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虹の戦士、という物語について

2017.10.04 12:03

こんにちは、松本佳奈です。

今日は『虹の戦士』という物語について、ちょっとお話させてくださいませ。

この物語はインディアンに古くから伝わるお話で、1991年に北山耕平さんによって訳され日本に渡ってきたそうです。


地球が病んで動物たちが姿を消し始める時、まさに その時、みんなを救うために 虹の戦士があらわれる


この諺がもとになって生まれたと言われています。


今年の春、鎌倉に住む友人・紙芝居師なっちゃんから「この本読んでほしい!」と借りたのを皮切りに


初夏には別の方から「今度、『虹の戦士』というお話の語りLIVEがあるんだけど来ない?」とお誘いがあり。


さらにこの秋。ちょこちょここのブログにも登場しているチーズ工房【千】(千葉県の大多喜にある古民家チーズ工房)にて『虹の戦士』の語りLIVEがあるからとにかく絶対に観たほうがいい!と複数の方からお声がけ頂き


これは何かに導かれているなあ〜

でも10/2(月)ってことは、岩手から帰って来た翌日だから、体力が心配だな〜と思っていたのですが…


2日の朝、起きた瞬間

「今、すぐに、家を出て!」

という天の声が聞こえ(笑)

5分で支度して家を出ました。


会場は、


関智美さんの曼荼羅アート

末吉さんの竹あかり

馬場貴海賀ちゃんの書

そして三舟山のまこも


によって飾られ、更にその場にいる人たちのエネルギーと相まって、異次元の世界が生まれていました。

『虹の戦士』語りLIVEとは?

「文字で読むことと、耳から聴くことは、心への入り方が違う。耳で聴く機会を作り続けて欲しい。」…と、北山耕平さんから頂いた言葉を私たちの一つの糧にして。
じぶこんの音楽と坂口火菜子の語り。そして集う皆さんの「想像力」で物語の世界を完成させる、映画とも芝居とも音楽LIVEとも異なる新感覚体験です。


語り部 坂口火菜子さんは、カナダに暮らすインディアン・クリー族の方々を第二の家族と感じ、2007年から毎年交流を続けています。


音楽を担当される「じぶこん」は、ゆう子さん、辻岳春さんによるユニット。ディジュリドゥなどの多国籍楽器を用いて、日本の言葉の調べと民族音楽を融合させた「トライバルポップス」というジャンルを確立。


このお三方によって、『虹の戦士』という、インディアンの少年の物語が生き生きと語られていきます。

「この世の中から争いがなかなか無くならないけれど、大きく分けて赤人、黄色人、白人、黒人。この4色の人種が溶け合う事が、平和への近道だと僕らは考える。」


「戦士には二つの考え方があるよ。一つは、soldier(兵士)。兵士は、自分の意思は脇に置いて、上からの命令に従う。もう一つは、warrior(戦士)。戦士は、自分の意思で、守り、行動する。この二つのどちらが正しい、間違っている、ではなく、バランスが重要。ただ、今の世界には、少し戦士が足りないんだ。」


最初に火菜子さんがお話して下さったこと。カナダのクリー族の方が仰っていたのだそうです。


「語りを始める前に、東西南北のスピリットに祈りを捧げます」

そう言って立ち上がった火菜子さんとじぶこんのお二人。三人が目を閉じ、集中した瞬間、場の空気がキーンと張り詰めたように感じました。


ああ、歌は、歌う前からすでに歌なんだ。と、この時思いました。私がピアノに向かって歌い始める前、目を閉じて呼吸するほんの少しの瞬間。あの瞬間が、実はいちばん大切なのかもしれないです。


太鼓のリズムと声。東西南北それぞれに向かって歌が歌われ、最後の祈りが終わると火菜子さんが静かに語り始めました。


物語の内容は、ぜひ皆さんそれぞれに感じて頂きたいので、ここでは割愛します。代わりに、私が小さい頃から心にしまってきた大切なお話をします。

物心ついた時には父と母は離婚していて、母と祖母と祖父との4人暮らし。しかし癌で寝たきりだった祖父は早々に亡くなり…残された母と祖母は実の親子にも関わらず反りが合わないようで、私はしょっちゅう愚痴を聞かされていました。


どうしたら争いがなくなるんだろう


異なる価値観同士の折り合い点を見つけるにはどうしたらいいんだろう


時間がないのに


…何をしていても、常に、私の根底にはそんな想いがありました。


人はみんな死ぬ。だからこんなことで争っている時間はもったいないよ。なんで解決に向けて動かないの?なんで愚痴を言って終わりにするの?自分の正しさを主張し合うだけじゃ何も進まないのに。


学校に通うようになると、クラスではいじめがあり、陰口があり、やっかみや嫉妬、気が強い子の顔色を伺う毎日。本音を話せばいじめの材料になるから、できるだけ当たり障りのないことを話す。


笑いながら蝶を追いかけ、叩き潰す子

サインペンで黒く塗られて死んだ蚕の幼虫


言葉が通じない、自分とは異なる生き物

見たことのない未知の生き物への恐怖から、簡単に殺す人たち


限られた資源を大切に、食べ物を粗末にしない、と教えるくせに、飲食店では毎日のように大量の洗剤が使われて、食材が廃棄になる


雨が森に染み渡って川となり海となる

健康な水と土があって、そこから植物も虫も動物もわたしたちも生まれて生きているのに、簡単にゴミを捨て、汚す。


野菜も米も味噌も醤油も、ほんとうはすべて自分で作れるのに、その知識がない。 


「正論」「常識」を盾に平気で他人を死ぬまで追い詰める人たちを毎日のように見るインターネット。ニュース。


自分と違う価値観は認めず、攻撃する

宗教の壁、役割の壁、そこからまた争いが生まれる。


本音と建前の矛盾をなくすには
異なるもの同士が中間地点を見つけるには
どうしたらいいの
どうしたら対話ができるの


…いつしか、私は絶望していました。世の中は矛盾だらけ、わたし個人の力じゃどうにもならないことだらけ。

考えていることをそのまま人に話しても、変な奴だと思われる。家庭の中ですら、わたしの言葉が通じない。


悲しくて悲しくて

あまりに悲しくなってしまうから

誰にも話さない。


数年前、音楽業界の人に「軽い気持ちでやってるから簡単に意思が揺らぐんだよ!一体音楽で何がやりたいの?」と言われた時、ずーーーっと押し殺していた自分の心が堰を切ったように溢れ出し、


「私がやりたいことは、世界平和です!」


と、叫んでいました。

相手はポカーンとして黙っていました。


それでいい…

わかってもらえないことは、わかっていた。だから言いたくなかった。隠していた。でももう、いい。

この人にわかってもらえなくても、いい。


そう強く思いました。

誰にわかってもらえなくても、私の本当の気持ちはここにあって、変わることはありません。


『虹の戦士』の語りが終わった後、みんなで持ち寄ったおかずでご飯タイム。なんと豪華な持ち寄り!!



理想論じゃなくて、正論を振りかざすんじゃなくて、ほんとうの意味で『世界平和』を実現したいと願う優しい人たちがここにいました。


ある人は食で

ある人は農で

ある人は書で

曼荼羅も、竹あかりも、音楽も

あの場にいたすべての人が自分にできる何かしらの形で「平和」をcreate(創造)していました。


大丈夫。絶望ばかりじゃない。ちゃんと希望もあるよ、と、『虹の戦士』が伝えてくれました。

私がひた隠しに守ってきた心の大切な部分を共有できる人たちにやっと会えた。この数年でそんな風に思える出会いが一気に増えました。

32年間生きてきて、本当によかった。


長くなりました。

ここまで読んで下さり本当にありがとうございます。


ご興味ある方、『虹の戦士』でぜひ調べてみてくださいね。


愛を込めて!


松本佳奈