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藤田晋 invitational RTDリーグ

平賀という異星生物の攻撃! RTDリーグ2017準決勝最終節17、18回戦レポート

2017.10.01 10:00

9/24(日)19:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ準決勝最終節17、18回戦の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。

開始時のポイントはこちら↓

残りは各人2回ずつ。全20回戦目の終了時に上位4名が決勝に進出となる。

正直に言っておくと、これだけ上下で離れてしまうと、2回での逆転が起きる可能性が5%以下ではなかろうか。

戦前の巷の予想は、「消化試合」だったように思う。


その予想は、17回戦で現実味を帯びる。

白鳥と村上のアガリ合いで進んだ17回戦、大きく動いたのは南3局だった。

小林が9巡目テンパイを果たすと、次巡に村上のリーチ宣言牌5sを捕まえて16000。

「チートイツのみでもいいと思っていた」と語る小林は、いつも通り素直に字牌から切っていき、自然な河を作り上げた。これでは他家から狙いがわかりにくい。

これで小林がトップ目に立つと、オーラスには白鳥が2着確定の400・700。

上位陣が手堅くワンツーを決め、村上・たろうの望みを完全にシャットアウトした。

「やはり消化試合か」

そういうコメントも多く流れる中、最後の望みを残す5位平賀が席を立った。

そのときに気づく。

あれ?今日、気合入ってるな、平賀さん。


18回戦

平賀の方針としては、大まかには2連勝を目標にしておき、勝又の着順次第で微調整というイメージである。

すると、その平賀にいきなり手が入った。

このテンパイから、ドラのカンチャンに受けてリーチ。

そして、力強く2sを引き寄せた。

大きな大きな開局6000オール。

ダマテンに構える打ち手もいるのだろうが、そこはまっすぐな攻撃が信条の平賀。

「こんなのリーチに決まってるよ。あ、なんか引けそうって思ったしね」と笑って一蹴した。

何気ないコメントだが、この「あ、なんか引けそう」にすべてが詰まっているように思う。

平賀のウリはなんといっても攻撃だが、同じように攻撃が軸の佐々木とは少しタイプが違うと思うのだ。

佐々木が淡々と無感情で攻撃し続ける殺戮マシーンなら、平賀の攻撃には血が通っているように見える。

では、観ている者の多くが「えっ!?」と思うような攻撃になるのはなぜだろう。思うに、その血が普通の人間と違うからだ。

人間らしい打ち筋だが、どことなく違和感がある。

普通の感覚なら、こんなカンチャンを引けるとは思えない。それを引けると思えてしまうのは、平賀がアガリに対する鋭い嗅覚を持ち合わせた異星生物のような存在だからだと思うのである。

異星生物、何やらそれも私のイメージとは少し違うのだが、今の段階ではそういうことにしておこう。


続く1本場でも平賀が4000オール。

これでトップの可能性はかなり高まった。

後は自分の点数を増やしながら、勝又の点数を削りたいところ。

しかし、その勝又も粘り、2本場でのマンガンツモで2着に踏みとどまる。

一歩も譲らない2人の攻防は次局になっても続き、勝又がイーシャンテンから切ったドラの4sをポンした平賀は、すぐに切られた白に躊躇なく大ミンカン。

この辺りから、控室でもみなが気づき始める。

「今日の平賀さん、ものすごく卓に入り込んでるね」

そして、リンシャンから引いた3mを軸に最速の2000・4000を決めた。


一方の勝又も、東3局でオヤリーチをかけて応戦。

ところが、ここにまた平賀が飛んでくる。

追いかけリーチを放つと、一発ツモウラ3で3000・6000。

解説の達也も思わずこぼす。「これ、ヤバい」。


すると、ここから平賀に追い風。

佐々木が4000オールで勝又をまくり、勝又の着順が落ちたのだ。

そして、その1本場では、タンヤオ気配の猿川が4mを2m3mの両面でチーし始める。

これは平賀にとっては朗報だ。

点数がほしい猿川の仕掛けであれば、ほぼドラが2枚以上で、3枚の可能性が高い。

そこに、平賀が5mをツモ切った。

すると、猿川がこの5mをポンして次巡に2000・4000。

やはりドラアンコで、なんと勝又はこれでラス落ちとなった。

平賀は言う。「勝又さんがチャンタ系で、猿川さんがタンヤオドラ2以上だったから、ぶつかればいいかなと思って5mを切ったよ」。

確かに、タンヤオとチャンタがぶつかれば、好形の残りやすいタンヤオの勝つ確率が高いだろう。

日によってムラがある平賀だが、今日は完全に卓に入り込んでいる。


勝又をラスに落としておいて、自身のオヤ番では安目ツモながら6000オール。さらに点数を積み上げる。


オーラスでは、勝又のこのリーチを受けるが、仕掛けてテンパイしていた平賀は、一発で3pをツモ切り、押し切る構え。

そして、本当に押し切り、6mツモでこれ以上ない完勝を決めた。

なんと開始時に160ほどあった勝又との差がわずかに10。

2回でも難しい条件を、たったの1回でクリアしてしまった。

これで、最終戦で純粋な着順勝負ができる。

控室に戻った平賀は、「これで面白くなったね」と、どことなく他人事のようにつぶやいた。

卓に入り込みつつ、この客観的な捉え方。

今日の平賀は恐ろしいな、と一般的な地球人代表の私は心底震えた。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)


■次回10/26(木)17:00から決勝戦1日目をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定