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秋にもうける

2017.10.02 04:14

君に痺れるほどに恋をしていたのはいつだったろうか。

あれから数年たち、恋は実りはしなかったけれど、それは消えることのない友情に変わった。

久方ぶりに君からの知らせを聞いて僕は君ほどに嬉しく思う。

秋、珠玉のような君が珠玉のような赤子を一人もうける。



人はどうにでも生きられる。だからといって世を捨てるわけではなく、執着を捨て、無駄を捨てる。

やるべきことをしているうちに、果報は知らぬ間に実り落つ。

秋、夢中のうちに覚めてみれば、知らぬうちに財を儲ける。



祝いの酒を口に含む。

杯を酌んでは乾かし、しばしの酔いに饒舌が増す。

繰り返す感謝の言葉もすでに聞き飽きてはいるが言い足りぬ。

呂律の回らぬ口ぶりに君は終始笑っている。

秋、祝いのためか飲むためか、酒宴の席を一席設ける。



夜もふけて、酔いの冷ましに外に出れば、月が妖しく輝いている。

君もあとからやってきて、まわるい光にみとれている。

僕は思わず口に出す。

「月が綺麗ですね」

二人は顔を見合って笑いだす。

秋、意図せぬ言葉に驚いて、文豪のセリフも君にウケる。