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武家屋敷の日々リターン ~入来麓武家屋敷での回顧録~

鹿児島の奇祭「ヨッカブイ」を見にいった。

2019.08.24 05:45

8月22日、南さつま市高橋地区で毎年行われているお祭り「ヨッカブイ」を見に行った。


「ヨッカブイ」とは「夜着被り」のことで、シュロの皮で作った頭巾を被ったオオガラッパ(大河童)が、地域の子どもを次々と藁袋に入れていく鹿児島版ナマハゲのような祭りのことだ。なおオオガラッパ自体が「ヨッカブイ」とも呼ばれる。


しかし、なんというかどことなく、サイレントヒルの三角頭っぽいし、クリーチャー感が強い。


このお祭りは1997年に国指定無形民俗文化財に選ばれているので、詳しいことはそちらを参照して欲しい。


この行事は、シッチドン(水神)を祀って、水難除けと豊作を祈願する行事である。オオガラッパ(大河童)に扮した数え年15歳以上の青年たちが、奇声をあげながら集落内を巡ったり、コガラッパ(小河童)に扮した数え年11~14歳までの少年が十八度踊り、型相撲などを行ったりする。

引用元:国指定文化財等データベース:主情報詳細


オオガラッパたちが待機する「高橋公民館」



午前9時に「高橋公民館」に着くと、そこには地元の人らしい人たちと、それ以上に一眼レフを携えた人がどっさりいて(新聞記者やテレビカメラも多いが、それ以上にアマチュアカメラマンが多かった)、ヨッカブイの開始を今か今かと待ちわびていた。


午前9時半になると、公民館からオオガラッパとそれを先導する鐘持ちが出てきた。

さあ祭りの始まりだ!




カンカンと大きな音で鐘が鳴る中、一行はフゥーフゥーと奇声を上げながら観衆にちらほらちょっかいを出しつつ歩いていく。公民館から5分ほどで子どものたくさんいる「保育園」が見えてきた!

保育園が見えてくるとオオガラッパはこれまで以上にイキイキとしだし、足早に保育園に突入する。


オオガラッパが保育園に入っていくと、そこはもう阿鼻叫喚。


逃げ回る子どもたちをオオガラッパが捕まえて、次から次へと袋の中に入れていく。捕まえられた子どもは、純粋に「化物に捕まった」と思っているので、わーわー大きな声で泣きわめく。絶叫、そして絶叫。


まわりに親やおとなはたくさんいるのに全く助けてくれず笑っているし、なんならガラッパの前に突き出してくるし、こんな絶望的な状況、子どもからしたら生きた心地がしないだろう。

おじさんちょっと、ベルセルクの「蝕」を思い出しちゃったよ…。

キャッチ&リリースな感じなので、子どもはすぐに開放されるが、安心したのもつかの間、別のオオガラッパに捕まってふたたび袋に入れられている子どももいた…。


まさに地獄。


が、小学校中学年くらいでみずから進んでオオガラッパに捕まり、笑顔で袋の中に入っちゃう子どももいた。毎年のことなので何度かやっていれば慣れてしまうのだろう。実際、見た目が怖いだけで被害ないしね(中身は近所の兄ちゃんや父ちゃんだし)。




保育園で30分ほど暴れた後は、オオガラッパの給水。みんなで公民館に戻る。

河童だけに水分は重要だ。

(気温30℃の中、仮面を被って暴れまわったオオガラッパさんたちお疲れさまです)




そして、公民館から10分ほど歩いて「玉手神社」へ。


神社の階段を駆け上がっていくオオガラッパたち。

神社に着くなりオオガラッパは子どもたちを捕まえ土俵へ置いていく。

オオガラッパがひとしきり暴れると、コガラッパ(子河童)の相撲がはじまる。

コガラッパの相撲が終わると、次は、コガラッパチャンピオンとオオガラッパが相撲をとる。

コガラッパとオオガラッパの相撲は2回行われて、どちらも最終的にはオオガラッパがコガラッパに投げられていた。子が親を超えていく感じなのだろうか。


相撲が終わると最後はオオガラッパの踊り。渋い。

ここまでで約90分。

このお祭りは9時半からはじまり11時前には終わる。




それにしてもオオガラッパはみんな裸足でよく頑張っている…

シェロを被っているから、肌に当たってる部分が赤くなっちゃってる人とかいるし。


最初は異形感が強くちょっと怖いオオガラッパだけど、子どもたちが相撲をとってる間なんかはふつうにくつろいでいて、どんどん親近感が沸いてくる。




ガラッパさんおつかれさまでーす。

まつりの後。


オオガラッパとコガラッパは手をつないで公民館に帰っていく。

おそらくオオガラッパとコガラッパは本当の親子なのだろう。

あと10年もすれば、コガラッパはオオガラッパにクラスチェンジ。



こうして伝統は受け継がれていく。



今回感じたのは、南さつま市の高橋地区は意外と子どもが多いということ。ボクの住む入来町より全然子どもが多いのではないだろうか。入来麓に関して言えば、小学校はあるけど地域に住む子どもはほとんどいないし。コガラッパが全員この地区の子どもなのかはわからないが、末永く続いて欲しい祭りである。



なお、公民館に帰る道すがら、オオガラッパが町の子どもに「また来年会おう!」と手を振っていたのが個人的にはツボ。オオガラッパのりのりじゃん。


ボクも機会が合えば、また来年もオオガラッパに会いに行きたいと思う。



※蛇足

この祭りを撮影しに来るメディア、趣味人ともに多い。


泣いている子どもの写真を撮るために、子どもの顔数十センチの至近距離で強烈なフラッシュを何度も焚く人が複数いて正直驚いた(ボクはノンフラッシュ派)。中にはそのフラッシュで泣く赤ちゃんもいた。大人でも目の前でフラッシュを何度も焚かれたらかなりのストレスになる。


撮影に行く人はそういう事を考えて撮影して欲しい。