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7th heaven side B

For you 完全版_5

2017.08.30 14:35

第4章 幸せの足音


「今年の誕生日は、何も要らん」


和葉はいきなり、そう宣言した


クリスマスにプロポーズされてカップルリング貰うたし、服部家からは婚約指輪も貰うた

上に、部屋まで用意して貰うたんや


せやから、もう、何も要らん、十分や


そうは言われても、と、困ったんはオカンや

オレやった


「せやったら、こんなんどう?」


意外な人が提案してくれた

モデルの撮影の時に、次いでに式、したらどうかって


リエさんや

来春の本番用は、現在絶賛製作中で、今回の

モデルの撮影では、ウエディングドレスやカラードレス、来賓用のワンピースなんかも撮影予定やと言うて


「平次の誕生日に入籍予定やから、撮影の時は、ちょうどええね」


家族だけで、挙式しよう、と言うんや

親父がおっちゃんをどうにか1日だけ、戻せ

へんか、掛け合うてくれた


オカンが、コナンと毛利探偵と姉ちゃんを呼ぶ、と言うて、雑誌の撮影に協力して欲しい

と言うて連れて来たらええ、と言うてん


「平次くん、和葉ちゃんにどれを着せたい?

特別に、選ばせたる」


新作ドレスを見せてくれた

意外と、オトナっぽいデザインが多い

今回は、クラシカルな雰囲気を醸し出してみたと言う

いずれも凝った造りで、シンプルやけど随所

に拘りを感じるモノやった


あ、コレええかも


オレが選んだ1着は、胸元がスクエアに開き

レースの七分袖、胸下からたっぷりのクラシカルなレースが広がる、中世ヨーロッパのイ

メージがあるドレス

背中はリボンで編まれていて、こちらも凝っ

ていた


「平ちゃん、中々見る目あるなぁ」


これ、アンティークレースを大量に使うてて

製作費も結構、かかってんねん、と笑うリエさんやった


ほな、平ちゃんには、ライトグレーの光沢のあるこれがええね

そう言うて、新郎用のスーツを出してくれた


和葉の備品選びも手伝わせてもろうた


オカンとリエさんやスタッフさんと、マネキ

ンに着せたドレスに合わせ、手袋やネックレ

ス、髪飾りを探す


「ドレスを着た和葉が主役なんやろ?

せやったら、ネックレスは無しリボンを、首

に巻く程度でええんちゃうかな?」

「せやね、ほな髪は花冠にしよか?」

「手袋はサテンのシンプルなんがええ?」


そうして選び抜かれた備品の数々を見て、そ

れを和葉が纏う日を想像して、嬉しくなった  


そして迎えた和葉の誕生日

オレは事件でその傍には居れんかった


帰れたんは、3日後の自分の誕生日当日


朝一番に提出され、受理された婚姻届や書類なコピーがテーブルに置かれていた

受験手続きの関係上、その方が面倒が無いと

先行されたのだ


和葉は、人知れず、服部和葉になった


帰宅して、まだベッドで寝ていた和葉にキスをした

あ、平次?と目を覚ました和葉を全力で抱き

締めて、夢中でキスをした


「和葉」

「ん」


深く抱き寄せて、柔らかな頬や髪を撫でながら告げた


「みんなみたいには、出来んかも知れんけど

オレは、オレなりに大事にするから」

これからも、一緒に歩いてくれるか?


和葉の細い腕が回されて、まだ寝起きの温もりが残る身体がくっついた


「当たり前や、その覚悟が無かったら、籍を

入れたりせえへんよ」

いっくら好きでもな


そう言うて、オレの頬にキスをした和葉


「せやから言うてるやろ、するならこっちにせえって」


和葉の柔らかな唇を啄ばみ、深く結んだ


お互いに、誕生日おめでとう、と言いあって僅か3日違いの2人の誕生日を祝う


階下で誰かが目覚めた物音を聞いて、名残り

惜しいけれど、キスをやめた


朝食後、迎えに来た車に乗って、まずはモデ

ルの撮影を先に済ませたオレら


「今日は、もう一つ、撮影、お願い💕」


そう言われて、控え室に通された

控え室に置いてあったのは、ウエディングドレスと新郎用のスーツ


「え?え!な、何?」


今日、家族だけで挙式すんねん、と言うと、

びっくりした顔をした和葉

そんな和葉の前に、久しぶりにおっちゃんが

姿を見せた


「お父ちゃん!」


飛びついた娘に、おっちゃんが笑う

お父ちゃん、あんまり時間無いねん、さっさと可愛ええ姿、見せてくれんか?と


先に支度を整えて、待っていると、撮影と騙

されて連れて来られた毛利探偵、妃弁護士に

姉ちゃんと工藤が着替えさせられとった


「凄いね、平次兄ちゃん

いきなり、ブライダルのモデルなんて!」

「本当よね!和葉ちゃんのドレス姿、早く見たい!」

「遠山さん、よく許したよな、オレなら撮影でも絶対、NGだ」

「あら、私は見てみたいわ💕蘭の晴れ姿」


賑やかな毛利家プラスアルファにチャペルに先に入ってもらい、オレもスタンバイ


既に撮影チームは、ムービーとスチール撮影を開始しとる


今日は、全員がモデルや

いずれ、ウエディングラインの発表があれば

カタログか何かに掲載されんねん


親父とオカンももうチャペル内でスタンバイ

しとる


オレが入場して、指定された位置で待機すると、間も無く、扉が開いた


荘厳な音楽が鳴り響き、光と共に、おっちゃ

んに導かれ、花嫁が現れた


姉ちゃんらだけではなく、スタッフからも漏

れたため息に、オレも口元か思わず緩む


おっちゃんと腕を組んで、おっちゃんが和葉のグローブをはめた手を、一瞬、ぎゅ、て握ると、和葉もゆっくりと歩き始める


一歩ずつ、俯き加減で歩く和葉の顔が見えると、ため息はさらに深くなった


窓から差し込む陽射しを浴びて、キラキラするような装飾品は何ひとつ身に付けてへんのに、和葉はキラキラしとった


オカンが最後まで微調整しとった花冠は、若い花嫁によう似合うてたし、ブーケもよう出来てたんや


中世ヨーロッパを意識した七分袖のウエディ

ングドレスは、露出は少ないけれど、花嫁の

肌や身体のラインをキレイに引き出して、ホ

ンマによう似合うてる


「これからも、2人でよう考えて、決断して

行動したらええ、2人で、幸せになるんや」

ええな?


おっちゃんは、和葉の手をオレの掌に乗せると、ぐっ、と握りそう言うた


はい、と答えるのが精一杯やった


いつか、オレが娘を見送る時、こんな風に送り出せるやろか


きっと、オレには出来んと思う


まだまだ、壁は高い

まだまだ、オレはこの人を超えられへん

そう思うた


娘を攫っていく相手の男の幸せまで願えるほ

ど、オレはまだ、人間が出来てへん


この人から、オレは最愛の娘を攫ったんや

ちゃんと、せなアカン


おっちゃんや和葉が、この結婚を後悔する事無く過ごせるように、オレが、しっかりせんとアカンのや


誓いの言葉を述べ、正統なルールにのって、頬にキスをすると、オカンが絶叫した


「こらっ!平次!男やったらちゃんとしなさいっ!」


これに参列者もスタッフも爆笑

親父もおっちゃんも苦笑


「せやな、ほな、ご期待に応えて」


オレは、和葉を抱き寄せて、その唇をしっかり塞いだ


「な、何すんのん!平次!」


まさかの花嫁に叩かれると言うアクシデントがあったり、姉ちゃんが大号泣したりでてんやわんやになったけど


最後はみんなで笑って記念写真を撮った

オレは、和葉と2人、控え室で自撮りもした


「めっちゃキレイやで」


そう囁くと、キスをしてしっかり抱き締めた


「「これからもどうぞよろしく」」


そして、コナンと姉ちゃんに、ブートニアと

ブーケを渡した 


「コレは、蘭ちゃんとコナンくんに」

和葉がそう言うたんや


いいの?と言う姉ちゃんに、オカンが爆弾発

言をした

いずれ、本物の式を挙げる予定やから、その

時はよろしゅうな、と

もちろん、と言うたコナン達を見送って、オ

レ達はおっちゃんともこの場で別れた


和葉、オマエのねばり勝ちやな、と笑うおっ

ちゃんに、身体に気を付けてな、と見送る


オカンと親父はついでやから、デートして帰

ると言うて、オレと和葉は、引き攣った笑みで2人を見送った


オカン、和葉にまでバレバレやんか


和葉の手を繋ぎ、帰りの車に乗り込んで帰宅

したオレは、その夜、和葉と一緒に初めての

契りを結んだ


初めてで、いっぱいいっぱいやったけど、何

とかやり遂げて、和葉を抱き寄せ眠れる幸せ

を噛み締めていた、新緑が美しい佳き日の夜

の事やった


第5章へ

to be continued