「よるのねこ」ダーロフ・イプカー
ここのところ何故か夜の本ばかり手に取ってしまうのは、季節が移り、日が落ちるのも早くなり、その一日の夜の時間が次第に長くなってきたせいかもしれません。
こちらはダーロフ・イプカーの「よるのねこ」です。
およそ一年前にダーロフ・イプカーの絵本を紹介した際に、まだご存命のようですね、と書いたのですが、その後、今年の二月に亡くなっていたようです。享年99歳でした。
今更ながら訃報の記事を読みましたが(Portland Press Herald, Fed.17 2017)その最後の日々まで絵を描いて過ごし、今年2017年にも幾つかの展覧会が予定されていたようです。(現在はRachel Walls Fine Artと言うギャラリーで開催中のようですね)
この絵本はそのタイトルの通り、猫が、そう夜の猫が主人公の絵本です。
人間が夜眠る時、その猫は外へ出ていきます。一体何をしているのでしょう?そんな風に絵本は始まります。
猫は人間には見えない夜を、たくさん見ています。
昼に猫がごろごろとばかりしているところしか見ていない人間を、夜の、そのちょっとした猫の冒険にイプカーが一緒に連れて行ってくれるのです。
人間の目に見えるの景色と、猫の目に見える夜の景色が交互に描かれ、ちょっとした科学絵本のようなつくりになっているので、その違いを見ながら小さなお子様と一緒に読むことも出来るのも嬉しいですね!
イプカーの美しい絵は、勿論この絵本でも十分に楽しむことが出来ます。
アメリカのカントリーサイドの風景、牧畜、そして野生の動物達などを、プリミティブアートのような純粋な感性を保ったまま、イラストレーションとしてとても高い完成度で実現した素晴らしい絵を描いているのです。
イプカーの描く、猫とともに歩く楽しい夜。
絵本のページをめくりながら、このひとりの素晴らしい芸術家のご冥福をお祈りしています。
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「よるのねこ」ダーロフ・イプカー