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四季の旅写真Gallery Annex

鉄道風景2021総括(私だけの絶景)

2022.01.06 17:17

仕事をリタイアし、北海道に移住した2021年。人生節目の年でした。環境が変わり、撮影回数が増え、条件も選べた分、狙ったものを丁寧に撮れ、嬉しい偶然も幾つかありました。この総括では「私だけの絶景」と題して、その日、その時間に私だけが巡り合えた写真たちで構成してみました。TOPを飾るのは、半逆光に輝く八重桜と芽吹きの木々の競演、4月のわたらせ渓谷鐡道を訪ねた時の会心の1枚。桜・花桃は終わっていましたが、直前の早朝ロケハンが実り、「季節の瞬間芸」のようなシーンが撮れました。

2月 田浦の旧梅林 豊後梅と京急1500系
梅の銘木が多い横須賀市田浦の旧梅林。花に詳しい方に教わりましたが、この梅は「豊後梅」、うっすらピンクががっていて白梅とは違った魅力の梅なんだそうです。この梅をモチーフに、構図を変えたり、設定を変えたり、レンズを変えたり、絵になる列車を待ったり、1時間近く粘って撮ったのがこの1枚です。最寄り駅からかなり歩き、登りがきつかったですが、春を思わせる陽気、心地良い散歩でした。(京急本線 京急田浦・安針塚)

3月 さよならキハ40の北舟岡駅
2021年は年初に緊急事態宣言が発令され、北海道を訪ねられたのは3月になってからでした。別れの3月。ダイヤ改正で消えるキハ40を北舟岡駅で何回か撮りました。この日の朝練は、対岸の駒ヶ岳がクリアに見える絶好のコンディション。いつものポジションから構えました。ホームにはポツンと汽車待ち人、絵になる光景でした。(室蘭本線 北舟岡)

3月 青空と菜の花と富士山とGSE
毎年訪ねる小田急栢山の菜の花。コロナ禍のため菜の花祭りは中止、菜の花の面積も心持ち小さいようでした。ここはいつも光線状態との勝負で、日が昇った直後をピークに徐々に悪くなっていきます。畝の隙間を利用して、富士も入れて、GSEの飛び出し狙いの構図。絶好の光線状態ゆえ、失敗しないように、三脚立ててレリーズリモコンで撮りました。今年(2022年)の春は、ここでVSEをお見送りですね。(小田急本線 栢山・富水)

3月 野田っぽりの午後の日差しに輝く菜の花と、ちょこんと小湊キハ200

本数が少なく、待ち時間がたっぷりあるので、有り余るほど考える時間があるのがローカル線。小湊鉄道も然りで「考察1時間、撮る3秒」のリズムです。これが好きなんです。野田っぽりは難しい撮影場所です。一見素敵ですが、構えると引き算が難しい。しかし、この縦構図は旨くいきました。勝利の長考です。(小湊鉄道 月崎・上総大久保)

3月 桜満開の飛鳥山、並んだ7700形
今年は桜の開花が早く、都内の桜は3月下旬に満開になりました。3月末でリタイアする私にとって、この日は人生最後の週末土曜日。朝から満開の桜咲く荒川線にいました。飛鳥山で7700形の並びが撮れました。この時間、ここで構えた単なる運ですが、最後の週末、そして東京でのラストシーズンの思い出になった1枚です。(都電荒川線 飛鳥山・王子駅前)

4月 毎日が日曜日。平日の箱根で枝垂桜と旧型車両
毎日が日曜日になりました。基本は自由です。天気が良ければ、花が咲けば、運用が良ければ、行きたいところに行く。そんな生活が始まりました。「春の箱根は枝垂れ桜」、そろそろ見頃だろうと出かけました。当然平日です。強羅にも枝垂桜があるなんて。ノーマークでした。終点まで乗って良かったな。しかし、この場所は交通量が激しく凄く被ります。この旧型車両も4回目でやっとすっきり撮れました。見つけて粘っての1枚。(箱根登山鉄道 彫刻の森・強羅)

4月 湘南ボウル、閉館の春。最後の桜
湘南ボウルというボウリング場が閉館となりました。地元の方には寂しいことだろうな。分かります、私、ボウリング世代ですから。昭和がまた一つ消えた寂しさです。江ノ電とセットで訪ねた湘南モノレール。懸垂式らしく、昭和の思い出「湘南ボウル」の存在感も大切に、季節を表す八重桜も自然に取り込んで、これは東京オリンピックの年だったんだよ、侍ジャパン金メダル獲ったよ!が分かるように撮れました。(湘南モノレール 湘南深沢・西鎌倉)


5月 雨の日は薔薇を 
荒川線の薔薇を撮り続けて十余年。薔薇撮り10年選手の極意は、あくまで薔薇が主役、プライド高い薔薇は、最高に美しく見えるように撮ってあげなければなりません。具体的には、①勢いのある花・形の良い花を選ぶ。②原則花ピン。③車両は脇役(薔薇とのコディネート・色相が重要)。ここまでは「だよね!」ですが、もう一つあります、④できれば雨上がりに撮る。薔薇は瑞々しく妖艶になります。以上です。模範解答が下の写真です。(都電荒川線 大塚駅前・向原)

6月 マイラストラン 箱根登山電車
箱根の魅力は、やはりこの旧型車両です。昭和20年代生まれ、私と同世代のこの武骨顔、改良を重ね、未だ現役で毎日せっせと箱根の山登り。この車両が居なくなったらもう箱根には行きません。でも、その前に私が関東から居なくなっちゃいます。この車両ともお別れの時。最後の1枚、いちばんカッコよく撮れました。(箱根登山鉄道 宮ノ下・小涌谷)

7月 新しい夏 いつもの場所

蝦夷梅雨末期で雨ばかり。やっと晴れた最初の日、「それ行け!」とばかりに撮影開始です。夜明け前に白老を出て、富良野の根室本線に向かいました。夏の金山湖は、ラベンダー。これで5年連続です。やはり朝の順光は最高です。ラベンダーの紫も勿論のこと、山の緑、湖の青も朝の順光だから鮮やかです。9時台の滝川行きを撮りました。せっかく移住したのだから、来年もその次の夏も、ここでキハ40を撮れますように。(根室本線 金山・東鹿越)

8月  新得の蕎麦畑をいくロイヤルエクスプレス
今年で最後と言われたロイヤルエクスプレス。一度は撮っておきたいと、富良野で根室本線を撮った流れで狩勝峠を超えて新得へ。私が考えつく中で、撮る候補は3つありましたが、増田山は後追いになる、視界がイマイチのこの日は新得山からは遠すぎる、大成カーブはまとも過ぎる‥‥。ではどうしようかと、あちこち走り見つけたのがこの蕎麦畑。夏の北海道、しかも新得、これで決まり(^^♪。 東京はコロナが猛威を振るい全く写真撮れずでしたので、一矢報いた形で66回目の夏を終わらせることができました。(根室本線 新得・十勝清水)

9月 がんばれ、青い北斗 FURICO281
弟分の283系が、早々とこの春引退します。沿線で、261系への置き換えが進む中で、遠目に「青い1つ目」が見えると嬉しくなる昨今です、できる限り長く頑張ってほしいな、シュッとした振り子式特急北斗。なお、この写真は、私しか撮れない場所から撮っていますので、私だけの絶景なのです。(室蘭本線)

9月 VSEと彼岸花 関東締めの撮影の日
引越準備は佳境でしたが、彼岸花は外せません。青空、畦に咲く赤、ロマンスカー、無理して出かけて良かったです。ここは、初秋の開成~栢山間で、住宅などの障害物無く撮れる数少ない場所だと思います。構図次第で大山バックも。青空と赤い彼岸花とくれば、白いVSE、秋のトリコロール完成です。(小田急本線 開成・栢山)

10月 秋の夕暮れ小沢駅 晩秋ムード満点
白老へ引越しました。函館山線は、近くにある鉄路なので、四季をしっかり記録していこうと、さっそく紅葉目当てで出かけました。いつもの国道から望遠で小沢駅。いつもとは違い、咄嗟の晩秋構図。薄と色づいた背後の山を強調しました。「キハ40だったら良いのに」と未練がましく言ってる場合ではありません。新幹線の工事が着実に進み。栄光の鉄路の存続すら危うい状況になってきました。頑張ろう山線!(函館本線 小沢)


11月 至福の待ち時間 私の感動絶景、2021年いちばんはコレ
移住して1ヶ月。色づき始めだった木々は既に落葉し、代わって落葉松の黄葉が見頃を迎えました。天気や色づきを確認しながら撮影ができるのは、地の利と隠居身分のお陰。ベストなタイミングで「いちばん好きな北海道」に逢えました。
かなやま湖午後3時。いつもはざわつく湖面が、この日は鏡のよう。最高の光線状態の中、鏡は消えたり見えたりでハラハラしながらも至福の待ち時間。列車通過のタイミングではちょっと乱れ鏡、でも、かえって幻想的で凄い写真が撮れたと興奮したものです。(根室本線 金山・東鹿越)

11月 カモメが翔ぶまで待った日
カモメが翔んだ カモメが翔んだ あなたはひとりで生きられるのね♪
海越しに室蘭本線が見えます。晴れた午後は列車が光ります。いつもカモメが羽を休めています。カモメの数はその時々で多かったり少なかったり。時折気まぐれに一斉に翔びたちます。列車通過時に翔ぶシーンを撮りたくてと、豊浦方面に行ったときはここに寄るようにしていました。そしてやっとタイミングが合いました。本当は四季島でこれを撮りたかったんですが、そう旨くは行きませんね。(室蘭本線 大岸・豊浦)

11月 暮れゆく秋の噴火湾 私の北舟岡
北舟岡駅で写真を撮る頻度なら、私はかなり多い方だと思います。いろんな撮り方しますが、このようにコンテナの隙間(空コンテナ)に駅名標を入れるのもよくやります。波高く、夕日に光る海。イメージどおりで満足です。どうしても、流行語大賞と同じく、年後半の写真が印象に残るので、多くなりますね。(室蘭本線 北舟岡)

11月 秋のフィナーレは 奇跡の樹氷
11月末、まだ冬になりきっていない狭間の季節でしたが、道民割の魅力で、「そうだ、富良野いこう!」 広い北海道、白老と富良野では季節が違いました。思ったより寒く、期待以上に雪がありました。そして翌朝はこの秋いちばんの冷え込みで、空知川沿いは樹氷の森、これにはびっくり。日が当たらなかったのが幸いし、11月としては奇跡のような樹氷の光景を撮ることができました。樹氷の白は、雪の白より儚く透明感があります。日が昇ると忽ち枯れ木に戻ってしまいます。北海道でも中々撮れません。(根室本線 山部・下金山)

12月 札幌には市電がある
道民になり、あらためて北海道の広さを実感しています。道東や道北は羽田からだと1時間ですが、白老からだと1日がかり。なかなか行けません。身近で選択肢を増やしたい、そんな中浮上したのが札幌です。登別駅に駐車してすずらん(割引切符)で1時間。美味しい街+市電が楽しめる街。市電を巡る札幌の四季が楽しみです。札幌駅前から続くホワイトイルミネーション。すすきの交差点から300mmで撮りました。(札幌市電 狸小路・すすきの)

12月 山の存在感。
見えなさそうな時は絶対見えない、見えそうな時でも見えないことがある、それが羊蹄山です。特に冬場は、後志(日本海側)にある羊蹄山は胆振(太平洋側)からはほぼ見えません。12月初旬、1か月ぶりの胆振からの羊蹄山、一段と白くなっていました。これが年内最後の羊蹄山でした。敢えて山の一部だけを切り取ると、いっそう雄大に見えたりします。)室蘭本線・黄金)

12月 ナナカマドの綿帽子
雪が遅れていた札幌でしたが、ようやく待望の雪景色になりました。北海道では街路樹でよく見かけるナナカマド。秋から冬にかけて赤やオレンジの実がとても美しいのですが、インスタで親しくして頂いている道民の方が「雪を被った綿帽子が可愛いですよ。」と。ほんとだ!これは可愛い。お陰で素敵な1枚が撮れました。ところで札幌市電と言えば、ササラ電車です。この12月も2度ほど撮影しましたが、イマイチ納得がいかない結果でした。「ササラ電車の思い通りの絶景」は来年にお預けです。(札幌市電 中島公園通・行啓通)

12月 山が好きです。
苫小牧の街中で絶景が撮れる、日高本線の残った区間はなかなか見どころがある。この場所を知ったことは、移住後3か月間のちょっとした成果かも。山が好きなので、樽前山をはじめ支笏湖の外輪山が一望できるのこの場所が気に入ってしまいました。気に入った場所は四季を巡るの楽しみ。ここは近場なので天気見て出かけられます。(日高本線 苫小牧・勇払)

撮影の観点で1年を振り返ると、コロナ過が続き、感染が蔓延した1月と8月はあまり撮れませんでした。年の前半(7月頃まで)は、東京ラストシーズンゆえ、荒川線や世田谷線に足しげく通いました。真夏は感染が拡大したので、ほとんど引き籠り東京オリパラを観ていました。9月は引越準備が大変でした。10月には移住が実現し、時間を気にせず北海道を撮影する環境が整いました。

移住して3か月が経ちました。旅行者から生活者になり、撮ることが非日常から日常になったことに少し戸惑いがあります。加えて、東京の高密度で選択肢が豊富な撮影環境を懐かしむ気持ちも無くはありません。しかし、何かを手に入れれば何かを失うのは常。このゆっくりとした素晴らしい時間の流れに馴染んでいきたい、そんな心境です。今年は鉄道だけでなく、ネイチャーにもチャレンジしていきたいと思います。関東にも時々回遊したいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。(2022/1/11)

鉄道風景2021総括(完)