の『兵法家伝書』もそうですが、もはやこれらの本は剣術の技術書ではなく、「目の前の危機(敵)や物事にどう向き合うか?」というマインドセットの本ですよね。
そういう意味では完全に現代にも通じるものがあると思います。特にVUCAの時代と呼ばれる今こそ、欲しいものでしょう。
人材育成の仕事をしていて思うのは「スキルがあるだけではダメ」ということ。でも、その一方で「スキルがなくてもダメ」です。スキルがなければ成果は出せないけど、スキルがあっても成果に繋がらないことがある。スキル以外に欲しいのはマインドセットであったり、リーダーシップであったり、それはすべて「心」に関わるところです。(リーダーシップも、リーダーのマインドセットという言い方もできる)
だからといって、「心」だけであれば、禅僧が最強とも思えてきますが、それに関して本書ではこんな説明の仕方をしていました。
「心体の悟りを開いたと言っても、禅僧に政治を執行させたり、一軍の大将として敵を攻めさせたりしても、どうして功績をあげることができようか。その心に煩悩や妄想が蓄積されていないとは言っても、実務に習熟していなければ役に立たないのである。」
これ、まさに欲しいのは「スキル」と「マインドセット」ということですね。
ちなみに、本書では「技」と「気」と「心」という3つの言葉が出てきますが、現代風に言うと、技が「スキルや知識」で、気と心が「マインドセット」でしょうか⁉️
いや、、「気」と「心」を一緒にしてはいけないか。その違いをもう少し理解したいな。。
本書では「体は気に従い、気は心に従うのである。心が動揺しないときは気も動揺せず、心が平静で捉われるものがないときは、気もまた和んで心に従い、技も自然に応じる。」という書き方をしていました。
そして、あとがきに書かれていたこのあたり(下記)は、僕が今、武道・武術の稽古をしている理由に繋がりそうです。
「(武術の稽古は)実用性に乏しいのかと言えば、決してそのようなことはない。技の修練によって「気」が磨かれることを前提としているのである。その技(体の動き)を制御するものが「気」であり、「気」は「心」の動きを伝えて体の動きを制御する、その意味で心は気の主であると説く。」
さて、、、新しい年、2022年!今日が新陰流兵法(剣術)の稽古始めで、明日が合気道と抜刀術の稽古始めです。
日々精進!