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7th heaven side B

For you 完全版_6

2017.08.30 14:30

第5章 穏やかな日常


「おかえり、アホ息子」


何や、いきなり

そう返したオレに、和葉を部屋へ運べと言う


居間のテーブルに突っ伏して眠る和葉

ペンを握ってたままやんか


テスト勉強をしとった様子

テーブルの端には、オレ用のファイルが用意されとって、ちゃんと付箋も付いてた


「抜き打ちテスト、あるで」


和葉から、連絡はあった

明日、と言う事なんやろうな


ファイルや何かを先に2階の部屋に置いてから、和葉を背負うて部屋に行った


和葉をベッドの壁側にしっかり寝かせ、オレは風呂に入ってから部屋に戻り、和葉の用意してくれたファイルに目を通した


スゥスゥ寝息が聞こえて来る

可愛ええ嫁は、爆睡中

同じ部屋に居ると言うだけで、安心して集中

出来た


明日の学校の支度を整え、和葉の支度も出来

とるのを確認して、オレは部屋の電気を消し

和葉の隣に滑り込んだ


和葉の布団を引き上げてやって、眠る和葉の

頬にキスをした


挙式後、学校側に結婚の事実を報告した両親

親父も足を運んで、おっちゃんの仕事の都合もあり、卒業を待てんかった事情を説明して

くれたらしい


まぁ、入籍済みやし、和葉もオレも、成績に問題も無ければ、部活動での表彰もそれなり

で、学校側でも対応に苦慮したらしく


結婚の事実を卒業までは、口外しない

学生に相応しくない問題(妊娠やろな)を起こした場合は、2人共退学処分とする

など、条件付ながらも、認めてもろうたんや


和葉には、内緒で服部姓のネームプレートと

学生手帳、学生証が発行された


大変やのは、先生らや

書類上は、服部和葉で取り扱わなアカンし、生徒の前では遠山和葉を通さなアカン


コロンと転がり込んだ和葉を抱えて目を伏せ

あくびをした


和葉とは、そんなに夫婦らしい事は出来てへんのや


学校外で指輪を外さん事くらいやろか


結局、和葉が結婚指輪は要らん、カップルリングで十分や、と言うて、結婚指輪はあの指輪になったんや


眠る和葉の大事な指に在る指輪にキスをした


身体を重ねるのも、まだ覚束ないオレらやけど、それも仕方ない

階下には夜叉達が居るんやからな


不在の時にしか、出来へんやん?

それに、和葉の体調や事情もあるやろ?

まぁ、何より受験生やし

それを片付けたら、あの組織撲滅に奔走せな

アカンし


せやから、あんまりがっつかんように気をつ

けてんのや、オレなりに


和葉と離れなアカン間、余計に辛くなるから


和葉と一線を超えた日、思ったんや


ホンマに、良かったって

コイツと一緒に超えられて、良かったって

余計な誘いに応じんで、良かったってな


こんなん、興味本意や遊び半分でしてええ事

とちゃうって


初めて見る顔を見せ合うて

初めて全部を曝け出し合うて

初めて触れる肌に吐息に溺れそうになって

初めて聴く啼き声に痺れて

溢れ落ちる涙を拭うて、震える身体を宥めて

過ごしたあの夜を


オレは生涯忘れんと思う


好きやも愛しとるも届かへん程に深く、深く

心に刻まれた愛おしさを

上手く表現出来る術をオレは知らんけど


このオンナで良かった


それだけは、間違うてへんって確信を持って

この先も、しっかり手を繋いで歩いて行こう

と思えたんや


眠る和葉の背を撫でて、甘えるように首筋に顔を落とすと、寝ぼけた和葉が両腕を回して

抱き寄せてくれる


嗅ぎ慣れた少しだけ甘い香り

和葉の柔らかな身体に、溶け合う体温に少しずつ眠りの淵へと落ちて行く


おやすみ、和葉

すっと眠りに落ちるこの瞬間が、昔は少しだけ怖かったんやけど、今は幸せを感じている

オレやった


翌日、和葉の山が当たり、何なく抜き打ちテ

ストをクリアしたオレ


和葉とオレの海外進学準備は着々と進んでいて、今のところ順調や

後は、無事留学資格を取得する事のみ、や


「和葉」


たまには行こうや、と、背中に乗せて愛車を

駆った


「和葉ちゃんなぁ、頑張り過ぎや」


アンタが居らん間、ちゃんとせなって無意識に緊張しとるみたいやねん

遠山さんにも、私らにも迷惑かけへんように

って、無意識に力が入ってるみたいや


先日、オカンにそう言われたんや


少し、事件に飛び出す回数、減らせんかって

たまには、和葉を遊びに連れて行ったらって


勉強も部活動も家事も、フル稼働や

あれでは、疲れてまうって


せやから、たまには、と和葉を乗せて街中を走り、景色がええ場所を駆け抜ける


背中で、久しぶりや、気持ちええな、とはしゃぐ和葉に満足して、オレはさらに先へとま

た愛車を飛ばした


第6章へ

to be continued