東京入管面会活動から(Vol.1)
こんにちは! BONDの大学生メンバーです。
今回から、入管の実情と問題点をより多くの方に知ってもらうため、大学生ボランティアが中心となって行っている、入国管理局の施設への面会活動でお会いした方のお話をレポートしていこうと思います。
今回第1弾として、先週の東京入管面会でお会いしたAさんのお話を紹介します。
Aさんは信仰する宗教が原因で政治的抗争に巻き込まれ国を追われ、日本にやってきました。
書類を提出し難民申請(*1)をしていますが認定されず、入国時に偽造パスポートを使ったことで現在は収容されています。
Aさんには奥さんと高校3年生、中学2年生の双子の子供3人がおり、子供たちは日本で生まれたためビザを持っていません(*2)。
生活費などは所属する宗教団体から援助を受けていますが、奥さんは関節リウマチなど複数の病気を抱えていますが、Aさんがいないため、家事や今までAさんが担ってきたことを奥さんが引き受けている状況です。
奥さんの症状がひどいときなどは子供が学校を休んで看病を行うこともあり、子供たちもお父さんがいないことで不安を感じる日々を送っています。
このような状況からAさんは仮放免申請(*3)を行い、収容施設から出て家族とともに暮らせる日々を待ちわびています。
Aさんのように子供がいるにも関わらず、片親が収容されてしまうケースは多くあります。
子供たちも片親がいない不安と将来に対する不安の中、毎日を過ごしています。
また、Aさんの子供たちのように、日本で生まれ、親が生まれ育った国に1度も行ったことのない子供たちにとって日本は母国です。
私たちは、あまりメディアでは取り上げられない、このような状況にいる子供たちや被収容者たちの状況をこれからブログやSNSを通じて広めていきたいと思います!
*1: 日本の難民認定者数は少ないことで知られています。法務省(2017)によれば、去年の難民申請者数は10901人でそのうち認定されたのはわずか27人(約0.3%)です。
*2: 日本の国籍法は血統主義をとっているため、日本国籍をもつ父親または母親をもっていなければ、日本国内で生まれたとしても日本国籍を取得することはできません。Aさんの場合、夫婦ともに外国籍であり、「永住者」や「定住者」などの有効なビザを持っていないため、子供にも在留資格が認められません。
未成年の子供には収容は免除されており、満16歳になるまでは、子は出頭する必要はありません。親が出頭日に、子の仮放免許可書も持っていき、代理で延長申請ができます。満16歳の誕生日が平日であれば、その日に入管から呼び出されます。高校生などの学生は、3ヶ月毎の出頭になります。学生でなければ、大人と同じ扱いです。すぐに仮放免許可(*3参照)が出るため、収容されることはありませんが、月に一度か2ヶ月に一度は入管に延長の手続きに出頭しなければなりません。また、県外に出る際には入国管理局からの許可が必要になるため、遊びに行ったりすることは一般の子供たちに比べ容易ではないだけでなく、修学旅行などの学校行事や部活動の遠征に行く際にもすべて許可が必要になります。
*3: 仮放免申請とは、収容されている人が外に出られるよう入国管理局の許可を得ることです。近年、収容期間が長期化する傾向にあり、入国管理局に申請しても許可が得られない場合には裁判を起こすケースもあります。 仮放免許可を得ることで入国管理局から出て生活をすることはできますが、月1回の入国管理局への出頭義務と県外への移動の許可が必要になる上、働くことなどの在留活動は禁止されてしまうため、生活はかなり制限されてしまいます。