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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

カール大帝の夢17-カロリング・ルネサンス

2017.09.14 02:25

「新しいアテネがフランキアに生まれるかもしれません」。すでに779年にアルクィンは希望をこめて書いている。しかしそのアテネは「聖霊によって7倍も豊かになり、アテネをことごとく凌ぐでしょう!」それはオーバーだったがカロリング・ルネサンスは、その後の中世以降の学芸の発展の基礎となった。

イスラムの侵入により、ギリシャ、東方の知識がイタリアに逃れてきて、主要な仕事はその写本をつくることだった。ローマの古典が残ったのは何よりもこの仕事による。しかし知的達成としても、アルクィンやその弟子、特にエリウゲナにより、キリスト教的弁証論が始められ、中世哲学が生まれ、宇宙をキリスト教哲学的に解明しようとする思弁が形成される。

またテオデュルフの詩は後に中世の武勲詩につながっていく。カロリングルネサンスは、ギリシャ、キリスト教、ゲルマン文化を結合したと言われるが、最もよく表しているのは武勲詩だろう。アーヘンの宮廷学校は学問のサロンで、大帝を含め互いに身分を越えてニックネームで呼び合い、対等な議論を交わした。

そして宮廷の楽士が聖人にった。アルノルツヴァイラーのアルノルトは、ギリシャ出身の楽士で、その美しい音色にいたく感動したカールは、ケルンの近くの村を下賜、それをあっさり貧者に与えてしまった。キリスト教的徳行というより、現世利得に興味のない芸術家の行動といえるが、ともかくミュージシャンの守護聖人。

下はカロリングルネサンスの代表的達成、アーヘン大聖堂の天井