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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

カール大帝の夢19-新教皇レオ襲撃さる

2017.09.15 08:08

王宮が造られてからは、カール大帝の統治も安定していったようだ。795年、アヴァール人に内紛が起こり、ある氏族がフランクに帰属を申し出た。この機にカールは、アヴァールに派兵して中心地「リング」を攻略し、多くの金品を持ち帰った。アインハルトは「こんなに財産が増えた戦いはなかった」といったほどである。

フランクはハンガリーの多くの部分を支配下に入れ、ザクセンの反乱もかつてほどではなかった。アルクィンは、「もっとゆっくりとしてはいかがでしょうか?」と進言したが、カールは聞く耳を持たず息子ルイまでザクセンに投入した。そんなとき、教皇ハドリアヌス1世が崩御する。カールは号泣した。

795年12月26日、新教皇レオ3世が選出された。新教皇は、ローマの貧民からの成り上がりで、貴族には敵が多い。また成り上がり特有の贅沢をしていたという噂もあった。この就任にあたって大帝は、アヴァールの財宝と共に書簡を送り、キリスト教を守り、世に行き渡らせるのは自分であり、教皇は自分のために祈ってくれ、と自信たっぷりに書いた。

そして799年、レオ3世が、前教皇の親族に襲撃され、幽閉されかかる、という大事件が勃発した。教皇はからくもスポレトに逃れた。その事件をザクセンのパーダーボルン宮廷できいたカールはすぐには動かなかった。

下はアヴァール人と共に闘うカール大帝