コアとマスを併せ持つ日本ロック界の至宝~BUCK-TICK「CATALOGUE 1987-2016」
はじめに
今年、あるバンドがデビューから30周年を迎えた。一度もメンバーチェンジも活動休止(少しだけあったけど)もなく、30年を駆け抜けた。
その名は、BUCK-TICK!
(左からギターの今井寿、ドラムのヤガミトール、ボーカルの櫻井敦司、ベースの樋口豊、ギターの星野英彦)
この記事を書く僕はもちろん大ファンである。人生における大部分で大きな影響を受け、僕の半生はこのバンドとともに生きてきたといっても過言ではない。
このバンドがいなければ僕という人格は存在していないに等しい。
そんな僕の愛してやまないバンドが今年の30周年の企画の中でベストアルバムを発売した。これは書かなきゃいかんだろう!書かなかったら記事を書く意味がない!だめよ!ということで即刻着手したこちらのレビューをどうぞ!
「CATALOGUE 1987-2016(通常版)」
曲目
Disc 1
- MACHINE
- JUPITER
- HEARTS
- UNDER THE MOON LIGHT
- MOON LIGHT
- MY EYES & YOUR EYES
- サファイア
- Coyote
- 夜想
- 謝肉祭 -カーニバル-
- ドレス
- ROMANCE
- DIABOLO
- ノクターン -Rain Song-
- 愛の葬列
Disc 2
- ANGELIC CONVERSATION
- New World
- BOY septem peccata mortalia
- SANE -typeII-
- 極東より愛を込めて
- 絶界
- Cuba Libre
- 形而上 流星
- 無題
- ボードレールで眠れない
- セレナーデ -愛しのアンブレラ-
- THE SEASIDE STORY
- MISS TAKE ~僕はミス・テイク~
- COSMOS
- LOVE PARADE
今作はファンリクエストの投票結果にメンバーの選曲を加えたスタジオ音源を収録した全30曲のベストアルバムである。
ちなみに初回限定盤には2枚組30曲のライブ音源CDと10曲のライブ映像Blu-rayもしくはDVDがついている。
この一枚は文字通りBUCK-TICKというバンドの歴史を体感できる一枚で、初期のものから最新アルバムの収録曲までバランスよく収録されている。
初期の青いポップネス、90年代初頭から世紀末にかけての自虐退廃の美学、00年代から10年初期の彼らが外に目を向け羽ばたいていった時期、そして現在に至る達観した深みのある世界。
BUCK-TICKというバンドの表現の変遷をたどりつつもこの中には常に彼らなりの愛と死への視点や一抹の希望が貫かれていることに気づくだろう。
思うに、BUCK-TICKは闇から光を表現するようになったバンドである。
・見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ
(関係ないけどこの時の櫻井敦司人外レベルでクソカッコイイな。あと今井寿あてぶりだからやりたい放題でウケるぞ。)
「 真実が知りたい 俺は狂いはじめる 真実を知りたい 君が狂いはじめる 真実を」
かつて、こんなことを歌っていたバンドが今では・・・・
BUCK-TICK-2016年9月21日発売「New World」Music Video+初回特典映像ダイジェストトレイラー
「これが世界 君の世界 夢幻の闇 君は流星 まばゆい世界 君の世界 無限の闇 切り裂いてゆけ」(New World)
ここまで希望と愛に溢れたことを歌えるようになったのだ。作詞はどちらも櫻井敦司である。年月が1人の人間をここまで変えたのだと思うと感慨深い。
絶望から見出した愛と希望というのは強い。そこには一抹の悲しさが含まれているもののそれがむしろ表現に圧倒的な深みをもたらすのだ。
そしてもう1つ忘れてはならないのは彼らのバンドサウンドの魅力だ。
ただ単にマニアックでダークなバンドというだけではなくそれと同時にポップセンスも持っているからこそ、第一線で30年も続けてこられたのだ。その事実だけでもう凄い。
音楽的な嗅覚も抜群で、96年にはノイズ、シューゲイザー的なギターの音像を取り入れたアルバムを、97年にはドラムンベースなどを全面的に取り入れたアルバムを発表したり90年代の彼らは世界的な音楽の潮流を常に自分流に料理することに終止していたと思う。
BUCK-TICK「 ヒロイン」(1997)
(後ろのリズムが完全にドラムンベースのそれである。ちゃんとポップだけど。)
それが00年代に完全に自分のものになり、今までに持っていたポップセンスと融合したことで彼らの新たなキャリアが始まった。1つに安住するでもなく常に変化し、それでいて常にかっこよく、ポップなまま今まで続いているということは世界的にもあまり類を見ないしほんとに素晴らしいことである。
ちなみに初期の曲を今の彼らが演奏するととてつもなくかっこよくなるぞ。如何に過去も否定しないで歩んできたのかがわかる。
BUCK-TICK 「JUST ONE MORE KISS」(2011 Live)
実はBUCK-TICKは長いキャリアの中で、外部からプロデューサーを招いていない。そして、作曲の殆どを今井寿が担い、痒いところに手がとどくような曲を星野英彦が彩ってきた。常に自分たちで試行錯誤してきた。そのクオリティはどんどん上がっていき現在ではもはや折り紙つきと来ている。
だからこそ、ファンは胸を張って常に「最新作が最高傑作である」と豪語できるのだ。ファンとしても誇らしく思っている。
そして特筆すべきはバンドメンバーの仲の良さである。デビューから30年経ったにもかかわらず打ち上げは常に皆一緒なのだという。
これだけのキャリアがあれば打ち上げはバラバラなのがザラな世界においてこの仲の良さはダークな匂いを持ったバンドというイメージを覆す部分がある。ちなみに一緒にいるのにあんまり喋りはしないらしい(笑)。そういったある種の信頼感やスタッフとの仲の良さも含めて魅力的である。
なにせバンドの解散なんて珍しくもない、どこで終わるかわからないのだ。
そんな中高校時代からずっと一緒に今までやってきて仲がいいままというのは最早存在そのものが奇跡であると断言して構わない。
そういった部分での彼らの魅力は曲にも現れているので、ぜひベストアルバムから彼らの世界に入ってみて欲しい。
僕は、BUCK-TICKを日本ロックバンド界の至宝であると断言する。
最後に今日(9月27日)、CMスポットが解禁された11月15日発売のニューシングル「BABEL」の映像を貼ってお別れだ。我はバベル、って言葉のインパクト半端ない。素敵。
BUCK-TICK / 2017年11月15日発売SINGLE「BABEL」SPOT
シングル「BABEL」
2017年11月15日発売
Lingua Sounda / Victor Entertainment
最新アー写。櫻井さん相変わらず魔王だな!
BUCK-TICK デビュー30周年プロジェクト第1弾シングル「BABEL」Music Videoトレイラー
まあそんなわけで、最後は宣伝になっちゃった!
最高にかっこいい上に来年には早くもニューアルバムが届くらしい。楽しみだ。
(文:アキオシロートマグル)