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Photo小説:『水晶の中の空』

2017.09.25 06:00

 つるりとまあるい水晶に、空を閉じ込めてみる。


 どこかで見たような形。


 ああ、地球か。


 「地球は青い」と言ったのは、ガガーリンだったか。定かではない記憶を探るが、思い出すのも面倒になり、まあ、いいやと記憶を放り投げる。


 あの日から、私の記憶も時間も感情も止まったままだ。


 生きながら死んでいると、友人たちは心配するが、そんな事もどうてもいい。


 あなたのいない世界など、なんの意味も無い。


 本当は、知っている。


 そう思う事さえも、無駄な事だと。


 人間なんて、幾ら悲しみ続けようとしたって、死にたいと思ったって、お腹は空くし、空けば食べるし、ナンダカンダうだうだ、ウジウジしても、眠りもするし、結局、生きてしまうものだってこと。


 そうそう簡単に、死なない、死ねないってことを.....。


 心配なんてしなくていいよ。


 もし、神様ってものがいるのなら、神様がお迎えに来るまで、きっと、私は生き続けるから。


 あの人の為とか、誰かの為とかじゃなくて、ただ、漫然と生きてしまう、生き切ってしまう気がする。人間なんて所詮そんなもん。


 そういう君に、それでいいから、生きていて欲しいと切に願う僕。


 「生きたモン勝ち。生きてるだけで丸儲けなんだからさ。」


 そういう僕に、


 「どっかのお笑い芸人なこと言って」


 と苦笑いする君。

 

 安心したよ。苦笑が出れば、もうすぐ君の、あの日失った、あの日から止まったままの全てが、また、ゆっくり動き出すから。



『』photo/文:麻美 雪