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肉離れの治療

2017.09.26 04:17

【患者】50代男性。

【現病歴】スポーツで走った際に左のふくらはぎを痛めた。歩いたり重心をかけると辛い。

【経絡腹診】脾心虚、肝腎実、肺平。

【奇経腹診】陰キョウ脉と陽維脉。

【脉状診】浮・数・虚。

【証決定】脾虚証。

【適応側】左が患側なので健側の右側とした。

【本治法】右太白と大陵に補法。

胃経に浮いた虚性の邪を豊隆から枯に応じる補中の瀉法。

【補助療法】宮脇奇経治療。左照海-右列缺+右外関-左臨泣に金銀粒貼付。

【標治法】患部から最も痛む圧痛点を探り、仮点をつけ、皮内鍼を八卦の方向に向けて仮止めし、最も痛みが軽減する方向を確認してその方向に向けて固定。

【経過】3日後来院。ほぼ痛み消失。

【考察】肉離れを始め筋肉系の負傷は肌肉と四肢を司る脾か筋腱膜を司る肝の変動です。

現象だけでなく本質である変動経絡を調整しておくことが早期回復につながります。

またふくらはぎですから、腎経か膀胱経が関連します。腎経は腎臓にそそぎ膀胱腑をまといます。また膀胱経は膀胱腑にそそぎ腎臓をまといます。

そそぐとは中を養い、まとうとは外を養うという意味です。

このようにある1つの臓腑を表裏経で養っていると考えれば適応範囲が広がります。

奇経では陰キョウ脉か陽キョウ脉です。奇経腹診を用いると正確に鑑別できます。

本症例では陰キョウ脉でした。

また陽維脉の反応も出ていました。

陽維脉は肝胆に関連し人体の左右を司る重要なルートです。

足腰の病症はいかなるものであれ大なり小なり仙腸関節のズレが関係しています。

これがあるとケガをしやすくなります。

少陽経は仙腸関節を流注するので同時に調整しておくと治療はもちろん予防になります。

もちろん理論上はそういうことですが、実際に奇経腹診に反応が出ていなければ使えません。

結果が先で理屈は後付けです(*^^*)

筋肉系の局所治療は皮内鍼がよく効きます。

方向が大事です。

上下左右斜めの8方向、ちょうど八卦と同じです。

最も痛みが楽になる方向を確認して固定してください。

これは捻挫などでも同じです。

以前に虫垂炎や大腸憩室炎でも鎮痛に成功したことが何度かあります。

これは陰陽論です。

痛みや炎症は中が実です。

ということは表面は虚です。

表面の虚を補えば中の実は取れ中和されます。

だから皮内鍼は決して深く刺さずに表面に浅く止めます。