みんなで子育て〜共同保育・社外への広がり編〜
2017.09.22 13:08
保育だよりでは「共同保育〜夜の部~」「共同保育~いつでもどこでも編~」というように、共同保育室外での活動の広がりを紹介してきました。「共同保育」が社内だけの空間や社内の人だけの特別なものだと思ってほしくないというのが私たちの願いであり、こうしてブログを通してそれを感じていただければという想いで書いています。
「一会社がやっていること」
「これは特別なことだ」
そんな概念を覆し、「共同保育」は社内、社外問わず、いつでも、どこでもみんなでやろうと思えばできるんだ、という可能性を提示している一つの例を今回はお伝えしたいと思います。
年長と、小学5年生の娘さんがいる共同保育の先輩ママさん。以前紹介した「夜のお預かり」で共同保育を続けていましたが、ママさんや子どもたちが増えたことにより、社内のママさんたちだけでお預かりを分担することが厳しくなっていました。
しかしそれは、実は地域で子育てすることへの第一歩に繋がりました。気付けば共同保育のお預かり分担が少なくなったことで、近所の子どもたちを預かったり預けたり、泊めたり泊まったりする機会が増えていたのです。
初めは「何かあったら・・・」「家によってルールも違うし・・・」と預かり合いに抵抗を感じていたママ友たちも、のっぴきならない事情の時に頼ったり頼られたりしたことで、子どもたちがとにかく嬉しそうにのびのびしている姿を見て、大勢で食べるごはんの美味しさを味わい、まわりに頼っていいんだ、頼れる人がいるってこんなに母子ともに安心するんだと実感。次第に気軽に頼みあえるようになり、会社だけでなく地域でもどんどん“みんなで子育て”になっていく潮流ができ始めたのです。
それを阻害するのは、「子育ては母親(または夫婦)がすべき」「子育て中の母は自分のやりたいことを後回しにするのが当たり前」というような価値観や固定観念。実際、「旦那には預けたことを言わないでほしい」とか「旦那がいるから預かれない」という声もよく聞かれたり、「母親が子どもを友人に預けて仕事や遊びに行くなんて言語道断」と言うご主人もいたそうです。
密室家庭の閉塞感や責任感で追い詰められているママはたくさんいて、自分の評価=子どもの評価にすり替わり、過干渉やイライラ、不安の原因になっていることは明らかなのにです。いっしょに育ちあっていけるんだろうとより具体的に考えることに繋がっていきました。
そもそも勉強も性・婚姻も、強制圧力をかけられた時点でまったく活力が湧きませんし、秩序や既得権益をつなぎとめようとする規範もどき観念(おかしいな、しんどいなと感じつつも、なんとなくそうしなければならないと思い込んで1人で育児をしてしまうことなど)が新たな可能性への収束を邪魔しているんだと思います。
かたちは何であれ、旧い観念や常識、価値観という強制圧力から脱却して、まっすぐみんなが良いと思う方向に進んでいくことが子育てにも必要なのです。子どもはみんなの宝物、財産である、自分たちが生きていく社会をより良いものにすると考えれば、みんなで子育てをするということが全然不思議ではなくなってきますよね。共同保育は特別なものではく、それぞれの地域やコミュニティに合った色んな形があってみんなでつくっていくものなのです。
今回は会社の共同保育から広がった一つの例を紹介しましたが、どんどんいろんなところで人と人とが繋がって、みんなで育児する場が増えていってほしいですし、色んな可能性を模索しながら私たちも行動していきたいと思います。