田舎の草刈り論
長野県上伊那郡中川村に来て1、2年はまだまだお客さん状態でした。何故かというと、「草刈り」を馬鹿にしていたからです。その頃までは責任を持った草刈りが出来ていなかったからですね。草刈りなんざ自治体が税金とってやってくれればいいのに!と思ってました。都会から来る移住者の嫁入り道具に草刈り機はなく、エンジンブンブンさせながら、ギザギザの円盤を竿で振り回す凶器は自分が所有する筈はないと思っていたからです。
photo ©︎ Shuhei NEZU
引っ越ししたての頃、草刈り機を所有していなかったので、鎌やら熊手やらで地区の草刈りに参加しました。それでもいいよ。って地区の人は言ってくれたのです。今でも、女性や入居したての住民は鎌ひとつで草刈りにきます。草刈り時は道路脇に落ちているポイ捨てゴミを集めるので、草刈り機を持たない人もいると都合がいい事もあります。
田舎生活あるあるガイドみたいになってきました。ついでに言うと、地区の草刈り行事に出ないと、出不足金というのを請求されるシステムになっています。私も、一度は草刈りの会をウッカリ忘れ、三千円程の出不足金を請求された年もありました。
農地を管理する上で、草刈りは更に重要なファクターになります。土手の草、通路の草、耕作していない畑の草、果樹園の草、株下の草。草が生える場所もいろいろ。場所により草刈りの対応、使う機械、時期や回数も違います。春から秋口まで同じ場所で2回から5,6回草刈りをします。さもないと、いろいろが草の影響を受けてしまうのです。
草木は放っておくだけでグングンと成長します。ひと夏でボーボーになります。草の種類によっては2mを越える高さになり、つる性植物では1日で1メートルほど成長する子達もいます。果樹園の梅やリンゴの樹も1年で1メートル以上の長さ天に徒長する枝もあります。 放っておくと、隣の家の畑や、道路、家まで草木は伸びてきます。その生命力は、人間のそれと比べようがないパワーです。
前置きが長くなりました。
「草木は常に森を作ろうとしている」
人間が住む前の田舎町も、東京も、元々は森のはずでした。人は長年、過ごしやすい便利な生活を求め、樹を伐り、土地ならして道を作り、橋を架け、トンネルを掘ってきました。
掘っておくと、草は全てを覆って地球を森にしようとします。田舎では森林、田畑、要は土が表面に出ている自然の状態が占める割り合いが多いので(アスファルトじゃない)、草刈りが重要なのです!
草刈りをちゃんとする人は高く評価されます。私の実体験だけに基づきますが、信憑性は高いと自負しています。
2012年に中川村に来てから2014年まで草刈り無し雄。子供の為にと、畑を借りて野菜を育て始めました。三人、三ヶ所の農地を借りて「自然農」の真似事を初めました。ところが、畑を草ボーボーにしてしまい、地主さんに草刈りして貰うほどの失敗をしました。要は、根津に貸しても任せられない。近所に迷惑をかけてしまう、森にしてしまう。と不安にさせてしまったのです。自然農の解釈違いというか、単に考え、管理が甘かったのでしょう。
草刈正雄に変身です。草刈り道具も揃っています。果樹園や平地は乗用モア、土手はスパイダーモア、どこでも刈れる刈り払い機。 仕事ですので、フルパワーで働きました。草をボーボーにしちゃうとこちらが苦労する事が分かったので、早め早めにを心がけて草刈り。 天気がいい日はネギの土寄せやら消毒やらいろいろ仕事があるので、雨の日にカッパを着て草刈り。これが評価を高めます。あいつはズクがある^ ^
*「ずく」とは - 主に長野県で使われる方言。 標準語だと根気ややる気、根性、気力などに似ているが適当な言葉がない。「ずく」はやっぱり「ずく」である。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A1%D6%A4%BA%A4%AF%A1%D7
話しを土地探しに戻します。
森の生活で新築をする土地の地主さんも、私の草刈り姿を見ていたのです。この人はあんな広い土地を草刈り出来ている。凄い!と思ってくれたみたい。それが土地とのきっかけでした。こいつなら大丈夫そうだ。何故?ちゃんと草刈りするから。 田舎暮らしにおける人の評価指数=草刈りが出来るか出来ないか。大事なところだと実感しています。