質問2.レダタルは何故あの姿になったの?
Q. まず何で、レダタルはあの姿になったの?
なぜ爽やかで面倒見の良い好青年だった彼があの姿になったのか。曖昧です。
ただ言えるのは、あれは祟りでも、誰かに襲われたわけでもなく、なんらかの「病」であの姿になったということです。言ってしまえば彼の病は謎です。
Q.レダタルの昔の生活は?
彼の昔は平穏な日々でした。周りに振り回されて忙しくも楽しい日々です。
だらけがちな姉やおっちょこちょいなほかの擬人どもの面倒を見ている、弟なのに弟らしくない男でした。料理にしろ掃除にしろ彼がやります。忙しかったけど、それで満足でした。
周囲の仲も良かったです。彼はみんなが好きでした。いたって普通です。
Q.病って?
その病は、彼を徐々に蝕みつつありました。自他共によく分からないうちに。
吐き気がするとか、手足が痛いような気がするとかの予兆はあったみたいです。
でも明確な原因は分かりません。
何の病気?→医療生物録は困惑しています。
もしかしたら突然変異?→ミュータント財団も首を傾げています。
行動からくる身体的疲労?
「姉さんにも、みんなにも、もっと笑ってほしいから頑張らないと」
追い込みすぎの精神的疲労?
新型の、治療方法もわからない未知のウイルス感染?
何も分かっていません。
そしてついに倒れました。一切立てなくなりました。
Q.発症後はどうなった?
痛いし苦しい。自分の部屋のベッドの上でずっと悶えています。
ご飯は喉を通らない。身体は徐々に爛れていく。
みんな心配しています。いつもふざけていた姉も、泣きそうな顔です。
みんな笑ってくれないか?
痛みと苦しみの中で彼は昔の思い出を必死に考えてやり過ごします。
姉と出かけた思い出。犬や人形たちと散歩に行ったこともあったな。
人形師と、あの兄弟たち、よく俺と遊んでくれた。楽しかった。
他の区分に遊びに行ったこともあったな。
苦し紛れの想像はどんどん濃くなります。
頭をぐるぐる回ります。
毎日毎日想像に耽ります。
ある日、ぶつん。と切れて、意識を失いました。
Q.
Q.地下フロアに隔離された理由は?
言ってしまえば完全に気が狂ったから。
別に痛々しく崩れた身体で這っていようが、みんなは普通でした。
他の区分にもそんな身体のヤツらがいるから見慣れていたのでしょう。
でも問題は中身。
面倒見のいい昔の精神が半端に残りつつも非常に幼い性格になりました。
深夜にリビングでひとり笑っている。ぼろぼろ泣いてはすぐ笑う。
独り言が多くなった。アルバムをじっと見つめて動かないこともあった。
見ていられない。みんなは次第に思うようになりました。「怖い」と。
今まで優しくて、何でもやってくれて、面倒見の良かったレダタルには抱いたことがなかった感情。「怖い」と思うようになったのです。
悲しい。怖い。
疎む感情はなかった。怖かった。悲しかった。
最終的に「レダタルは地下、涼しくて静かな場所にいたほうが精神的にも身体的にも楽なんじゃないか」という判断の下、普遍のキュリオセンター内の地下フロアに隔離されることになりました。
Q.隔離された今について詳しく
地下フロアに隔離されたといえど、別に幽閉やら監禁といった物騒なものでは決してありません。
普通に姉たちは各々様子を見るついでに遊びに来てくれるし、玩具やお菓子をお土産として持ってきてくれたりもするので彼は嬉しそうです。
しかも地下フロアは非常に広いです。使われていない部屋だらけだけど、様々な部屋、書庫だってある面白い場所です。そんなだだっ広い空間がまるまるレダタルの部屋みたいなものです。だから退屈はまずしないですね。
彼はよく地下を這い回ったり、一人で遊んだりしています。
でも寂しがり屋。姉たちを探して地上に上がってくることもあります。でも誰も地下へ追い返したりはしません。無視ではなく、放任主義でもなく、家族たちはそっと見守っています。
Q.他のみんなは今レダタルのことどう思っているの?
上記の通り、怖さや悲しさが最初はありました。
でも、いつまでもそう思っているわけにもいかないよな、と。そうして今はその感情に少し違うものが出てきました。
「確かに姿と精神には齟齬があるよ。過去を思い出せば悲しくなって泣きたくなることもあるさ。
でもさ、遊んであげたり話をしてやったりするとすっごく喜ぶ……
昔よりも随分崩れた笑みではあるけどさ、『弟』らしく甘えることができるようになったみたいだ。徐々にかわいく見えてきたよ」
とのことです。