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五十肩の治療

2017.09.13 08:13

【患者】男性

【現病歴】1年前に転落して右肩を痛めてから腕が挙がらなくなった。マシになってきていたが1週間前に野球をボールを投げてからまた痛みがぶり返してきた。夜間痛・自発痛はない。

【鑑別】先ず、野球で痛めたのが原因か、転落による腱板の損傷が主かを理学検査。

ヤーガソン・スピード・ストレッチで痛みが増悪するが、三角筋の中央から後ろに出るので、二頭筋長頭炎ではなさそう。

外転105度で痛みが出る。ドロップアームは下垂しないが、支持するのが辛い。結滞は右健側の差が8㎝。

以上の所見から、腱板は断裂していないが部分断裂や損傷の可能性はある。

また、拘縮はみられないので、五十肩ではなく肩関節周囲炎が当てはまる。

夜間痛・自発痛がないことから、炎症の程度は石灰沈着性まではいってないことが推察されるが、念のため医療機関を受診するように促す。


【切経】右の棘上棘下筋(小腸経筋)が痩せている。三角筋全体に熱感がある(大腸経筋・三焦経筋・小腸経筋)。

【経絡腹診】脾心虚、肝腎実、肺平。

【奇経腹診】足厥陰脉と陽維脉。

【脉状診】浮・数・虚。

【比較脉診】脾心虚、肝腎実、肺平。

【証決定】脉証腹証病証一貫性に基づき脾虚証。

【適応側】男性であり、患側が右であるが、肩関節は病側が的中することが多く、また耳前動脈が右が浮いてしっかりしていることから右側とした。

【本治法】右太白、右大陵に補法。検脉すると胃経に虚性の邪が浮いて来たので、患側の右豊隆から堅に応じる補中の瀉法。

【補助療法】宮脇奇経治療。左太衝ー左通里と右外関ー左臨泣に金銀粒を貼付してその上から3壮-2壮で知熱灸。

【標治法】炎症部を避けて周囲に血絡を求めて刺絡。

【効果判定】治療前(外転105度・結滞左右差8㎝)→治療後(外転120 度・結滞左右差5.5㎝)

【考察】五十肩は肝虚あるいは加齢に伴い腎虚が多いが、局所の阻滞によって肌肉が痩せているのだから脾虚である。

またこの場合は着痺だから、重だるい痛みを訴える。


【お礼】向井陽子先生、先日ご指導いただいた理学検査が早速役に立ちました。

ありがとうございます。

また、向井先生に教えていただいたのですが、五十肩は正式には疼痛性関節制動症と言うらしいです。

勉強になりました。

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