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シナリオの海

GIFT

2022.01.06 03:37

2人~4人用台本です

男2:女2

または

男女サシ劇用でもご使用いただけます


※意外なラストが待っています

※登場人物の年齢やキャラクターはあえて設定しませんが、男女サシで演じていただく場合は少し声を変えるとより楽しんで頂けると思います


【あらすじ】

早希と巧は同居しているカップル

旅行に行くはずの巧が突然帰って来たことで、早希はずっと抱えていたある疑惑を巧にぶつける。

だがそれはほんの序章に過ぎず、物語は予想外の方向へと進んでいく…

キーワードは「ガムテープ」


〈上演の際にお使いください 〉

男女2:2用

【GIFT】

♀︎川上早希(カワカミ サキ) 

♂藤堂 巧(トウドウ タクミ)

♀︎小説家                                     

♂小説家の弟子  



男女サシ劇用

※小説家はサキ役の方が、小説家の弟子はタクミ役の肩が兼役で演じてください

【GIFT】

♀︎川上早希(カワカミ サキ)・? 

♂藤堂 巧(トウドウ タクミ) ・?                      

  ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

【Story 】

〈部屋 〉

巧「ただいまー」


早希

「え?ど、どうしたの?今日、旅行行くんじゃなかったの?」


「なにそんなに驚いてんだよ?俺がいたらなにか都合悪い事でもあんのか?」


早希

「いや、今頃新幹線かなーって思ってた恋人が突然目の前に現れたら、誰だって驚くでしょ?」


「俺がいない間に男でも連れ込むつもりだったんだろ?」


早希

「なんでそうなるのよ?私が浮気なんてする訳ないでしょ?」


「ふーん。どうだか」


早希

「で、なんで旅行に行ったはずのあなたがここにいるのよ?」


「あー。連絡もらって、病院行ってきたんだよ」


早希「病院?」


「いや実は一緒に行こうとしたやつがさ、さっき事故っちゃって入院する事になって」


早希

「えっ?事故?入院するほどひどい事故って…それ、大丈夫だったの?」


「あー。まあ、だいぶひどいケガだったけど、とりあえず命に別条は無いよ」

早希「そっかー。なら、とりあえずは良かったわね」


「ああ。ほんと、電話もらった時はマジで心臓止まるかと思ったよ」


早希

「旅行のキャンセルとか、大変だったんじゃないの?」


「あー、それなら知り合いのとこだったから、事情が事情だし、無料でキャンセルしてもらえたよ」


早希

「そうなんだ。でも新幹線とか飛行機とかは?」


「あー。それも今回は元々事故ったやつの車で行く予定だったから」


早希「そう…なんだ。ふーん。へー」


巧「なんだよその目」


早希「いや…別に…」


「その言い方…なんかあるんだろ?なあ?言いたい事があるならちゃんと言えよ!」


(おおげさなためいき)

早希

「なんか話が出来すぎてるな~って…」


巧「どういう意味だ?」


早希

「旅行当日に事故って入院した。そこまではわかるわよ?

でも、泊まる先が知り合いのところでキャンセル料も無くて…

車で行くはずだったからたまたま新幹線も飛行機も使ってなかったなんて…」


巧「別に…普通の事だろ?」


早希

「巧、車酔うからって普段私と旅行行く時は新幹線だし、それに、泊まる先がホテルじゃないのもはじめてじゃない?全部、本当に偶然なの?」


巧「何が言いたいんだよ」


早希

「そもそも旅行なんて、最初から行く気無かったんじゃないの?」


「はっ?なんで?俺がお前にそんな嘘つく意味がどこにあるんだよ」


早希

「それは正直わからないけど…でも…なんか色々出来すぎてて気持ち悪いのよ」


(ため息)

巧「気持ち悪いって…ひどい言われようだな」


早希

「だって…はっきり言われたら困るのはあなたなんじゃないの?」


「なあ?おまえ今日やけにつっかかってくるよな?本当に言いたいのは別の事なんじゃないのか?」


早希「なんでそう思うの?」


巧「………」


早希

「そこで黙るって事は、何か心当たりがあるって事よね?」


「おまえ今日なんか変だぞ?そんなに俺につっかかってきて、どうしたんだよ?」


早希

「言っていいなら言うわよ?」


巧「俺は別に言われて困る事なんて一つもないぞ?」


早希「言ったわね?じゃあ言わせてもらうわ」


■早希、リビングの引き出しからガムテープを取り出して


早希「これ、何かわかる?」


「なにって、見ればわかるだろ。ただのガムテープじゃないか」


早希

「そうね。ただのガムテープ。これ、どこにあったと思う?」


「今取り出した引き出しの中に入ってたんじゃないのか?」


早希「あなたの書斎の机の引き出しの中よ」 


巧「お前、俺の引き出し勝手に開けたのか?」


早希

「あなたが言ったんでしょ?見られて困るものはないから俺の机の引き出しから書類を出して今すぐ届けてくれって」


(舌打ち)

「あの時か」


早希

「巧があまりにも焦ってたから、職場に無理言って休憩取らせてもらって、タクシー飛ばして行ってあげたんだからね?」


巧「いや~、あの時は本当に助かった。ありがとな」


早希

「どういたしまして。じゃなくて。話、戻して良い?」


「どうぞ?そのただのガムテープがどうしたんだよ?」


早希

「確かにこのガムテープだけで見れば、なんの変哲も無いかもしれない。

でも、ある本を読んで本当に悲しくなったの。私は巧の事を心から愛しているのに、ずっと嘘をつかれてたんだって…」


巧「嘘?俺が?いつ俺がお前に嘘をついた?」


早希

「最近夜一緒に寝ていても、私に指一本触れてこなくなったのは、ちゃんと籍をいれて夫婦になるまで大切にしようとくれているからなんだって信じてた。そういう事なんだって思おうとした。なのに…」


巧「ちょっと待て…全然話が見えてこないんだけど…」


早希「こんなの、あんまりだわ…あまりにもひどすぎる裏切りよ!」


■泣きだす早希


「おーい。泣いててもわかんないだろ?俺にもわかる様に説明してくれる?」


早希

「説明して欲しいはこっちのセリフよ!あの本は一体どういう事?」



■巧、リビングのテーブルに置かれた本を見て


「ん?テーブルの上の本がどうかしたか~?って…うわっ、お前これどこから持ってきたっ」


早希

「あなたの書斎の本棚よ!書類を届けて帰ってきて、この本だけ変な場所にあったから気になって開いてみたの!そしたら中にDVDが…

まさか、あなたがロリコンで変態だったなんて」


「またお前は人の本棚を勝手に…いや、待て!それは仕事の資料で借りてきてるやつで…」


早希

「言い訳なんて聞きたくない!どうせ私がいない日は制服姿のかわいい女の子でも連れこんで、ガムテープとかで拘束してあんな事やこんな事でもしてるんでしょ?」


「はっ?なんだそれ?ガムテープとDVDでよくそこまで…

 なあ?ずっと思ってたけど、おまえのそのななめ上を行く想像力は一体どこから来るんだ?」


早希

「もう知らない!私の心は深く傷ついたの。だからしばらく旅行に行ってきます!

もう全部あなたのカードで購入したから。これぐらいしても良いよね?

じゃー行ってきます!」


「ちょっ、早希!おいっ!」



■巧、彼女が外に出たのを確認して



(ためいき)

巧「行ったか」



■スマホを取り出し警察にかける



「もしもし?ええ。うまく行きましたよ。今あいつは出ていきました。恐らく高飛びでもする為に空港にでも向かったんでしょう。緊急配備をしいてください。

ところで、この前お渡ししたものはどうでした?

ええ。ガムテープから指紋が?はい。パソコンには毒と殺人マニュアルの購入履歴が残っていたんですか?やはりそうでしたか。

いえ、金庫にガムテープを見つけた時から、なにか嫌な予感がしまして…

ええ。お役に立てて何よりです。これで私の任務は完了ですね。ええ。では。あとはお任せします。お疲れ様でした」



■巧、電話を切り、一息ついてタバコに火をつける



早希「電話、終わった?」


巧「え?早希。まだ…行ってなかったのか?」


早希「うん。忘れ物しちゃって」


巧「忘れ物?」


早希

「うん。大きくてもちゃーんと入るように、この為にわざわざ新しいキャリーバッグ買ったのに、あたしすっかり忘れちゃって。ほんとドジよねー」


巧「ふーん。そうなんだ。で…なにを…忘れたの?」


早希

「巧。あなたよ?愛していたのに!!!!」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〈小説家の書斎〉

弟子

「で、包丁かなんかでグサっと刺して。というのが次回作のアイディアなんですが。どうでしょうか?」


小説家

「んー。巧は潜入捜査官って設定なのよね?不意打ちとはいえ、いくらなんでも真正面からじゃ、さすがに避けられるんじゃない?」


弟子

「あっ…確かに…」


小説家

「相変わらず詰めが甘いわね。まあ、でもあなたにしては2段階でお話を見せるアイディアは良かったわ。少しはマシなもの考えられるようになったじゃない」


弟子

「では先生!今度こそ僕のアイディア使っていただけますか?」


小説家

「そうね~。んー。まっ、前向きに考えておくわ」


弟子

「それはつまりはボツということですね。また別のを考えてきます」


小説家

「期待しないで待ってるわ」


弟子

「先生~」


小説家

(あくび)

「なんか今日は朝からすごく眠いのよね…

私はこれから仮眠を取るわ。時間になったらいつもの様に起こしに来てちょうだい」


弟子

「はい!わかりました。失礼します」



SE:ドアの閉まる音

SE:クラシックの曲



小説家(実は連続殺人犯)

「落ち着いて。大丈夫。あいつがガムテープの話をしたのなんかただの偶然よ。

あの時の指紋は完璧にふき取った。あの連続殺人だってサイコパスの仕業に見せるためにあえて殺害方法をすべて変えた。顔も名前も変え、当時の私を知っている人間は一人残らずこの世から消し去った。

本当の私を知る人間は、もうこの世には存在しない。

死者が蘇りでもしない限りは、私に辿り着く人間などいるはずもない…

そうよ!何を恐れる事があるの。

あれは誰も真似出来ない最高に美しい完全犯罪。

無能な警察どもが私をみつける事など、もはや不可能。

私の手のうちはすべて小説の中に残っているというのに、1つの証拠もなく

誰も、私にすら辿り着けはしない

そうよ!これこそ歴史上に残る芸術!完璧な勝利よ!」



■弟子、時計を見て



弟子

「あっ、もうそろそろ時間かな」


SE:ドアをノックする音


弟子

「先生?先生?開け、ますよ?」 


■弟子、ドアを開け中に入ってくる


弟子

「先生?あーなんだ。まだ寝てらしたんですね?

ほら、先生?起きてください?起きて?もう!今日は特に寝起きが悪いなー

先生!いい加減起きてください?」


小説家「あー。あれ?今私の事起こしてた?」


弟子「はい。もう何度も…」


小説家

「どうしたのかしら?なんか今日は特に寝起きが悪い。頭がぼーっとする…」


弟子

「先生。知らないうちに疲れがたまってらっしゃるんじゃないですか?

 先生の執筆のペース凄まじい早さですもん。

 スピードだけじゃなくて、臨場感もすごくて。推理小説家じゃなくてまるで本物の犯罪者みたいと称賛の声もあがっている程です。なにか臨場感を出す為のコツなどあればぜひお聞かせ願いたいです」


小説家

(ためいき)

「才能の無い馬鹿どもは自分の実力の無さを棚にあげて言いたい事言うのよねー。

コツなんて何も無いわ。ただ降ってきたものを感じたままに、そのまま書いてるだけよ私は」


弟子

「降ってきたものをそのまま…

降ってくるってよくアーティスとかが言いますけど。

僕は生きてきて一度も経験した事ないです。

なるほど~。天才ってまさに先生の様な方の事をいうんですね」


小説家

「天才ねー。良い響きだわ。悪くない。それにしても。んー。今日は一段と良い香りね」 


弟子

「さすが先生。友人に特別な豆を分けてもらったんですよ。

 なんでも、今日は特別な記念日だから。とか」


小説家「記念日?なんのかしら?」


弟子

「さあ?そこまで詳しくは…

 あっ、先生。コーヒーは香りと温度が命です。

 冷めないうちにぜひ」


小説家

「そうね。せっかくだからいただくわ」

 


■小説家、コーヒーを飲み



小説家

「あー。味も香りも最高。ほんと、あなたが淹れるコーヒーは毎回素晴らしいわ。

お店でも出したら?私、出資するわよ?」 


弟子

「ありがとうございます。もしその時はぜひ…」


小説家

「ほんとおいしい。あなたも飲めば…

 ああ、確かコーヒーアレルギーだったわね…

 残念だわ。こんなにおいしいものを飲めないなんて」


弟子

「まあ、こればかりは体質なので…

 では先生、僕はこれで失礼します。無理し過ぎないように、執筆、頑張ってくださいね」


小説家

「ありがとう。あなたが淹れてくれたこのコーヒーのおかげで、また素敵な作品が書けそうよ。じゃあまた明日」


弟子

「はい。失礼します」


SE:家の門の閉まる音




復讐者(弟子)

(ため息)

「あーあ。最後のチャンスだったのに。やっぱりあなたは最後まで、憎い程にあなたらしかった。おかげで今日のこの記念日を、なんの後悔もなく迎えられましたよ。



先生?

確かにあなたの犯罪は完璧でした。なんの証拠もなく警察は誰もあなたに辿り着く事さえ出来なかった。そう。完璧なハズだった…

最後の犠牲者が、角膜移植のドナーになってさえいなければね?



なんの根拠もなく、まだ科学的にも証明されてはいない。

ただ、世界中ですでに数えきれないほどたくさんの事例が報告されている。

一部の人間はその現象を指してこう呼ぶ。神のキセキと…


人の身体はその一部にも記憶と感情を宿しており、別の人間に移植をした時、

その記憶と感情をも引き継ぐ事がある。


俺は角膜を移植したあの日から、なぜかガムテープがたまらなく怖くなった

毎晩繰り返す、うなされるほどの悪夢

よっぽど怖かっただろうに、彼女はその恐怖に負けず全ての記憶をきちんと残していた

俺はガムテープを使って拘束をされた犯罪を全て調べつくした

そして、連続殺人の可能性を見つけ、小説を読み、先生、あなたに辿り着いた


顔を変えていたあなたを探すのは大変でしたが

俺の友人に医者がいてね

そのコネクションを使えば、不可能ではなかった

顔を変えても変わらないものは無数にある

なにより、彼女の記憶が、間違いなくあんただと言っていた

さあ

もうそろそろ…かな…



■遠くの屋敷から聞こえる小説家のうめく様な叫び声



始まったか…

あなたに飲ませた薬は、俺が作った特殊なものでね

2つの薬を連続で飲む事で、はじめて毒へと変わる

1つ目の薬は抗えない程の強烈な眠気を引き起こす。そう、まるで睡眠薬の様な…

そして2つ目は、コーヒーの様にかぐわしい香りが特徴

強烈な痛みを伴い、少しずつ身体中の細胞を破壊していく



■小説家の悲鳴が止む



この毒がすごいのはここからだ

他の毒の様に一気に命を奪ってはくれない

一瞬、その痛みが幻だったかの様に消え去り、気のせいだったのかと安堵すると再び…



■屋敷から再び聞こえる小説家の叫び声



その毒が牙を向き、細胞を破壊していく

地獄と安堵を延々に繰り返す

その命が果てる、その時まで…


(不敵に笑い)

罪も無いたくさんの命を自分勝手に破壊しつくしたおまえにピッタリの毒だろう?

さーて

血塗られたモンスターも死の直前には人間の心を取り戻すのかな…

まあ取り戻したところでもう遅いけどな…



(手を片目にかざし、殺された女性に語りかけるように)

苦しかったな?

悔しかったな?

ここまで長かったな…

これで、全部終わったぞ

お前のおかげで俺は光を手に入れた

ステキな贈り物を、ありがとう

安らかに眠れ…

願わくば、来世は幸せな人生を…


俺は彼女から光をもらった。と同時にこの深い闇も引き継いだ

この世は想像以上に美しくまぶしかった。光輝いていた

だが、見える様になった事で

あの時は見えなかったものまで見えた。見える様になってしまった…


■屋敷からのうめき声止まる


この世には、いかにも良い人の仮面をかぶったモンスターがそこら中に存在している

そいつらは罪を犯しながら、その罪を逃れのうのうと生きている

いくつもの命を犠牲にしながら一生裁かれる事もない

大切な人の命を奪われた人達は、その悔しさと痛みを抱えたまま一生苦しみと後悔を抱え生きていかなければいけないというのに…


そんな理不尽な事があってたまるか!!!!!


いいか?

この毒は神が俺に与えたんだ!

俺は選ばれた…

理不尽な悪を裁く正義の使者として、俺は神に選ばれたんだ!

理不尽なこの世を、俺がこの手で変えてやる!!!!


■狂ったように笑い


なあ?お前ら聞いてたか?

ここに、使っても身体から一切毒が検出されない

つまり、罪に問われずに、どんな人間の命も葬れる毒がある

悔しいか?

憎いか?

だったら俺に向かって手を伸ばせ!

俺がお前らをその苦しみから救ってやる!

そうだな…いざという時の為に合言葉を決めておこう

もしいつか俺に会ったらこう言ってくれ

「ギフト」と…

END