中秋の名月
「中秋の名月」とは
今年の中秋の名月は本日、10月4日です。
中秋の名月とは、旧暦(太陰太陽暦)の8月15日の夜に見られる月のことです。
もともと中国で行われていた観月(かんげつ)という風習が、9世紀(平安時代のころ)に日本に伝わったとされています。また、農業とも結びつき、「芋名月」と呼ばれることもあります。
単に15夜といった場合も中秋の名月をさすことが多いですが、15夜の月は旧暦の15日の月のことをさす言葉です。旧暦では月の満ち欠けの周期(およそ29.5日)の半分の15日が満月であると考えられていました。では、なぜ秋、中秋の名月だけ特別なのでしょうか?
昔から旧暦の8月のころは空が澄んでおり、1年で最も明るく美しい満月が見られるということから、観月の宴がよく開かれていたようです。旧暦で秋は7~9月のことを言い、8月15日はちょうど秋の真ん中ということから中秋となります。ここから、中秋の名月は旧暦の8月15日となるのですね。
※同じような仲秋という言葉もありますが、こちらは、7月を初秋、8月を仲秋、9月を晩秋と呼んでいたことに由来し、8月全体をさす言葉です。
さて、冒頭にも書きましたが、今年の中秋の名月は10月4日です。「中秋の名月には満月が見られる。」と思われている方もおられると思いますが、必ずしも満月とはなりません。満月は2日後の10月6日です。実は、このように満月と中秋の名月はずれることは、よくあります。なぜでしょうか?
今回は、新月を含む9月20日が旧暦の8月1日、そこから15日目が旧暦の8月15日、旧暦でいうところの満月ですから、10月4日となるわけですね。しかし、天文学的にみると、太陽・地球・月がまっすぐ並んだ時(月が太陽光を正面から受けて地球から見た時まん丸に見える瞬間)が満月ですから、10月6日になります。
月はおよそ29.5日に周期で満ち欠けを繰り返していますが、ぴったり半分の14.75日で満月とはなりません。なぜなら、月は完全な円軌道を描いて地球の周りを回っているのではなく、楕円軌道を描いて回っているためです。さらに、月が地球に近いときは地球の周りを回るスピードが速くなり、遠くにいるときは反対に遅くなるため、新月から満月になるまでにかかる日数が13.9日~15.6日まで大きく変化します。今回は新月から満月まで15.5日かかってしまいました。
このように、中秋の名月と満月はずれることが多々あります。とは言え、満月前後の月はとても明るいので、風情あるお月様を眺めてみてはいかがでしょうか?