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Photo小説:『夜の迷路』

2017.09.19 10:33

 夜の底、ひとりぼっちで、悲しいくらい何も見えない。


 虫の音も夜を横切る車の音も何も無い。


 ただ、ポッカリと夜の藍(あお)が口を開ける。


 その夜の藍に、パクリと一吞み。


 気つけば蒼い迷路に囚われて、退くも行くも儘ならぬまま、四方を硝子に囲まれる。


 何も映らない夜の底、硝子に映ったちっぽけな私だけが蹲る。


 苦しくて、息が出来ない。新しい空気が欲しい。月の光を求め、夜の天井を仰ぐ。


 行きたい。生きていたいの。たとえ、独りでも構わない。


 息苦しい、夜の迷路から出られるのなら。

 

 声の無い慟哭に揺り起こされて、独りベッドの上で、膝を抱える私に気づく。


 夜の底で見た夢か、夜の底が見せた現か解らない。


 解ったのは、まだ、生きていたいということ。あなたが居ない人生でも、生きていたいと請うている私。


 やっと気づいた。私の恋が終わった事を....。



photo/文:麻美 雪