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間欠曝気運転による省エネ化と二酸化炭素排出量低減と処理水質の向上

2022.01.07 13:59

2022.1 公開

2022.5 追記


下水処理場や大型・中型の浄化槽では当たり前のように間欠曝気運転が行われていますが、小型合併浄化槽に付いては、ほとんど間欠曝気運転はされていないのが実情です。


しかし、小型合併浄化槽でも低負荷の現場や、後生動物の影響がある現場では、間欠曝気運転が非常に有効であるため、ここに記載します。


今現在(2022年5月)で約100基にコンセントタイマーを設置し、経過をみたものです。その内、約80基が嫌気ろ床接触ばっ気方式(構造例示型)の浄化槽となります。主にここでは、嫌気ろ床接触ばっ気方式の浄化槽へコンセントタイマーを設置した内容をお伝えします。


省エネ(節電効果)と二酸化炭素排出量削減

基本的には、ブロワーの風量60L〜120L/minの規格が設置されており、機種の違いにもよりますが、消費電力は約32W〜約120Wの物になります。 

では実際に、どのくらいブロワーの電源を落としても問題がないかを例にします。



(例)

嫌気ろ床接触ばっ気方式  7人槽

使用人数 3人

人員対比 約43%=3/7

平均流入水量 0.70t/日

※循環水は停止が望ましい

ブロワー吐出量 80L/min 

消費電力 72W

電気契約 従量電灯

電気料金 9,000円/月(税込)

電気料金単価 27円/kWh(税込)

※再エネ賦課金・燃料調整費は考慮なし


ブロワー稼働時間

冬季

5時〜7時&17時〜19時&23時〜1時

ブロワー稼働 合計6時間

ブロワー停止 合計18時間


夏季

1時〜3時&5時〜11時&17時〜19時&21時〜23時

ブロワー稼働 合計12時間

ブロワー停止 合計12時間


※春季と秋季は上記の中間とお考えください



電気料金見込

年間削減金額 約10,500円/年


二酸化炭素排出量削減見込

CO2排出係数 0.439kg-CO2/kWh

年間削減量 約171kg




一例ではあるが、非常に大きな節電効果と二酸化炭素排出量削減が行える。


浄化槽自体は10年20年30年と長く使用する施設なので、その効果は大きく出る。





処理水質の向上

コンセントタイマーによって曝気槽内の溶存酸素濃度の調整が可能となる為、一時的に嫌気状態にする事が可能である。


詳しいメカニズムは不明だが、曝気槽内の溶存酸素濃度を0.5ppm以下を4時間ほど確保(曝気の停止は約8時間〜12時間)することで、処理水の透視度が良くなる事が多くある。



推定を含むが、嫌気状態にする事により透視度が改善する要因を記載します。


①後生動物の駆除、もしくは減少

既出の物にはなるが、低DOにする事によりサカマキガイやミジンコなどを駆除・減少させることが出来る。その事により生物膜の生成が促され、生物処理が良好となり透視度が改善する。


②生物膜の生成が促進される(仮説)

間欠曝気を導入すると生物膜の生成が良くなるので、結果論としてこの仮説は「真」である。

そのメカニズムとしては、対流(曝気強度)が弱くなることにより、細胞外ポリマー(EPSなど)が接触材や生物膜などの何かの固形物と強く結びつき生物膜が生成されやすくなると考えている。反対に対流(曝気強度)が強いと、細菌が出した細胞外ポリマーが水に流されてしまうと考えている。



③嫌気性細菌の繁殖(仮説)

曝気槽内では、嫌気性細菌は生物膜(EPS)の内部で繁殖しており、撹拌や対流による強度が弱い。

タイマーにより対流が止まる時間ができる為に、繁殖しやすくなる。

これは既出であるが、通性嫌気性細菌へ酸素を与えると、嫌気状態より活性が上がる為、処理水質が改善する。



また低DO運転にならない場合でも、上記の理由で生物膜の生成が促進され、透視度の向上が大いに見込むことが出来る。




嫌気ろ床接触ばっ気方式(構造例示型)以外の、コンパクト型やモアコンパクト型でも、間欠曝気運転に切り替えることで、透視度の向上や節電・二酸化炭素排出量の低減に繋げることが出来るが、嫌気ろ床接触ばっ気方式と比べて、運転が難しくなる。



また間欠曝気運転時には循環水を停止させたほうが、運転が容易である。

その理由ですが、循環を回すと、循環された水量分のDOが1槽目へ持ち出しされ、曝気槽のDOが低くなる。さらに循環された水量分だけ、2槽目の嫌気的雰囲気の処理水から曝気槽へ流入してきますので、より曝気槽のDOが下がる事になります。この事により曝気槽のDOが低下してしまいます。

ではDOが下るなら循環水量を絞れば良いと思いますが、曝気運転中(ブロワー稼働中)にしかエアリフトポンプで循環しないので、1日あたりの循環水量が随分と少なくなります。あまり循環水量が少ないと、脱窒に関しては回してる意味が薄くなります。

沈殿槽にスカムが多く浮上する場合を除き、それなら初めから循環止めとけば安定した運転が可能です。




執筆中