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悲劇と生還 航空事故から見る世界

JAL123便墜落の真実と真相

2017.10.04 10:19

 日航123便墜落事故で愛する肉親を亡くされた小田周二氏による渾身の力作「日航機墜落事故 真実と真相」(文芸社)を読ませたいただいた。

 これまで専門家やジャーナリストによる同事故を分析した書籍は多数出版されてきたが、ご遺族による事故分析は恐らく初めてだろう。

 本書は小田氏の計り知れない悲しみと共に、事故原因とその杜撰な調査への怒りが記されている。小田氏は生涯をかけて事故原因を徹底的に調査研究して仮説Xを見事に導き出した。

 小田氏は航空の専門家ではないため、多少の事実誤認はあるものの、大筋において当時の運輸省航空局航空事故調査委員会(以下事故調と略す)の事故調査報告書よりもはるかに真びょう性の高い推定事故原因が詳細に書かれている。

 本書をお読みいただければと思うが、123便には自衛隊の仮想標的機が衝突して垂直尾翼と油圧系統が破壊されたこと、事故調の主張する圧力隔壁の破壊による急減圧は発生しなかったこと、さらに事故発生直後から自衛隊機が追尾し横田基地着陸を阻止し、最後は123便にミサイルを撃ち込んだことを明快に推論している。それを裏付ける事実として、墜落直後に乗客を救助しようとしていた米軍機に帰還命令が下ったこと、早い時点で特定されていたはずの墜落現場から救助の手を遠ざける意図的な情報操作が行われたことなどがあげられる。

 角田四郎氏の「疑惑」が24年前に発表されて以来、123便の尾翼に外部から何かが衝突していたことは間違いないと思っていた。そして123便が横田基地付近で急に進路を変更したことに強い疑問を抱いていたが、本書に記された自衛隊機による横田基地の着陸阻止の可能性についての記述を読むにつけ、その疑問が一気に氷解した思いがした。

衝突したのが自衛隊のミサイルであろうが仮想標的機であろうが、何れにしても日本政府は123便の乗客乗員を意図的に見殺しにしたのは明らかである。