クロネコのクロと青い花瓶0912
2017.09.11 13:57
レジの置かれたカウンターの横にある、棚の前で立ち止まる。そして、手にした。一つ、二つと持ち上げるのを見てボクも立ち上がり進んだ。ボクはとりあえず透明なガラスでできた、細く筒状の花瓶を手に取ってみた。
ガラス細工屋のおじさんは小さく少し低いトーンで言った。
「それはやめておけ。他のお客さんならとりあえず売るが、小説家さんにはそれは売れねえ。」
「細くてシンプルな花瓶、凄く良いと思う。どうしてボクは買ってはだめなの。」
ボクは少し不快に思う。
「細く作り過ぎたんじゃ。すぐ倒れる。ネコがいるんじゃろ。すぐに割れてしまうから、やめた方がいい。もう少し、どっしりとしたものを選びなさい。実用的ではないんじゃ」
「それなら作るなよ」とも思ったけれど、置いておくだけの花瓶があってもいい。きっと決めつけてはいけないとは、そういうことなんだろうと、ボクは考えた。だから他の花瓶を選ぶことにした。