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大樹バイオリン工房 Liuteria Oki

ネック調整

2017.09.19 03:45

今回行う内容

あご当てやネック等、演奏中体に密着させる部分を、体型や演奏スタイルに合わせて削り直すということは音を作る道具としての観点からすると重要な作業です。 

もちろん楽器によって施術方法などは大きく異なる場合がありますので、今回ご紹介する工程は方法の一つとしてご覧下さい。

短いネックを長くする方法はいくつかありますが、今回は指板を上にずらして調整します。

(条件によってはこの方法は使えません。)

この時点で指板のアーチ、そして何より重要な側面、表面のコーニッシュを仕上げておきます。

ネックに接着をしたら、形を作ります。今回は私の製作した楽器と同じように、つまり私のスタイルでの注文でしたが、場合によっては、実際に奏者の方にネックを握って頂きながら少しずつ調整します。

修理でのネック入れの際、最も考えなくてはいけない部分は楽器の中心線です。

製作とはまた少し違う様々な観点から楽器を観察し、その都度最適な中心線を割り出します。

今回は、バスバーの位置を優先的に重視して中心線を決めました。

ネックを入れ直します。

今回は元々のネックの差し込みが浅く、接着面も甘かったので、より深く、完璧に面を合わせて接着します。

ちなみに前の段階で、深く入れることも考慮に入れて、ネックの長さも調整しています。 

リタッチニスの調合。

様々な樹脂を使いますが、なるべくシンプルな方が後々トラブルは起きにくいです。

修理用ニスの調合の時に私が特に注意する点は以下の通りです。

これをまとめて「質感」として、そこに染料、顔料で色づけ。更にニスを乗せる前の「下地」にも気を付けます。もちろん塗り方でも質感は大きく変わります。

つまり、綺麗なリタッチには、時間が必要ということです。

クリーニングからセットアップ。 最後は実際に弾いていただきながらの作業です。 納得のいくまで音を整えていきます。