Aの妹
今はもう関わりを絶っている一人の知り合いの話です。
とあるライブハウスでAという男性と知り合いました。
自分でもわかるぐらい、Aは私の事が気に入っている様子でした。
Aは私のことを「妹に似ている」と、事あるごとに言ってきます。
なんだか歩き方が妹に似てるとか、芸能人の好みが妹に似てるとか。
Aは妹と仲がいいそうで、二人で暮らしていると言っていました。
ある日私はAの家に呼ばれました。
玄関での違和感。
Aの妹の靴が全く無いのです。
Aの男物の靴はこれでもかというくらい散らばっているのに、妹の靴らしきものはどこにも見当たりません。
疑問を持ちつつ、Aの部屋に入るとAが、「ちょっと待ってて。隣の部屋にいる妹とちょっと話してくる」と部屋を出て行きました。
薄い扉一枚隔てた向こうの妹の部屋で、話し声が聞こえてきました。
Aが、「友達を連れてきたんだ」とか、どうのこうのと話しています。
しかし肝心の妹の声が全く聞こえてこないのです。
Aだけが一人でただひたすら喋っているだけです。
私は怖くなりました。
すると妹との会話を終えたAがニコニコしながら戻ってきます。
私はその時は結局何も聞けませんでした。
その後、流石にもう怖いのでAの事は避けていました。
ある日の外出中、Aから電話がありました。
めんどくさい。そう思い無視をします。
数時間後また電話がかかってきました。
Aはかなりしつこい人間だったので私はイライラして今度は電話に出ました。
するとAが「お前が電話に出ないから死んでるんじゃないかと心配になったから家に入った」というのです。
私は慌てて家に帰りました。
アパートの外から2階の私の部屋を見るとの窓が割られています。
急いで部屋の前へ行くと中でAの独り言が聞こえます。
流石に帰れず友達の家に泊まり、翌日警察に行きました。
それ以来Aには怖くて会えず、電話も存在も無視しました。
最初は頻繁に電話が来ましたが、怒ったのかしばらくすると電話も鳴らなくなりました。
それからある日、私があるイベントに行って帰ろうと出口に向かうとAがいました。
Aは知らない人に「ここに俺の妹が来てるから迎えに来た」と言っています。
そして私の顔を見た途端、「あ、あれ俺の妹」と。