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Toward the Way of Tea

井上靖 『本覚坊遺文』

2017.09.13 12:43

千利休(千宗易)が豊臣秀吉の命令により自刃した後に、茶湯者たちがあの死はなんだったのかとあれこれ語り合い、謎を追求していく物語。実在したと言われる千利休の弟子に当たる本覚坊が追想し、日記のような形式でこちらに語りかけてくる。「本覚坊遺文」は実際に残されているわけではなく、井上靖が創作したものである。



「侘数寄物常住、茶之湯肝要」



「──だが、利休どのは豪かった。天下に茶人多しと雖も、誰一人、肩を並べる者はない。自分一人の道を歩いた。自分ひとりの茶を点てた。遊びの茶を、遊びでないものにした。と言って、禅の道場にしたわけではない。腹を切る場所にした。」



「(略)あの妙喜庵の席は上さまの御命令で造った席でこざいます。が、上さまをお入れするためではなく、宗易自身が坐るために造った席でございました。それなのに上さまなどをお入れして。」