午後中?
私は、素朴な疑問を抱く変なガキだった。例えば、昭和52年(1977年)から昭和53年(1978年)までTBSで放送された教養人形劇『なぜなぜロンちゃん』・『ものしりソクラくん』に質問を投稿したところ、採用され、記念に『なぜなぜロンちゃんものしりソクラ50問①』と『なぜなぜロンちゃんものしりソクラ50問②』の二冊が郵送されてきたことがある。
放送前に、図書館で調べて答えが分かっていたので、自分の幼稚な質問が放送されたのは面映(おもは)ゆかった。
さて、日頃、テレビをほとんど見ないのだが、去年の10月だったか、換気扇のある台所でタバコを吸っているときに、手持ち無沙汰でテレビを付けたら、たまたまNHKの『チコちゃんに叱られる!』が放送されていて、つい見てしまった。
「午前中」と言うのに、「午後中」と言わないのはなぜかという質問が興味深かったからだ。
言われてみれば、確かに「午後中」とは言わないが、それがなぜかなんて考えたことがなかった。
「ボーッと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られそう。。。
「三つ子の魂百まで」というが、歳を取るにつれて、素朴な疑問を抱かなくなるのかも知れない。
記憶が定かではないのだが、どこかの大学教授が「午後の終わりは人それぞれで違うからだ」という趣旨のことを答えておられ、なるほど!と感心したことは覚えている。
確かに、「午前」には、「1 夜中の零時から正午までの間。」又は「2 夜が明けてから正午までの間。」(小学館『デジタル大辞泉』、下線:久保。)という二つの意味があるけれども、いずれも午前の終わりが一致しており、明確だ。
これに対して、「午後」は、「1 正午から夜の12時までの時間。」又は「2 正午から日没までの時間。」(小学館『デジタル大辞泉』、下線:久保。)という二つの意味があるけれども、いずれも午後の終わりが一致しておらず、不明確だ。
「~中」は、「終わり」がはっきりしているものに使われる言葉なので、終わりが明確な「午前」については、「午前中」という言い方がなされるのに対して、終わりが不明確な「午後」については、「午後中」という言い方がなされないそうだ。
なるほどね〜
では、法令で「午後中」は用いられているのだろうか。
e-Gov法令検索で検索したら、国の法令のうち、「午前中」を用いたものは4本あったが(cf.1〜cf.4)、やはり「午後中」を用いたものはなかった。
cf.1刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)
(受刑者の釈放)
第百七十一条 受刑者の釈放は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に、できる限り速やかに行う。
一 釈放すべき日があらかじめ定められている場合 その日の午前中
二 不定期刑の終了による場合 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第四十四条第二項の通知が刑事施設に到達した日の翌日の午前中
三 政令で行われる恩赦による場合であって、当該恩赦に係る政令の規定の公布の日が釈放すべき日となる場合 その日のうち
四 前三号に掲げる場合以外の場合 釈放の根拠となる文書が刑事施設に到達した時から十時間以内
cf.2少年院法(平成二十六年法律第五十八号)
(保護処分在院者の出院)
第百四十条 保護処分在院者の出院は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に、できる限り速やかに行う。
一 出院させるべき日があらかじめ定められている場合 その日の午前中
二 第百三十七条第一項ただし書の規定により少年院に収容することができる期間又は家庭裁判所が第百三十八条第二項、前条第二項、少年法第二十六条の四第二項若しくは更生保護法第六十八条第三項若しくは第七十二条第二項若しくは第三項の規定により定めた少年院に収容する期間の満了による場合 当該期間の末日の翌日の午前中
三 前二号に掲げる場合以外の場合 出院の根拠となる文書が少年院に到達した時から十時間以内
cf.3婦人補導院処遇規則(昭和三十三年法務省令第八号)
(退院)
第四十八条 退院は、補導処分の期間満了の翌日午前中に行うものとする。
cf.4人事院規則一〇―四(職員の保健及び安全保持)(昭和四十八年人事院規則一〇―四)
(職員の健康の保持増進のための総合的な健康診査)
第二十一条の二 各省各庁の長は、職員が請求した場合には、その者が総合的な健康診査で人事院が定めるもの(以下「総合健診」という。)を受けるため勤務しないことを承認することができる。
2 前項の規定により勤務しないことを承認することができる時間は、一日(交通機関の状況から、請求した職員が前項の承認に係る総合健診を受けるためには総合健診が行われる日又はその前日に宿泊することが必要であると認められる場合(以下この項において「宿泊を要する場合」という。)にあつては、一日に各省各庁の長が宿泊のため必要と認める日数を加えた日数)の範囲内で各省各庁の長が必要と認める時間とする。ただし、前項の承認に係る総合健診が二日にわたるものである場合で、次のいずれかに該当するときは、二日(宿泊を要する場合にあつては、二日に各省各庁の長が宿泊のため必要と認める日数を加えた日数)の範囲内で各省各庁の長が必要と認める時間とする。
一 当該総合健診が、正午以後に始まり、翌日の午前中に終了するものであるとき。
二 当該総合健診が、請求した職員の健康管理上健康管理医が特に必要と認める検査の項目を含むものであるとき(請求した職員が、当該検査項目を含む一日又は半日の総合健診を受けることができない場合に限る。)。
三 請求した職員が、離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)に基づく離島振興対策実施地域又は山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)に基づく振興山村に勤務しているとき。
四 各省各庁の長又は国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第三条の規定により設置された国家公務員共済組合と総合健診を実施する病院等との契約上、一日又は半日の総合健診のみでは希望する職員のすべてが総合健診を受けることができない状況にあるため、請求した職員が二日にわたる総合健診を受けることがやむを得ないと認められるとき。
ところが、条例Webアーカイブデータベースで「午後中」を検索したら、「午後中」を用いた規則が1本あった!
「午後中」という言い方があるんだね!それも昭和28年!
何事も自分で調べてみないといけないね♪
cf.5北海道雄武町(おうむちょう)の「失業対策事業就業規則 (昭和28年1月20日 規則第1号)」
第3条 就労者の始業、終業、休憩及び休息時間は、次のとおりとする。
(1) 始業 午前8時
(2) 終業 午後4時半
(3) 休憩時間 午前12時から午前12時半まで
(4) 休息 午前中及び午後中概ねその中間において各15分置くものとする。
2 休憩及び休息は、一斉に行う。ただし、作業の都合により必要があると認めるときは、休憩時間の変更する場合がある。